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「テレビCM崩壊」ってホント?

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2007/05/08 11:00

 最近、広告業界では「ネットの普及によってテレビCMが崩壊する」などと囁かれることがあります。しかしテレビCMの効果は本当になくなってしまったのでしょうか。今回はホリスティック・マーケティングの事例を用いてテレビCMの効果を検証してみたいと思います。

ラジオで接触して、コンビニで買っていただく

 先日『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)という本を読んだのですが、その中で紹介されていたエピソードがホリスティック・マーケティングの参考になる事例だったので紹介します。

 その事例は『浜崎橋はなぜ渋滞するのか?』(ニッポン放送/扶桑社)という本のマーケティング例だったのですが、まずラジオCMを流したそうなんですね、首都高速が渋滞する時間帯に。それで、本そのものをコンビニで販売していたそうです。想定する顧客導線としては、このような感じでしょうか。

1. 渋滞中のドライバーはイライラしながらラジオを聴いている 
2. ドライバーは「どうしていつもこんなに混むんだろう」と思っている 
3. そこにCMが流れる「都内の渋滞がこの1冊で回避できます」 
4. さらに続けて「セブン・イレブンで販売中、600円」
5. 途中で寄ったコンビニで本を発見して、“ついで買い”する

 おそらく、それほど予算がない中での試みだったと思うのですが、非常にきれいな設計だと思いました。渋滞中の人が接触するメディアとしてラジオを選択したのはもちろん正しいのですが(看板もあるし、タクシーの背面もあるかもしれないですが、筆者もラジオを選ぶでしょうね)、感心したのはコンビニで販売したことです。

 皆さんもコンビニ帰りに「あれ、なんでこんなの買ったんだろう」と後悔した経験はありませんか? コンビニって「衝動買い」とか、「ついで買い」が多いですよね。商品を販売するマーケティングを考える際、ネットで買っていただくケースと、店舗で買っていただくケースでは全く異なってきます。さらに店舗でも直営店なのか、量販店なのか、あるいはコンビニなのか、キオスクなのか、場所によっても大きく変わってきます。

 意外に軽視されがちなのですが「どこで買っていただくか」というのはとても重要なポイントです。広告やプロモーションを考える際に、「どこで露出するか」は誰しも考えることですが、そこで接触したお客さんを「どこにお連れするか」、最終的に「どこで買っていただくか」までを、ぜひこれからは考えてください。

 ホリスティック・マーケティングというのは、ネットもリアルも、4マスもSPも、それぞれの特長を活かして設計・構築するマーケティングのことです。2つだけ組み合わせることもあるでしょうし、もっとたくさんのメディアを複合的に組み合わせることもあるでしょう。またあえてネットだけにしたほうがいいこともあるかもしれません。いずれにしても、生活者がいろんなメディアを日常的に使い分けているのですから、それに対応して特定のメディアだけを使うというような制約を捨てましょうというのが主旨です。そしてその背景にあるのはAIDMAやAISASといった概念です。

マーケティングにおける消費行動のプロセス「AIDMA」と「AISAS」

 先ほどのラジオCMの場合は、AIDMAの設計です。渋滞というストレス環境にいる人に対して、ラジオCMで一気にMemoryまで持って行きます。Searchはありません。コンビニで「あ、さっきCMで聴いた本だ」と思って買うわけです。そういう意味では、「あれ買おう」というよりは(それもあるでしょうけど)、記憶に刷り込まれているというMemoryでしょうね。Shareはその後にあるかもしれませんが、対象顧客を考えるとあまりなさそうです。このようにAIDMAもまだまだ有効なのです。

テレビCMは本当に崩壊したのか

 最近、「テレビCMが効かなくなった」という声がメディアで叫ばれています。しかし筆者はそれを大きな誤解だと思っています。


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著者プロフィール

  • 河野 武(コウノ タケシ)

    1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。マーケター。企画屋。 1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入...

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連載:ホリスティック・マーケティング入門 ~PGMから始めるWOMマーケティング~

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