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マスメディアは「世の中ごと」、ソーシャルは「仲間ごと」を扱う。テレビとソーシャルについてさとなお氏が語った

ビデオオンデマンドとSNSを組み合わせた「teleda」

 NHK放送文化研究所は、4月19日・20日に研究発表と討論を行うイベントを開催。初日に行われたシンポジウム「VOD・SNS時代の“テレビ”と“テレビ視聴”」では、VOD(ビデオ・オンデマンド)とSNSを組み合わせた「teleda」の実証実験の結果をもとに討論が行われた。

 パネリストは、佐藤尚之氏(コミュニケーション・ディレクター、株式会社ツナグ代表)、塚本幹夫氏(フジテレビジョン クリエイティブ事務局 IT戦略担当局長)、水島久光氏(東海大学 文学部 教授)。

 アンケート調査では、teledaによって「番組に対する興味・関心が広がった」と答えた人は回答者の7割以上に達し、新しい番組との出会いや同じ番組を見て感想を言い合うことの楽しさを評価する声が寄せられた。その一方で匿名のクローズドなSNSとして設計されたteledaと、FacebookやTwitterといった外部サービスとの連携があまり効果的に機能しなかったといった問題点も報告された。

テレビとソーシャルメディア連携の課題

 塚本氏は、フジテレビが運営しているTwitterライクなサービス「イマつぶ」について触れた。「イマつぶ」では、番組ごとに数多くのつぶやきが寄せられるだけでなく、番組出演者がつぶやくこともある。塚本氏はこのサービスはあくまでも「リアルタイム視聴の向上」を目指しているものであって、フジテレビの視聴者、特に若者を囲い込むために活用していると、明確にteledaとの違いを示した。

 東海大学の水島氏は、teledaの前提となっている「テレビはかつてみんなで視聴し話題にするソーシャルな存在だった。その失われたつながりをSNSで再構築することで、新しい視聴形態を生みだせるのでは」という仮説について疑問を投げかけた。確かに、テレビがお茶の間で見られていた時代は、テレビ番組を話題にしたコミュニケーションが広く行われていたが、それはテレビ自体がソーシャルだったからではない。テレビ以前に存在していた共同体のうえに乗ってテレビが普及したのであって、既存のソーシャルメディアを組み合わせてそれが再現できるのかという指摘である。

 佐藤氏は、2011年に退職するまで、電通でCMプランナーやコミュニケーション・デザイナーとして活躍。ソーシャルメディア時代の広告について考察する著書でも知られている。佐藤氏はteledaは「個の視聴を楽しくするためのもの」にとどまっており、ソーシャルの特性を活かしきれていないと評した。ソーシャルは仲間のつながりの中でコンテンツを見ることで、リアルなつながりを実感できるもの。teledaでは仲間と一緒に番組を見ている感覚が得られない。若者はわざわざ分断された個視聴をしないのではないかと指摘した。

ソーシャルメディアは「仲間ごと」を扱う

 佐藤氏は、teledaの問題点として「インタラクティブTVの域を出ていない。ソーシャルTVになっていない」と指摘。ソーシャルの特性を活かしきれない理由として、視聴者のソーシャルグラフ、「仲間」の存在をあらためて強調した。

 テレビと視聴者をどうつなぐかという問題を考えるときに、それぞれが扱う「事(こと)」に注目。マスメディアが「世の中ごと」を扱い、ひとびとは「自分ごと」を抱えている。ソーシャルはそのふたつの間で「仲間ごと」を扱うメディア。そして、仲間が集まりやすいのはテレビにおいてはリアルタイム視聴だという。

 塚本氏からは、teledaと似て非なるサービス「ニコ動」について、佐藤氏に質問が投げかけられると、「ニコ動は“匿名”と“非同期”を組み合わせたサービスで、リアルタイム視聴ではない。しかし、ズレていても同期している(リアルタイム視聴している)ように見えるというマジックがある」と説明した。

 また、広告の視点から、「広告は人が集まっているところにお金を投じるもの。リアルタイム視聴はCMを飛ばすことができない。クライアントはこれから提供番組に注力するのではないか。といっても従来のスポンサードではなく、自社の製品が好きな人が見ていれば視聴率は低くていい。そういう提供番組も出てくるのでは」と、クライアントも含めた番組づくりの新たな可能性を指摘した。

 佐藤氏はまた「ソーシャルを利用する際、メディア側は場をつくって“そこに集まれ”と言う。しかし、すでにソーシャルに仲間が集まる場を持っている人からすると、それは傲慢だと感じる。友人ごとその場に連れてこいというのではなく、友人といる場所にコンテンツが入ってくるとうれしい」と述べた。

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MarkeZine(マーケジン)
2012/04/20 12:00 https://markezine.jp/article/detail/15570

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