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マーケターのためのフェルミ推定問題集

原寸大の東京タワー模型は、マッチ棒何本で作れる?
マーケターのためのフェルミ推定問題集(1)


 こんにちは、CAテクノロジーの小越と申します。今回から6回に渡って「マーケターのためのフェルミ推定問題集」という連載をお届けしたいと思います。初回なので、「フェルミ推定とは何か?」「業務のどういう場面で使えそうか?」を紹介し、小手調べとして簡単な問題を解説してみます。

フェルミ推定とは何か?

 「早速始めましょう!」と言いたいところですが、その前に皆さんは『フェルミ推定』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?  「聞いたこともない!」という方のために、まずはWikipediaの定義を紹介しましょう。

 この原稿執筆時のWikipedia日本語版には、次のように記載されています。

 フェルミ推定(-すいてい、Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること。オーダーエスティメーションともいわれる。

 その際の問いかけのほうをフェルミ問題(-もんだい、Fermi problem/Fermi question)と呼ぶことがある。名前は物理学者のエンリコ・フェルミに由来する。フェルミはこの手の概算を得意としていた。

 どうでしょう? 余計に分からないかもしれませんね。

 それでも、“Googleやマイクロソフトの入社試験に奇妙な問題が出題される”というのを聞いたことがある方はいるかもしれません。例えば、先に引用したWikipediaでは「シカゴにピアノの調律師は何人いるか?」という問題が紹介されています。または、『非公認Googleの入社試験』(竹内 薫[編])という本では、「1台の学校送迎バスの中にゴルフボールは何個入るか?」という問題が、最初に紹介されています。

 一見すると、どこにも答えがなさそうな問題ですね。

 フェルミ推定は上記のような、時として明確な答えが不明、または存在しないような問題に対して、結論から考えて解決に必要なデータを洗い出し、手元にないものは類推することで、概算しようというテクニックです。

 もちろん、調べて簡単に分かる数値は調べれば良いだけなので、「もっとこういう推論の方法があるはずだ」という振り返りはするものの、「正確にどれくらい近似値だったのか?」ということは考慮しません。あくまでも、必要な結論に対して「結論から」「全体から」「ロジカルに」「シンプルに」考える能力を養うことを目的としています。

 現実のビジネスをする上でも、「判断に必要な材料が欠けている」「前例や参考数値がない」というのは往々にして起こる事態です。その時に、仮説を立てながらとりあえず進められるかどうかは、大きな差になる場面も多々あると思います。

さぁ、マーケティングに生かしてみるぞ?

 さて、そんなフェルミ推定ですが、本連載の目的はこれで推論する力を育て、普段のマーケティング業務に活かしてみようということです。

 大まかに言えば、はっきりと答えの出ていないもの、または概算でよいのでその場で方向性を考えるべき場面で使用することを想定しています。

 例えば、こんな問題はどうでしょうか?

「お台場での限定期間公開が終了した実物大巨大ロボット。企業の宣伝として、これをスポンサードして維持を決定した場合、投資に見合うリターンはあるか?」

 または・・・。

「クーポン事業を営む会社で働いていたところ、上司から次のような指示が出た。曰く“foursquareとの業務提携をした際のROIを算出せよ”。さて、foursquareと業務提携した場合、損か得か?」

 当たり前ですが、これらの問題に正解はありません。しかし、「投資に見合う」という言葉を自分なりに計測可能な指標として定義し、それらの指標に対してどれくらいのインパクトがある施策になるのかを類推することで、検討の第一歩にすることが可能になるかもしれません。

 ちなみに、このフェルミ推定のネーミングの元になったエンリコ・フェルミさんは、ちぎった紙が飛ばされる挙動から原子力爆弾の威力を概算したこともあるそうです。『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』(細谷 功[著])という本で紹介されているエピソードですが、びっくりしますね。

 それでは練習に入る前にここまでの話をまとめてみましょう。

フェルミ推定とは?
  1. フェルミ推定は、時として明確な答えが不明、または存在しないような問題に対して、結論から考えて解決に必要なデータを洗い出し、手元にないものは類推することで概算に迫ろうというテクニック
  2. 必要な結論に対して「結論から」「全体から」「ロジカルに」「シンプルに」考える能力を養うことができる
  3. 業務上は、時として正解がないような問題を考える際、自分なりに計測可能な指標を定義し、それらの指標に対してどれくらいのインパクトがある施策になるのかを類推することで、検討の第一歩にすることが可能になるかもしれない

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この記事の著者

小越 崇広(オゴシタカヒロ)

サイバーエージェント入社後自社メディアの営業・プランナーを兼務し、 新興メディア上でのコミュニケーション立案に携わる。2006年11月同社のネット トレンド研究室立ち上げに参画。翌1月から同社の100%出資子会社のCAテクノロ ジー に出向。同社のマーケティング局の立ち上げに奔走している。個人ブログ は今日のニッパウ。Twitterは @ogoshi

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/07/16 15:10 https://markezine.jp/article/detail/10873

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