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MarkeZine Day 2015 Spring(AD)

“MAはエンゲージメントマーケティングプラットフォーム”へ、マルケトが目指すマーケティングの進化

 「精度の高いパーソナライゼーションを実現し、お客様の生涯価値を高めていく」。エンゲージメントマーケティングの原則であり、かつマルケトが実現することとして、同社代表取締役社長の福田康隆氏はこう語る。3月17日(火)に開催したMarkeZine Day 2015 Springにおいて、福田氏は、世界中のマーケターの業務基盤システムとなっているマルケトのマーケティングオートメーションツールの可能性を示した。

自社イベントには1000人のマーケターが集結、MA市場をリードするマルケト

 群雄割拠のマーケティングオートメーションツール市場。2014年3月に日本法人としての活動を開始して以降、急速に導入企業を増やしているマルケトだが、日本国内でも100社以上のユーザーがマルケトを導入し活用している。2015年2月に開催した「Marketo Summit Japan 2015」には、マルケト本社のCEOやCMO、またIMC(統合マーケティング)を提唱したノースウェスタン大学のドン・シュルツIMC名誉教授など、多彩なゲストを迎えた。合わせて国内外の様々な事例講演が行われた同イベントは、1000人を超えるマーケターが参加した。日本法人の代表取締役社長を務める福田康隆氏も「日本のマーケターの方々の大きな関心と、想像以上の期待を感じた」と振り返る。

株式会社マルケト 代表取締役社長 福田康隆氏
株式会社マルケト 代表取締役社長 福田康隆氏

 マルケトは2007年にアメリカで創業し、13年にナスダック上場という異例のペースで成長している。現在、マーケティングオートメーションの主要ベンダーの中では唯一のマーケティングソリューションに特化したベンダーであり、深い専門知識に裏付けられたマーケターのためのソリューションを提供しているのが強みだ。導入企業はBtoC、Bを問わず非常に幅広く、グローバルで現在3,800社、日本国内でもすでに約100社が活用している。

 ベンダーとしての専門性と製品開発に注力する一方で、パートナー企業との連携に非常に力を入れており、その数は現在400社にも上る。新しいテクノロジーが続々と誕生するデジタルマーケティングにおいて、一社で全ての領域をカバーするのではなく、様々な製品やベンダーと柔軟に連携している点もマルケトの特徴だ。

 最近ではアドテク、DMP領域でのアライアンスが非常に活発になっており、国内においてはマルケトの導入や運用の支援サービスを提供するサービス・プロバイダーとのパートナーシップも強化されている。さらにコンサルティング、Webサイト構築、コンテンツ制作といったそれぞれのパートナーの強みを活かしたサービスが提供されている。

マスマーケティングが通用しない今、 エンゲージメントが重要

 「適切なメッセージを適切な人へ適切なタイミングで届けるというマーケティングの基本原則を実行するのが、ますます難しくなっている」と、福田氏は語る。これが、現在マーケティングオートメーションツールに注目が集まる背景だという。「今、私たちが生活者として1日に接触する広告やメッセージの数は、実に3,000近くになると言われています。この環境下でいかにして自社のメッセージに目を留めてもらうかが、最も大きな課題です」(福田氏)

 これまでの、マーケティング手法とのマーケティングテクノロジーの進化の歴史を振り返ってみると、一方的にメッセージを伝えることに注力していたマスマーケティング時代には、メールマガジンを一斉配信するためのメール配信サービスが広く使われていた。やがて、配信したメールに対するレスポンス、コンバージョンを獲得することを狙った単発型のマーケティングが登場した。

 だが現在では、コンバージョン数を最大化することに注力するあまり、顧客側の視点を忘れて情報配信をし続け、顧客が離れていってしまうことが問題となっている。これからのマーケティングのスタンダードになるとマルケトが考えているのが、長期的に顧客との関係性を構築するエンゲージメントマーケティングだ。

 また、もう一つの重要な市場の変化として、福田氏は「購入プロセスの主導権が買い手側にシフトしている」ことを挙げる。多くの買い手は購入を決めるまで、あるいは営業担当者に会う前に様々な情報への接触によって、購買候補の絞り込みをほぼ終えている。そのため、企業は、買い手と直接接触する前のプロセスから関わりを持てるか否かが重要になってくるのだ。

パーソナライゼーションの精度を高めるには

 では、購買決定よりも前の段階で接触し、顧客の生涯価値を高めるにはどうすればいいのだろうか? 福田氏は、エンゲージメントマーケティングの基本原則として「一人の個人として捉えることが大前提」と語る。

 例えば旅行商品を選ぶとき、学生なのか、ファミリーなのか、それとも高齢の夫婦なのかでニーズがまったく異なることは容易に想像できる。従来から、顧客の属性合わせて提供する情報を出し分けることは行われてきた。エンゲージメントマーケティングでは、さらにその顧客の行動に注目する。その顧客固有の関心事や特性、そして今の購買の意思を理解して、パーソナライズすることで顧客との関係性が大きく進展する。

 「スマートフォン、ウェアラブルといったパーソナルデバイスを通じてお客様の行動を知る機会は大きく増えています。その情報を活用して、より精度の高いパーソナライゼーションを実現しお客様の役に立つ情報を提供していくことで長期にわたってお客様との関係を築くことができます。」(福田氏)

エンゲージメントマーケティングの「4つのポイント」

 これらの現代のマーケターの課題に対してマルケトのマーケティングオートメーションは最新のテクノロジーでサポートする。「マーケティングオートメーションは、マーケターが毎朝、出社したら一番最初にログインするシステムであり、マーケターにとっての基幹業務システムの役割となっています。」(福田氏)

 マーケターの日々の業務の全てがマーケティングオートメーションを通じて計画、実行、分析される。マーケティングオートメーションはマーケターの業務を自動化するためのツールではなく、マーケティング業務の基盤、プラットフォームなのだ。

 エンゲージメントマーケティングを実現するプラットフォームとして、潜在顧客を引きつけ、長期にわたって関係を築き、さらに売上を測定・最大化し、チームの連携を支援する。この4つのステップがスパイラルに連動することで、マーケティングの成果が高まっていく。その4つのステップにおける重要なポイントについて、福田氏より詳細が語られた。

  • カスタマージャーニー構築
  • 行動をトリガーにしたアクション
  • 正しい投資対効果の測定
  • 効率のいいオペレーション拡大

 まずひとつ目のカスタマージャーニーの構築について福田氏は、「お客様の購買につながるプロセスはますます複雑化している」と強調する。もはや顧客の購買行動は分岐型、フローチャート型のキャンペーン設計では対応できない。仮に細かな分岐型キャンペーンを設計し運用しても、そのプロセスは複雑すぎてメンテナンスが出来ないものになってしまう。結果として市場の変化、顧客の購買行動の変化に合わせたキャンペーンが実行できないというジレンマに陥ってしまう。

 マルケトの自社のベストプラクティスでは、顧客のステージを認知/評価/購買の3ステージで大きく把握し、ステージごとに適切なコンテンツのグループとストリームを構成することを基本としている。この基本を参考にして、マーケター自身が、業種別、地域別、役職別というように、必要なカスタマージャーニーを設計し必要なコンテンツを制作し、キャンペーンを実行している。

「適性」「行動」「購買意思」の3つの観点からスコアリング

 2つ目に挙げられた行動をトリガーにしたアクションとは、顧客のリアルタイムでの行動をきっかけとするマーケティング施策を起動することである。「BtoB、BtoCを問わず、初回のコンタクトから、すぐに購入の検討を始めるお客様は全体の10%程度と言われている。残りの約65%は購入の意思はあるが、まだ購入の段階には至っていない状態だと言われています。この65%の潜在顧客の行動から、そのお客様が購入検討段階に入ったかどうかを判別し、それをトリガーに購買行動を加速するマーケティング施策を実行していくのが、エンゲージメントマーケティングのポイントであり、その施策も1対1のアプローチをすることで、購買の確度を高めることができるのです」と福田氏は説明する。

 また、行動情報をマーケティングの施策に活用するために重要なのが、スコアリングだ。マルケトでは「適性」「行動」「購買意思」の3つの観点からスコアリングを実施できる。例えばIT部門の部長以上なら10点、サイト閲覧が1か月空いたらマイナス10点あるいはリセット、といった形で細かく設定して顧客のステージを可視化する。さらに、主要CRMシステムと双方向に連携しているため、営業にまつわる一気通貫のプロセスを管理できる。

 3つ目の投資対効果の測定では、「マルチタッチ」での測定がポイントになる。購買までの顧客接点やインフルエンサーの数、またキャンペーン数が多い場合、一体どのキャンペーンが効果を発揮したのかは非常に分かりにくい。そこでマルケトが採用しているのが、各キャンペーンに重み付けをして投資対効果を集計できる、マルチタッチでの測定だ。実際にマルケトでも、これによって「どのキャンペーンが本当に貢献したのか」を把握、次の予算配分に活かしているという。

専業ベンダーならではの知識と体制で価値を提供

 4つ目のオペレーション拡大については、マルケトのツールがグローバルで事業を展開する企業に多く導入されていることからも、その拡張性や堅牢性の高さがうかがえる。グローバル企業の場合、各地域法人に権限を渡しながら、マーケティングを統一していくことが求められる。マルケトのツールを各地域で活用することで、スピード感と求心力の両方を損なわずに事業を拡大することが可能になる。

 マルケトは、“マーケターが作るマーケターのためのソリューション”が製品の設計思想となっており、現場のマーケターが実務で使える機能、使いやすいUIにはこだわりがある。例えば、キャンペーンの複製といった機能も、画面やメールを個別にコピーできだけでなく、あるキャンペーンの全体をコピーする機能も実現している。これにより、マーケティングの工数を削減できるだけでなく、日付や時間といった細かい情報の更新漏れや設定ミスの防止にもなる。工数が減るだけではなく、マーケティング施策の品質を向上し、担当者の増員なしに実行可能なキャンペーンのキャパシティを大幅に拡大できるのだ。

 このようにマルケトでは、新規顧客との接点の創出からリード育成、効果測定、またオペレーションの効率化による事業拡大までをトータルで支援する。ツールはリーズナブルなコストで短期に導入できるので、データを蓄積しながら徐々に活用を広げることが可能だ。「“Marketing First”という指針に基づき、専業ベンダーならではの知識と体制、そして幅広いパートナーとの連携によって企業のマーケティングをサポートします」と福田氏は意気込みを語った。

 また、同社のサイトでは、最新のマーケティングのトレンドやツール情報をまとめた「マーケティングオートメーション完全ガイド」等の資料を配布している。今後のマーケティング手法を検討する材料として役立つはずだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/04/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22198