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「トライアル注文から、定期購入へ」見込顧客を優良顧客へ育てるエバーライフのメールマーケティングの秘訣

 「通販王国」とも言われる九州・福岡。その地で、サプリメント「皇潤」をはじめ、健康食品を多く取り扱うエバーライフは、通信販売をメインとする一社である。同社は電話での注文が多くを占める一方で、CRMシステム「カスタマーリングス」を導入し、細やかなメールマーケティングに積極的に取り組んでいる。また既存の高齢者層の顧客に加え、若年層の新規顧客化も視野に入れた様々な取り組みについてお話をうかがった。

効率よく各メディアを使った顧客へのアプローチが課題

 福岡に本社を置くエバーライフは、八千草薫を起用したテレビCMでも馴染みがあるサプリメント「皇潤」や、30~40代女性向けの「美・皇潤」、「おいしい青汁」などの健康食品を販売。1990年の創業以来、通信販売にてシェアを拡大し、高齢者層を中心に多くのリピート顧客を獲得している。豊富な健康食品ラインアップの背景には、「お客様の笑顔と健康こそが喜び」とする同社の考え方がある。

エバーライフの主力商品(左)「皇潤」(右)「美・皇潤」

 主な販売のチャネルは電話だ。基本的に、一人の顧客に決まった担当者が対応する『カスタマーフレンド』というスタイルを貫いている。「電話ではありますが、対面で会話をしているような親密さを意識して、心と心が通うような関係を目指して取り組んでいます」と、エバーライフのハウスエージェンシーであるエバーライフ・エージェンシーの田村貴志氏は話す。

株式会社エバーライフ・エージェンシー 田村貴志氏

 エバーライフ・エージェンシーは、エバーライフ本社のマーケティング本部と連携。商品開発から広告制作、新規顧客の獲得、既存顧客のフォローなど、商品を顧客に届けるため、またその関係を維持するための幅広い業務を担っている。「広告接触の環境が変わる中で、いかに効率よく各メディアを使っていくかが重要になっていると感じています」と田村氏。

「WebサイトはテレビCMの受け皿」という役割を超える

 目下の課題は、新規顧客の獲得と、CPO(Cost Per Order/顧客一人あたりの獲得単価)の抑制だという。この背景について、エバーライフ マーケティング本部 リーダーの権丈茂氏は「競合商品が増えていることが大きな理由の一つ」と指摘する。健康志向の強まりや高齢者層の増加を受け、市場は広がっているものの、それ以上に競争が激しくなっているのだ。

 また、エバーライフ・エージェンシー リーダーの外園英彦氏は「皇潤」を例に、近年のプロモーション活動について次のように話す。

株式会社エバーライフ・エージェンシー リーダー 外園英彦氏

 「テレビCMにより、この数年で『皇潤』の認知度は大きく伸びました。それに比例して新しいお客様も増えましたが、当然ながら長く出稿していると“知らない人”の割合が減り、結果的に最近のCPOが高くなってしまっています。マス広告、Webを含めて、その時代に沿った広告プロモーション展開があると思うので、新しい手法の確立や広告プロモーション展開の立案が課題になってきています」(外園氏)

 それを探る一環として、テレビCMの出稿量を抑えたそうだ。が、そうすると今度はWebの検索流入数が減り、Web経由の売上にも影響が出てしまった。権丈氏は「これまで、テレビCMの認知を起点とした販売の“受け皿”として主にWebを機能させてきてしまったことに気づきました」と振り返る。約1年前のことだった。

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Web経由の売上を10%から20~30%へ引き上げる

 そこで、Web単独でもしっかり新規顧客を獲得すること、また既存顧客の離脱を防止してCPOを抑えることを目指し、昨年よりWebマーケティングにも力を入れ始めた。割合は商品によって異なるものの、現在では同社全体の売上の10%程度がオンライン経由だそうだ。2年後を目途に、これを20~30%まで引き上げることを目標とし、現在Webサイトの改善やランディングページのバリエーション展開、メールマーケティングなどに取り組んでいる。

※クリックすると拡大図が表示されます
メールマーケティング

 例えばランディングページでは、「ひざの痛みに悩んでいる人」「母の日・父の日・敬老の日のプレゼントを探している人」といったセグメントを絞り込み、そのニーズに応える内容構成を作り上げている。皇潤に特化したサイトも、より分かりやすさを追求し、親近感を持てるようリニューアルした。

 複数の取り組みのうち、この1年で特に注力し、成果が表れているのがメールマーケティングだ。オーソドックスではあるが、見込顧客へのメールでのアプローチはダイレクトマーケティングにおいて欠かせない手段である。同社では昨年、CRMシステム「カスタマーリングス」を導入し、細かなセグメントによるリスト作りや配信設定を進めている。

お試し商品注文から定期購入へ、優良顧客へと育てる秘訣

 当然ながら、Webマーケティングに本腰を入れ始めた昨年より以前も、メールでのアプローチは行ってきた。「ですが、システムが不十分だったため、顧客リストを抽出してセグメントし、メルマガを送り分ける作業が非常に煩雑でした。「カスタマーリングス」を導入したことにより、例えばお客様の状況やライフスタイルに応じて内容を変えるなど、以前はなかなかできなかった策が容易に展開できるようになりました」と田村氏。

 特に成果が現れているのが、トライアル利用から定期的に商品が届く「定期コース」への引き上げだ。トライアル商品到着後すぐ、3日後、7日後など順を追ってメールを配信し、定期コースの契約を促す「ステップメール」の配信が奏功しているという。その効果は、実にカスタマーリングスを導入後、引上げ率が3倍に改善したそうだ。

株式会社エバーライフ  マーケティング本部 リーダー 権丈茂氏

 以前のシステムを長く使っていたという権丈氏は、「情報の収集や集計に時間がかかり、非常に無駄だった」と話す。「そこに時間を割かず、施策を検討し実施し改良するというPDCAを素早く進められているのが助かります。今、私が担当している商品では、ステップメールを計7回配信しています。クリック率などの分析も一目瞭然なので、間が空かない方が定期の申し込みをしやすいと思いがちでしたが、意外と4~5回目のメールでもコンバージョンが高いとか、商品到着前でもメールの内容によっては正規購入を促せる、などの新たな知見も得られています」(権丈氏)

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既存顧客のデータを分析し、新規顧客へのアプローチに活用する

 「クリエイティブのテストができるようになったことも大きい」と田村氏は話す。同じ属性の顧客に異なる内容のメールを出し分けて、効果の高いものを精査している。その他、例えば前年に父の日のプレゼント需要で購入し、今年は買わなかった顧客にメールでアンケートを取るなど、ピンポイントな意見の収集にも「カスタマーリングス」を活用している。

 「業務上でも、これまでは異なるツールで行っていたメルマガ配信、クリック率やコンバージョン率の計測などがカスタマーリングス上で一括して管理できるようになったので、とてもスムーズになりました」(田村氏)

 同ツールの導入は、新規顧客獲得のための分析力の強化にもつながった。「これまでのデータを元に、年齢や性別といった属性だけでなく、膝が痛いなどの悩みをお持ちなのか、もしくは父の日のプレゼントに贈りたい、といったマインドなども含めてどういうお客様がどの商品を購入されているのかを分析し、仮説を立てて新規顧客へのアプローチに活かすことができるようになりました」と外園氏。

 新規顧客の獲得自体には、商品ラインアップも重要だ。「美・皇潤」や、主にWebで告知している「Sense of Eternity」シリーズなどは、より低年齢層に向けて開発したもの。年齢層が低くなるほど、Webでのアプローチの有効性も増してくる。より効果的な策を早く見つけ出すために、カスタマーリングスの高い分析力が大いに役立っている。

新しい顧客を振り向かせるために

 今後の展望について田村氏は、「さらにお客様に喜んでいただくために、一人ひとりのライフスタイルに合わせたアプローチを追求していきたい。細かにセグメントすれば、メール一通でももっと心に響く内容にできると思います」と話す。

 加えて若年層の獲得も、長期的な課題だ。例えば「皇潤」には高齢者向けというイメージがあるため、まだ自分たちが高齢者だと思っていない60代にはターゲットだと思われにくい。「この認識を変えられれば、まだリーチできていない方々にも試していただけるのではないかと思っています。加えて、ギフト需要の開拓も強化するため、プロモーション施策をいろいろと検討しています。全購買層の平均年齢を50代くらいまで引き下げられれば」(権丈氏)

 着手すべきと見据えている事柄は幅広いが、適切なCRMシステムの導入により、1年前よりも同社のマーケティングが深化していることが見てとれる。とはいえ、「まだ試行錯誤の段階」だと外園氏。「仮説通りにいかないのがお客様の心理かもしれませんが、カスタマーリングスを導入するまでは、仮説の検証自体がなかなかできない状況でした。顧客情報、売上情報に加えてメールの反応や結果、さらにはアンケート回答内容まで、すべてのデータが一元化できるようになったことで、今では複数の細かな施策のPDCAを回せるようになりました。今後はさらにマーケティングを精緻化し、お客様との関係を強化したいと思います」

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2013/07/24 12:00 https://markezine.jp/article/detail/18069