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「肌のかかりつけ医」を目指して
ドクターシーラボが目指す「おもてなしEコマース」とは

 創業から15年、肌トラブルに寄り添うスキンケア用品が支持され続けている「ドクターシーラボ」。創業者の城野親德さんが皮膚科医ということもあり、いまも大切にするのはお客さまの悩みに寄り添う姿勢です。なかでもEコマースサイトでは、「おもてなし」の心を具現化しようと目下奮闘中。果たしてテクノロジーを使ったおもてなしとは、何を指すのでしょうか。エクスペリアンジャパンの中澤氏が迫ります。

会社のはじまりが「おもてなし」に近い

株式会社ドクターシーラボ マーケティング部 
eコマースグループ グループ長 西井敏恭氏(写真右)
エクスペリアンジャパン株式会社 執行役員 CMO 
マーケティング部 中澤伸也氏(写真左)
株式会社ドクターシーラボ マーケティング部 eコマースグループ グループ長 西井敏恭氏(写真右)エクスペリアンジャパン株式会社 執行役員 マーケティング部 中澤伸也氏(写真左)

 中澤:今、御社では「おもてなし」をテーマに事業を行っていると伺いました。一方的にメールマガジンを送る、自社の宣伝ばかりするのではなく、もっとお客様のニーズをくみ取り、相互の関係性を高めようとする動きなのかな、と理解していますが、実際のところどんなことを「おもてなし」と考えていらっしゃるのか伺えますか。

 西井:当社の場合、会社のはじまりが「おもてなし」に近いかもしれません。ドクターシーラボを創業した城野親德は皮膚科医で、化粧品を使ったトラブルの症例を多く診てきました。せっかくお金と時間をかけて治療し、一度治ったのにまた化粧品で肌荒れを起こしてしまい、治療に戻ってくる患者さんがたくさんいたんです。それで、治療後もずっと使えるスキンケア用品を作ったのがドクターシーラボの商品の始まりです。

ドクターシーラボ
ドクターシーラボ

 中澤:確か、遠方から治療にいらっしゃる方も多いクリニックだと伺いましたが…。

 西井:そうなんです。クリニックは現在も、本社があるビルの敷地内にあります。治療後に処方するスキンケア用品だったので、そのためだけに遠方から何度も足を運んでくださる患者様もいらっしゃいました。ドクターシーラボ設立前は法人ではなかったので宅急便で「代金引換」の対応はできなかったのですが、法人化にすることで、スキンケア用品を代引きでお届けできるようになったんです。

 中澤:そんな話があったんですか! 御社とは長いお付き合いですが、知りませんでした(笑)。「商品を届けるために、お医者様が創業した」というDNAは、社内にどのように残っているのですか。

 西井:創業して15年経ちますから、正直、効率重視に陥りそうになったことはあります。たとえばコールセンターでは、効率性を重視し、通話時間をKPIにしていたこともありました。短ければ短いほどいい、という発想で。でもいまはどれだけ時間をかけてもいいので、お客様の喜びの声をいただくことを優先しています。お客様としっかりお話することで、長期的にドクターシーラボの商品を愛用いただくことが大事だと考えて、一回あたりの通話時間という指標をなくしました。

 また、お客様の声はカスタマーサポートの担当者だけではなく、弊社の社長を含めた経営陣もひとつひとつ目を通します。商品やサービスの開発にも活かされていますし、そういった一人ひとりの声にじっくり耳を傾けるという姿勢は、当社の大切なDNAのひとつですね。

エクスペリアンジャパンの紹介
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「非効率」でもコミュニケーションを大切にしたい。テクノロジーを活用して

 中澤:「おもてなし」をEコマース上で実現するということについてもう少し詳しく伺えますか。

 西井:まず「おもてなし」の定義ですが、何かを実施することによって対価を求めるものではなく、「相手に喜んでいただくこと」に重きをおいた行動、だと思っています。私は、シーラボの「おもてなし」Eコマースでは、「ECでは既に当たり前になっていて、誰も疑問にも思わなくなってしまっているけれど、実際にはおかしいんじゃないか?」というところを変えていきたいと考えているんです。言うなれば、アマゾンの逆とも言えるかもしれません。アマゾンは便利で簡単で、とっても効率的。そのシンプルさは見習いたいと思っているけど、当社は「非効率」を追求したいと思っているんです。

 中澤:非効率の追求!

 西井:はい。でも昨今は、他社さんにもその傾向があると思いますよ。だってFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアは、運用側の手間に比例して即時に売上が上がるとは限りません。むしろ、別モノ。効率重視だと「やめた」ってなると思います。

 中澤:ああ、そうですね。ソーシャルメディアマーケティングに取り組むことで売上が劇的に上がるかというとなかなか難しいですよね。でも御社はそこにとても積極的に取り組んでいるようにお見受けしています。

 西井:その通りです。当社がソーシャルメディアを使ったコミュニケーションに力を入れている理由は、長期的に商品を使い続けていただく事(ライフタイムバリュー)を重視しているからです。当社には、ニキビに困っているとき、アンチエイジングに取り組みたいとき、美白を目指したいときなど、目的に合わせた商品ラインがあります。その時々の目的に合わせ、商品をスイッチしながらご利用頂けるのが強みですが、商品そのものの宣伝ではその強みは活かせません。ソーシャルメディアでのコミュニケーションは商品ではなくブランドのコミュニケーションなので、そこがポイントです。

 中澤:なるほど、ブランドとお客様のコミュニケーション。それが、お客様の目的が変わっても「ドクターシーラボ」というブランド内で商品スイッチしてもらえることにつながるというわけですね。

 西井:そうです。ブランドとしてお客様とのつながりを作ることが重要です。例えば、私はEコマースの責任者ですが、ドラッグストアや百貨店のドクターシーラボコーナーで購入頂いてもよいと思っています(笑)。実は、自社サイトで購入頂くことにこだわりはありません。

 中澤:つまり、自社サイトは数ある販売チャネルの一つであり…。

 西井:はい。お客様から見れば、店頭で買おうとネットで買おうと「ドクターシーラボ」でしかないんですよね。さらに自社サイトは、お客様のお悩みを解決する場として活用頂きたいですね。Q&Aコンテンツも充実させていますし、お客様一人ひとりとのコミュニケーションという意味では、チャット機能を使ったカウンセリングなどもやっております。

 中澤:なるほど。最新の取り組みに積極的とお見受けしていましたが、やはりその裏側にはきちんとした考え方、コンセプトがあり、目的を持って各施策に取り組んでいるんですね。ところで最新の取り組みには最新のテクノロジーが欠かせませんよね。西井さんは、最新テクノロジーの活用についてはどう考えていますか。

 西井:当社の考えるおもてなしには、絶対にテクノロジーが必要だと考えています。

 中澤:なるほど。しかしそれは、「非効率の追求」とは離れるのでは?

 西井:そこが重要なところで、「おもてなし」の心が欠けているテクノロジーは、改善せねばなりません。多くの企業は会員向けにメールマガジンを配信していますが、必ず「このメールには返信できません」って書いてありますよね。でも人と人の付き合いにおいて、返信できないメールっておかしいと思うのです。先ほどお話しした「実際にはおかしいんじゃないか」と感じていることのひとつです。現在は当社もその状態ですが、こういう点を改善していきたいと考えております。ですが、物理的に考えて、たとえ100人のスタッフがいたとしても、顧客が100万人いたら、一人ひとりの特性やニーズを覚えておくことも、個々人と丁寧なメールをやりとりすることもできません。そこにテクノロジーが活かされるべきなのであって、それは効率を追求することとは違います。

 中澤:なるほど、つまりおもてなしを実践するためにテクノロジーを活用すべきであって、効率のためのテクノロジーではない、という感じでしょうか。

 西井:例えば家電量販店のカメラ売場で、商品をいくつか手にとって、価格を比べて、としていたら、販売員の方が「今日はカメラをお探しですか?」って声をかけてきますよね。お互いにとってとても自然です。でもEコマースでは今のところ同じことを行うのは難しい。なぜなら、リアル店舗に比べ、Eコマースでは圧倒的にお客様に関する情報量が少ないからです。顔色や服装を見て、何度か行き来しているその場所を見て、どんなカメラを探していそうか、どんな用途に使うのか、予測して声をかけますよね? 私の考える「おもてなし」とはそういうことなんです。

 では全く何もできないかというとそんなことはなくて、そこにテクノロジーが活きてきます。例えばサプリメントは飲み切るタイミングに個人差があまり生じないのでタイミングを掴みやすいのですが、化粧品は実は人によって全く違うんです。「次はいかがですか?」と声をかけるタイミングを一人ひとりに合わせることが重要なのですが、どう考えてもこれをアナログに行うことは無理ですよね。そういったところをテクノロジーを使って実現していきたいな、と思いますね。

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創業者の思いを受け継ぎ、「肌のかかりつけ医」を目指したい

 中澤:お客様一人ひとりのタイミングに合わせて多くのキャンペーンを企画し、メール配信を自動化していくのがキャンペーンマネジメントシステムです。御社でも、メール上でのおもてなしの実現を考えて、今まさにキャンペーンマネジメントシステムの導入に向けて動かれているのではないかと思いますが、ことメールマーケティングに限っていうと、どのような点に課題を感じていたのでしょうか。

 西井:おっしゃる通りで、メールにおける「おもてなし」において重要なのは「タイミング」です。サンプルを送ったあと「使い心地はいかがでしたか?」と確認する。はじめてのご注文を頂いた方に「ありがとうございます」の感謝を伝える。そのようなシナリオが、当社には約250パターンもあるんです。

 これを自社開発のシステムで実現していたのですが、そこに課題がありました。新たなシナリオを作る際はシステム担当者に依頼し、いちいちSQLコードを書いてデータを取り出し、メールを配信するプログラムを書いてもらう。効果測定も難しいですし、仮に問題が見つかったとして、その解決のためにシナリオをチューニングするにも非常に手間と時間がかかる。そこに課題を感じていました。

 中澤:なるほど。まさにキャンペーンマネジメントシステムの得意なところですね。ところで、コミュニケーションの手段には色々なものがあり、正直メールは「いまさら」と言われることも多いチャネルです。そんな中で今メールに対して投資をしようと決断されたのには背景があるのではないかな、と思うのですが…。

 西井:そうですね。例えばソーシャルメディアも重要なコミュニケーション手段のひとつですが、これは当社としては「アンコントローラブル」なコミュニケーションとなります。クチコミが増えるような施策を行ったところで、実際にクチコミしてくれるかどうかはわからない。

 例えば先日、当社の配送センターが使っているエアパッキンがかわいいというので、ソーシャルメディア上で話題になったのですが、もしエアパッキンを一生懸命選んだところで必ずクチコミしてもらえるとは限らない。ソーシャルメディアマーケティングは、そのようにソーシャルメディア上でドクターシーラボを語ってもらう事を考えて、様々な取り組みをする事が大事ですが、100%伝えたい事をお客様が語ってくれるとは限りません。一方でメールは、当社の伝えたいことを伝えたい分量、タイミングで伝えられますし、そもそもソーシャルメディアよりもセグメントしてコミュニケーションできるので到達力も高いです。

 中澤:これは私が言うとちょっとおかしな質問になってしまうかもしれませんが、最近「メールマガジンは読まない」という人も多くいます。それについてはどう考えていらっしゃいますか?

 西井:友達からのメールを読まない人はいないですよね。メールマガジンを読まない背景には、「誰から来たメールか分からない」「内容が一方的すぎる」など、何か理由があるはずなんです。それを一つひとつ解決する必要があると思います。

 中澤:なるほど。しかし、一方的すぎないメールマガジンを作るのはとても難しいことですよね。ともすると一方通行のコミュニケーションになりがちです。

 西井:そうですね。そこは本当に難しいと思います。私としては、そうならないためには、コンテンツの作り手を社内できちんと育てることしかないのかなと思います。もう一つメールの利点として、購買データなどの他のデータと紐づけながらコミュニケーションをとりやすいのは、今のところはメールが一番だと思います。バナー広告も最近はターゲティング精度が上がっているといえど、自社データと紐付けてリアルタイムに出稿することはなかなか難しい。ソーシャルメディアとなるともっと難しいです。

 中澤:個々のお客様に寄り添う手段としては、メールが最適だ、と。

 西井:そう思っています。

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「おもてなしEコマースを実現するために選択したテクノロジーとは

 中澤:当社のメール配信システムである「MailPublisher」シリーズを長くご利用頂いています。最初に選んで頂いたときの決め手は何だったのでしょうか。

 西井:到達率です。モバイルへのメール配信比率は年々増えていますが、以前使っていたシステムはすぐに「モバイルキャリアブロック」がかかってしまいました。でも御社のシステムは他社のものと比べ到達率が圧倒的に高かったんです。

 中澤:ありがとうございます。キャンペーンマネジメントシステム「MailPublisher suite」を選んでいただいたことについてはどうですか?

 西井:到達率は絶対に外せないポイントで、そこに対する信頼感が厚かったというのはあります。さらにもう一つ大きかったのは、コンサルティング部門、クリエイティブ部門を持っていることです。マーケティングとシステムは切っても切り離せない関係。「こういうシナリオを書いてみたんだけどどうかな」「このキャンペーンにはどういうクリエイティブが良いかな」というのを、同じ目線の高さで一緒に考えてもらえる会社はそうはありません。さらに言うと、シナリオの意図をクリエイティブに反映させていくのもそれなりに手間のかかる作業です。そこを相談でき、お願いできるというのは大きいと思い、決めました。

 中澤:なるほど。今後も様々なテクノロジーを身に付け、お客様とのコミュニケーションに取り組んでいかれることと思います。最後に聞きたいのですが、将来の理想の姿とはどんな姿なのでしょう?

 10月4日(金)開催のMarkeZine Day 2013のエクスペリアンジャパン講演枠では西井氏が登壇します。本インタビューでも触れたおもてなしEコマースをテーマとした講演となりますので、ぜひご来場ください!登録はこちらからどうぞ。

 西井:創業者の精神を受け継ぎ、「肌のかかりつけ医」を目指したいです。アメリカでは、肌トラブルのときに駆け込める「肌の主治医」がいます。日本では聞き慣れない言葉ですが、ドクターシーラボがそんな存在になれたら嬉しいです。

 中澤:創業の経緯を伺うに、とても御社らしいですね。

 西井:化粧品って、商品のライフサイクルが早いんですよ。だいたい2~3年くらい。でも当社は、代表商品がずっと13年売れ続けている。この背景には、やはり「何かあったときに頼れる」安心感があると思うんです。

 ITリテラシーの高い方は、分からないことがあったとき、困ったときにはGoogleに聞きますよね。でも肌で気になることがあれば、ドクターシーラボに聞く。そんな風に思ってもらえるといいですね。

 中澤:なんだか私もワクワクしてきました。これからもドクターシーラボを愛するお客様が増えるといいなと心から思いますし、当社も最大限にお手伝いさせていただきます。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/09/27 16:15 https://markezine.jp/article/detail/18415