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DMPとオーディエンスデータ

DMPの仕組みを知ろう、オーディエンスデータを統合する「CookieSync」と「名寄せ」


 連載第2回では、2種類のDMPの仕組みを解説します。オーディエンスデータを統合するために行われる「CookieSync」と「名寄せ」とはどのような作業なのか。そのプロセスを、スパイスボックスの福田晃仁氏が図解でわかりやすく解説します。

DMPの「名寄せ」処理

 第1回は、アドテクノロジーの歴史を俯瞰し、マーケティングの変化、そしてDMPが登場してきた背景について説明した。第2回となる本稿では、よりDMPの理解を深めるため、DMPの仕組み、構造を解説する。

 DMPの基本機能は、オーディエンスデータの集約・名寄せ・分析である。「名寄せ(なよせ)」という言葉はやや聞き慣れないかもしれない。これはインターネット登場以前の時代から、データベースマーケティングで使われている技術だ。ある人が複数のデータベースに異なるIDで登録されている時、同じ人のIDとしてそれらのデータを統合することを指す。これはデータベースエンジニアリングの世界で「キー(Key)リレーション」と「マッピング」と呼ばれているもので、DMPはこの名寄せによってデータをつなぐ処理を行っている。

 前回、DMPには「データセラー型」と「プライベート型」の2種類があると説明した。データセラーDMPは、複数サイトの“接触履歴データ”をつなぎ、広告主に対して「ターゲットオーディエンスデータ」として提供する。

 一方プライベートDMPは、企業Webデータの3軸である「広告データ」「Webログデータ」「CRMデータ」をつなぐ。例えば「この広告媒体からサイトを訪問したあるユーザ」は「サイト上でこんなコンテンツにアクセスしている」といったことが横串しに通して解析できるようなる。そして、その媒介(つなぎ役)となっているのが、Cookieである。

Cookieの基礎知識

 インターネットに携わる人であれば、Cookieについて一度は聞いたことがあるだろう。しかし、DMPの裏側の技術として、今一度ポイントを押さえて理解したい。

 Cookieは、インターネットの黎明期からある技術だ。1994年に主要ブラウザのひとつだったNetScapeに搭載されて以来20年間使われている。当時の国内インターネット普及率は3%未満であることを考えると、いかに長い間使われ続けているかわかるだろう。しかも、規格の統廃合が行われながらも基本的な仕組みは変わっていない。ある意味、相当に枯れた技術だ。

 Cookieは、アクセスしたサイトから付与され、ユーザのPC内に保存される小さなファイルである。そこに保存された情報はログイン時のIDやパスワードの入力補助、ECサイトなどの簡易認証、閲覧履歴の保持などに使われる。Cookieファイルの中身は以下のようなツールを使って簡単に見ることができる。

Chrome拡張機能 「Edit This Cookie」
Chrome拡張機能 「Edit This Cookie」
google.co.jp のCookie表示。
画像はSID(Session ID)の表示
google.co.jp のCookie表示。画像はSID(Session ID)の表示

 このファイルによって、あるサイト(サーバ)は、アクセスしてきたユーザが何回目の訪問で、何を閲覧しているのか、確認することができる。つまりこれは、ブラウザに蓄積されるユーザのインターネット上における行動ログと言い換えることができる。

 Cookie自体に 閲覧履歴といった行動ログが書き込まれることはない。実際のログデータは、Cookieを付与したサイト(サーバ)上に保存されており、インターネット上では暗号化された文字列だけがキーとしてやりとりされる。例外的に、先ほどの「入力補助」のIDとパスワードといったユーザの入力情報はブラウザに保存され、ブラウザ側で復号処理がされる。

 Cookieは、サイト(サーバ)側で復号処理がされることではじめて解読され、何回目の訪問なのか、あるいはどのページを閲覧したのかといったセッション管理をする仕組みとなっている。この仕組みによって、仮にこのCookieが発行されたサイト以外に渡ったとしても、そのサイトはユーザの行動ログを解読することはできない。

1st Party Cookieと3rd Party Cookie

 「1st Party Cookie」と「3rd Party Cookie」は Web広告業界ではたびたび出てくるワードであり、「3rd Party Cookie をターゲティングに使って…」といった文脈で使われる。これは、Cookieに3つの種類があるように聞こえるが、仕様上の違いがあるわけではない。ユーザが、ブラウザで表示させたサイトを主体とした時の人称の違いによる呼称である。

 では、人称の違いというのはどのようなことなのか? 1stとは「1人称(わたし)」のことであり、表示しているサイト本体を示す。3rdとは「3人称(わたし以外の第三者)」であり、表示しているサイトではなく、ほかのサイトのことになる。ちなみに、2nd Party Cookieと呼ばれるものもあるが、こちらの説明は第3回で触れたい。

 例えば、ブラウザのアドレス欄に「MarkeZine」のURL(http://markezine.jp/)を入力してサイトが表示された時、MarkeZineからユーザに付与されるCookieを1st Party Cookieという。実はサイトの広告エリア(青色で示した部分)は媒体として他サーバ(DSP/SSPなど)と応答をしている。ユーザはこれらのサーバからMarkeZine以外のCookieも付与されている。これが3rd Party Cookieである。

 つまり、ユーザ(ブラウザ)には、表示されているサイト本体のCookieと、表示されているサイトからは解読することのできない第三者のCookieが付与されることになる。すなわち1stと3rdが同時に付与されているのだが、この仕組みはインターネット上で、同一人物(ブラウザ)を特定するために重要な役割を果たしている。

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この記事の著者

福田 晃仁(フクダ アキヒト)

株式会社 学研ホールディングス CMO 株式会社 学研エデュケーショナル 取締役 / 株式会社 学研プラス 取締役 / 株式会社 学研教育みらい 取締役 / 株式会社 地球の歩き方 取締役総合代理店 / ITベンダー / 事業会社のキャリアを持ち、一貫してマーケティングとTechの両面によるアプ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/04/11 00:07 https://markezine.jp/article/detail/19196

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