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イベントレポート

「テクノロジーの役割と人間の役割はトレードオフではない」 CMO、CIO、CEO、それぞれの立場から論じた“個客を知る”ということ


 IBM CMO+CIO Leadership Forumでは“個客を知る"をテーマとしたパネルディスカッションが開催された。日産自動車の星野氏、千趣会の星野氏、ジョンソンの鷲津氏がパネラーとして登壇し、モデレーターはベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』著者である一橋大学大学院の楠木教授が務めた。それぞれの立場から個客を知るための取り組み、課題などについて意見を交わした。

登壇者

 パネリスト

  • 日産自動車株式会社 執行役員 コーポレート市場情報統括本部 星野朝子氏
  • 株式会社千趣会 取締役執行役員 経営企画本部本部長 星野裕幸氏 
  • ジョンソン株式会社 代表取締役社長 鷲津雅広氏

 モデレーター

  • 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 楠木建氏 
左から、楠木氏、星野氏(日産自動車)、星野氏(千趣会)、鷲津氏

“個客を知る"とはどういうことなのか

 楠木:本日は「個客を知る」をテーマに議論を進めていきます。日産の星野さんがCMO、千趣会の星野さんがCIO、ジョンソンの鷲津さんがCEOとそれぞれ異なる立場から個客を知るをテーマに議論いただくわけですが、自己紹介がてら個客を知るためにどのような活動をされているか教えてください。まず、日産の星野さんいかがでしょうか。世界初の量産型電気自動車であるリーフのような新しいプロダクトをお持ちの御社なら、新しい発見も多いと思うのですが。

 星野(日産):はい、リーフからわかることは、私たちにとっても初体験です。ユーザーは電気自動車で何キロぐらい走るのか、どのくらい速度を出すのか、など様々な項目のデータを集めている最中です。

 楠木:リーフの情報は世界中が欲しがっていると思います(笑)。データ面ではなく、個客体験において新しい発見はありましたか。

 星野(日産):お客様は60代かつ男性が多い状況です。リーフによって何がよかったのかを伺ったところ大体想定内の回答でしたが、「孫が家に来るようになった、子供に囲まれるようになった、充電中に女子高校生に囲まれた」など想定外の回答もありました。恐らく車に最も興味のない世代が女子高校生だと思うのですが(笑)、その女子高校生が車を囲むこということは、私たちの業界ではすごいことなのです。

 楠木:なるほど。リーフユーザーは従来の車ではあり得ないような体験をしたわけですね(笑)。千趣会の星野さんはいかがでしょうか。御社の場合、インターネット登場以前から個客を知ることに取り組んでいらっしゃったのではと想像しますが。

 星野(千趣会):おっしゃるとおり、私たちはインターネット登場以前から通販業を行っておりますのでお客様のお住まい、性別、年齢などの属性データをはじめ、何をご購入頂いたのか、どんなカタログへ反応したのかなどのデータも持っております。

 特徴的な点はカタログの種類が多いことで、ファッションジャンルは年代別のカタログを作成しております。どのカタログの組み合わせて送るのがお客様に最も喜ばれるのか、また私たちにとっても効率がよいのか。それを追及するために早くからデータウェアハウスを利用しておりますし、最近ではビッグデータの活用にも取り組みはじめております。

 理想は、お客様がこれから何を望んでいるのか、その結果どういうもの買いたいのかを把握することです。インターネットやソーシャルメディア上での行動や投稿内容をより高度に精査することができれば、もっと気のきいたサービスが提供できるのではと考えております。

バイアスなしでスピーディーに意見交換できるのが理想

 楠木:個客を知ることがそもそも企業文化に根付いていて、その上で時代に合わせた方法を模索している状況ということですね。ジョンソンさんは「カビキラー」を筆頭に多くのヒット商品を世に送り出していらっしゃいますが、個客を知ることやビッグデータ活用についてどのような取り組みをされていらっしゃるのですか。

 鷲津:お恥ずかしい話ですが、積極的にはビッグデータの活用に取り組めていない状況です。私たちが個客を知る手段は、お客様相談室に届く電話の内容やメールマガジン経由でいただく会員さんの声などが主ですね。調査会社のパネルを利用し属性を抽出して調査する、昔ながらの方法でお客様の声を集めていますが、他によりよい方法はないか模索しております。

 個客の声を聞く上でこうあったらよいな、と思うポイントが三つあります。それは、「バイアスなし」「スピード」「意見交換」です。最初に挙げたバイアスですが、調査を行いますので質問に答えてくださいとなると、回答者はまず「あ、これ調査なんだな、私の声を聞きにきているんだな」という前提を持ってしまいます。しかも、私たちが用意した質問に答えるだけとなるので、それは本当の意味でのお客様の声とは言い難いでしょう。

 また、これだけ変化が早い時代となると調査開始~回収~分析までのスピードも求めたくなります。要するに欲しいと思う時に欲しいわけです。そして、回答に答えてもらうだけではなく「なぜ?」という質問を返し、より深い洞察を得たい、つまり意見交換をしたいわけです。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/05/09 13:34 https://markezine.jp/article/detail/17383

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