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「デザイン思考」の核となる「ペルソナ/シナリオ」のつくり方

ビジネスの世界でも「デザイン思考」というコンセプトが注目を集めています。P&GやGEなどの米国の大手企業がこの考え方を導入して実績をあげているからです。今回は、組織の創造性を高め、イノベーションを生み出す経営戦略として注目を集める「デザイン思考」の核のひとつである「ペルソナ/シナリオ」の具体的な作成法をご紹介していきます。

 今回紹介する「デザイン思考」は、消費者を観察することでアイデアを見つけ、それを実行できるコンセプトや具体的な形をつくり、それを消費者に届けるしくみをつくるデザインプロセスを、ひとつの製品の開発だけでなく、経営全体にも取り入れていこうという考え方です。この「デザイン思考」の核となるのが前回紹介した「ペルソナ/シナリオ法」です。今回は、その具体的な作成法を紹介していきます。

コラボレーションの場を共有するチームづくり

 ビジネスの世界でも注目を集める「デザイン思考」は、消費者の観察からアイデアを発見し、それを具体的なコンセプト、デザインに落とし込む手法です。創造的な組織においては、共同作業の手順を決めるだけでなく、共同で作業をする時間や場をつくりだすことが求められます。

 その意味で、前回の「ユーザーを知らずにWebをデザインできますか? ~ペルソナ/シナリオ法の活用~」 で紹介した、人間中心のデザイン(Human Centered Design=HCD)プロセスの中の「ユーザーと組織の要求事項の明示」の段階で用いられるペルソナ/シナリオ法と、その前の「ユーザーの利用状況の把握と明示」段階で用いられるコンテキスチュアル・インクワイアリー(文脈質問法)と呼ばれるユーザー調査法はまさに「デザイン思考」の核となる手法であるといえます。ユーザーの行動観察からアイデアを発見し、それをユーザー行動シナリオにより具体的なデザインに落とし込む。その過程では、異なるバックグラウンドもった人たちがチームとして集まり、コラボレーションを行う中で知識だけでなく経験そのものを共有します。

 「デザイン思考」の実践には何よりコラボレーションの場を共有できるチームづくりが何より大事な作業です。ユーザー行動の観察調査やペルソナ/シナリオ作成をするにあたっても、最初にまずコラボレーションを可能にするチームづくりを行うことが大切です。どのようにチームづくりを行うかについては別の機会にゆずることとして、「ペルソナ/シナリオ」の作成方法について解説していきましょう。

ペルソナ/シナリオの作成手順

 「コンテキスチュアル・インクワイアリー」と「ペルソナ/シナリオ法」の2つのデザイン手法の概要とその利用メリットは前回紹介したので、今回は実際に調査やペルソナを作成する際の作業フローをご紹介しようと思います。

 コラボレーションを行うチームづくりはすでにできているとしましょう。行動観察のアイデア抽出からペルソナ/シナリオの作成までの手順は大きく分けて以下の6つのステップで構成されます。

 1. ユーザー行動を観察する 
 2. ユーザーごとの行動シナリオに描く
 3. ワークモデル分析を行い、行動属性をクラスター化する 
 4. 行動属性群を元にペルソナを作成する
 5. ペルソナが目標を達成する物語をタスクごとにシナリオとして描く
 6. 作成したペルソナ/シナリオを元に機能要件や情緒的要件を抽出する

 最初に注意しておきたいのは、ペルソナ/シナリオ法は、あくまでHCDプロセスの中で用いられる手法のひとつということです。目的は人間が使いやすく使いたいと思えるデザインを生み出し、ターゲットユーザーのユーザーエクスペリエンスを高めることです。そのために用いられるのがHCDプロセスであり、ペルソナ/シナリオ法はそのプロセスの中の「ユーザーと組織の要求事項の明示」の段階で用いられるひとつの手法です。ですので、ペルソナやユーザー行動シナリオを作成したあとも、プロトタイピング、ユーザビリティテストなどの手法を用いて、HCDプロセスを継続して推進していかなければ、せっかくのペルソナも役に立たないということはお忘れないように。

ISO13407:インタラクティブシステムの人間中心設計プロセスで使う主な手法

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/08/27 13:00 https://markezine.jp/article/detail/1636

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