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話題のサービスを詳細解説

カカクコムの新サービス「Juke」
立ち上げの背景とサービス設計、運営後の発見

 2012/03/19 12:00
大堂 充久  [著]
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カカクコムの新サービスJukeの狙いや立ち上げのプロセスについて、同社担当の大堂氏がまとめます。普段はなかなか見えないサービス運営側の意図がわかり、参考になります!



Jukeの概要

Juke(ジューク)は株式会社カカクコムが運営するURL共有サービスである。ユーザーは、友人や各分野に詳しい人(キュレーター)をフォローしたり、チャンネルと呼ばれるタグをフォローすることで、自分だけのニュースフィードを構築できる。フォローしている人や対象(チャンネル)に関する情報(URL)がリアルタイムで流れてくるため、自分の興味が深い分野に関する鮮度の高い情報を収集することができる。

Juke立ち上げの背景

カカクコムでは主力の『価格.com』、『食べログ』をはじめ、不動産、旅行、映画などの領域でWebサイトを運営している。扱う領域は異なるものの、その多くのWebサイトは、データベースを核としたサービス設計という点が共通している。価格.comは家電のデータベース、食べログはレストランのデータベースが核となっており、データベースに消費者コミュニティ(クチコミやレビュー)や、事業者コミュニティ(掲載店舗)を肉付けすることで独自の付加価値を生み出している。

対象となる領域に対して中立で網羅性のあるデータベースを構築し、そのデータベース上にWebサービスを展開する手法を採用しているサービスは数多い。例えばGoogleも、Web上のURLに関して中立的・網羅的なDBを構築した上に、ページランクなどで肉付けしたものだと整理すれば、データベース志向のサービスのひとつであると言えるだろう。

データベース起点のWebサービス構築は成功の定石であるといっても過言ではないのだが、一方、SNSといわれるソーシャルグラフやコミュニケーションを起点としたサービスが急速に存在感を増していることも見逃せない。mixi、Twitter、FacebookなどのSNSは、巨大なデータベースを準備した上でサービスを立ち上げたわけではなく、ソーシャルグラフとコミュニケーションを核にサービスを立ちあげている。

カカクコムの強みはデータベース起点のWebサービスであるが、それのみにとどまらず、コミュニケーション起点のサービス立ち上げにチャレンジしたいというのが、Juke開発の背景にある。

起点となるコミュニケーション

開発にあたっては、コアとなるコミュニケーションの選定から行った。データベースを核とするサービスの場合、たとえばお菓子のデータベースを作るなら、お菓子の市場規模調査などからはじめるのが通例だが、コミュニケーション起点ということになると、「コミュニケーション」というぼんやりした対象から起点を探しはじめなくてはならない。

起点となるコミュニケーションを探すためのブレストを繰り返すとともに、主に米国を中心に成長性の高いコミュニケーション系サイトの調査を進めた。Jukeも含めて5つほどの候補に絞ったが、最終的には身近に存在する「人にURLを教える」というコミュニケーションを核にすることにした。いくつか理由はあるのだが、

  • イメージしやすい身近なコミュニケーションであること
  • 結果として蓄積されるデータが『「人が抽出した」Web全体のURL』という魅力的ものであること

この2点が決め手となった。

「人にURLを教える」?

「人にURLを教える」というコミュニケーションを行ったことがある人は多いのではないだろうか? 業務時間、休日などに、少し気になるURLを見つけた時、メッセンジャーやメールなどでURLを人に送って共有した経験、もしくは人からURLが送られてきた経験は多くの人がもっているだろう。

例えば、カカクコムの社内では、コミュニケーションツールとして、古式ゆかしいIPMessengerが広く使われている。業務に関する内容が多く届くが、業務内容に交じってURLが時々届くことがある。単純に笑える画像のURLから、仕事に関係ある興味深い記事まで、様々なURLが届く。URLに一言、二言のコメントが添えられる事もあるが、URLだけが1行で送られてくることもある。

共通しているのは、届いたリンクは大概開くし、開くと興味がある内容であるという点である。タイトルもコメントも無いURLだけが送られてきても、何の疑いも無くリンクを開き、しかも開いたリンク先が面白いというのは、他では類を見ない魅力的なコンテンツである。このコミュニケーションとコンテンツに注目したのがJukeである。

Jukeのサービス設計

上記の背景を踏まえたサービス内容は、実際にサービスにログインして頂いて確認してもらうのが最も分かりやすいと思うが、実装例をいくつか簡単に紹介しておく。

まず、UIについて。サービスの根元にある「友達が送ってきたリンクは面白い」という点にウェイトを置いているため、URLそのものではなく情報ソースである友人(アイコンやコメント)を目立たせるUIとなっている。また、知らない人100人が勧めるURLではなく、友人一人が勧めるURLが重要(面白いURLである可能性が高い=精度が高い)というスタンスのため、累積データの重要性が相対的に低くなっており、結果としてリアルタイム性の強いタイムライン型のフィードを採用している。コミュニケーションを核にしたUIを検討すると、TwitterやFacebookのようなタイムライン風UIになるのはある種の必然なのかもしれない。

また、実際の友人だけではフィードに流れる情報量が限定されてしまうため、友人を「信頼のおける情報ソース」と捉えなおした上で、チャンネルというタグ機能も設定している。友人だけでなく、ジャンルもフォローすることで、精度の高い情報がタイムラインに流れるようにするためである。チャンネルの延長として、各チャンネルに詳しいキュレーターも設定しており、キュレーターをフォローすることでも、精度の高い情報が流れる仕組みを設けている。チャンネルや専門家をフォローすることで、精度の高い情報が流れてくるという点はQuoraというQ&Aサービスに大きく影響を受けている。

運営後の発見

想定通りに行くことの方が少なく日々驚きの連続ではあるが、特に興味深いと思った点をいくつか紹介したい。

1点目は、TwitterやFacebookなどからの流入が思ったよりも多いこと。ツールからの流入などは正確に計測できていないが、2月時点では流入元の15%が既にFacebookやTwitter経由であった。データベース起点のサービスでは無い分、SEO的な観点から見るとIndex数が不十分であり検索流入が若干弱い。しかし、その一方でソーシャル系サイトとは相性が良いようである。

2点目は、人をフォローする作業の敷居は思ったより高いということである。Jukeではチャンネルをベースにしたフィード構築ができるため、有益な情報を発信してくれる人(キュレーター)を見つけやすい導線になっているが、知らない人をフォローするハードルは高いようである。結果として、かなり細分化された形でコミュニティ(フィード)が形成されている。中には人のフォローがゼロで、全てチャンネルのフォローから情報を得ているようなユーザーも存在する。チャンネルが情報ソースとして友人の代わりになっている点は想像通りだが、やはり人と人のコミュニケーションが起点になっているので、人同士のフォローを誘発するような仕組み作りは必要だといえる。

是非Jukeを試してみてください

簡単ではあるが、Jukeの機能や見せ方の狙いについて説明させて頂いた。想定どおりいっている部分もあれば、なかなか難しい部分もある。日々、利用状況の分析や、アクセス解析を行いながら、一人でも多くのユーザーにJukeを楽しんで頂けるよう改善を行っている。

既にご利用頂いている方は、本コラムにて開発経緯などを知っていただいた上でサービスを眺めると、また違った見え方がして面白かもしれない。まだご利用頂いていない方は、この記事をきっかけに友人を誘ってJukeをはじめて頂ければ幸いである。


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juke
面白いWebページを共有するサービス「juke」の使い方(nanapi)


プロフィール
大堂 充久 ( オオドウ ミツヒサ )

株式会社カカクコム インターネットマーケティング部長。1980年山口県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、2002年、アクセンチュアに入社。 主に通信ハイテク業界のコンサルティングを担当後、 2005年退職。 同2005年にカカクコムに入社、2007年4月サービス本部ソリューションサービス部長を経て、2009年4月より現職。


Article copyright © 2012 Ohdou Mitsuhisa, Shoeisha Co., Ltd.
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