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なぜいま『はじめようMinecraft』が売れているのか? 販売データに見るPC版攻略本の売れ方

 翔泳社が2月に刊行したPC版Minecraftの初心者向け攻略本、『はじめようMinecraft』が好調に売れ続けている。日本では家庭用ゲーム機のシェアが強く、海外に比べいまだPCゲームは主流ではない中、なぜPCゲームの攻略本が売れているのか? 販売データを見ると、土日のショッピングモールで大きく売れていることが分かった。

はじめようMinecraft

Amazon /  SEshop / その他
はじめようMinecraft
著者:クスノキ、かぼちゃ、今井三太郎、ぷんすけ
出版社:翔泳社
発売日:2015年2月26日
定価:2,280円(税別)
 

目次

  • Part1 Minecraftの購入と基本操作
  • Part2 Minecraftの世界で遊ぼう
  • Part3 より深く遊ぶために
  • Part4 Minecraftでコミュニケーションしよう

 翔泳社が2月に刊行した『はじめようMinecraft』が売れている。毎月の新刊や話題書と並び、高水準の売り上げを続けているのだ。PC版の購入、インストールから基本的な操作、アイテムの名前、仕掛けの作り方など基本を説明した初心者向け攻略本である本書、この売れ行きの理由とは?

Minecraftはオープンワールドのクリエイティブゲーム。プレイヤーはブロックでできた世界で何をするのも自由。冒険、探索、建築、農業、牧畜はもちろん、さまざまなブロックや仕掛けを組み合わせて既存の建築物やテーマパーク、都市を再現することもできる。

本書執筆陣の1人、今井三太郎さんのチームが再現した京都

本当にPC版プレイヤーが購入しているのか?

 本記事が公開された7月29日(水)、Windows10向けのβ版Minecraftがリリースされた。PC版プレイヤーにとっては『Minecraft: Story Mode』も控えており、今後も楽しみが多いこのゲーム。ここで少し考えてほしい。PC版をプレイしたいと思ったら、どういう行動を取るだろうか。

 普段PCでゲームをすることが当たり前のプレイヤーがMinecraftをプレイしたいと思ったとき、まずやることは、Mojangのサイトに行き、クレジットカードでゲームを購入し、インストールすることだ。説明書などないのでさっそくプレイを開始し、ぽんっと広大な世界に放り込まれる。とりあえずクリックする、WASDで移動する、とにかく何かしてみる。わざわざ攻略本など買わない。知りたい情報はすべて攻略wikiにある。

 では、初心者向け攻略本が売れているということは、PC版をプレイするために攻略本を買う人が現れ始めたということではないのか? それなら話は簡単だが、実際には順序が逆らしい。

二大ハードメーカーが後ろ盾に

 Minecraftは2014年にMicrosoftに買収され、我らの愛すべきNotchはMojangを去った(『マインクラフト』生みの親ノッチの声明全文 ― MS買収のMojangを去る理由とは)。だが、開発方針は今後も変わらないのでひとまずは安心だろう。

Markus Notch Persson

Notch本人のTwitterアカウントより

 この買収によって何が変わったのか? MinecraftはMicrosoftはもとより、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)という家庭用ゲーム機の二大ハードメーカーの後ろ盾を得ることになった。ひたすら口コミだけで熱狂的なファンを獲得してきたMinecraftにとって、これは大きな転換点となった。

 2014年6月24日(火) より日本国内のPlayStation®Storeにて発売開始された、PlayStation®版『マインクラフト』シリーズ(『Minecraft: PlayStation®3 Edition』( 6月24日(火)発売)、 『Minecraft: PlayStation®Vita Edition』( 10月29日(水)発売)、『Minecraft: PlayStation®4 Edition』( 12月25日(木)発売))の、累計販売(有料ダウンロード)本数が50万本を突破!
※2015年2月2日(月)時点 PlayStation®Store販売実績より

 とりわけ『Minecraft: PlayStation®Vita Edition』は、PS3®版に4ヶ月遅れての販売開始にも関わらず、20万本の販売数を突破しており大人気!このヒットを受けて、もっと多くの方に、もっと手軽にプレイ頂けるよう、3月19日(木)にはPS Vitaカード版の店頭パッケージ販売も決定しています!

【ありがとう!】PlayStation®版『マインクラフト』国内販売本数50万本突破! / マイクラ部
※SCEはマイクラ部で継続的にコンテンツを提供している。

 Microsoftは(5月)7日、Xbox版『Minecraft』の売上が2000万本を突破したことを発表した。3年前に発売されたXbox 360版と、昨年9月に発売されたXbox One版の売上を合わせた数字となる。

Xbox版『Minecraft』の売上が2000万本を突破 / Choke Point
Happy Birthday Minecraft: Xbox 360 Edition! / Mojang

※Microsoftも「Minecraft in Education」という、教育関係者がMinecraftをどのように利用してきたかを意見交換するための専用サイトを開設した。

 PC版プレイヤーだけのものだったMinecraftはもう存在しない。ちなみにPC版は3月末に1900万本の総売上を記録した。

低年齢層でのMinecraftブーム

 ITmediaの「小学生にブーム「マインクラフト」 口コミとYouTubeでじわり拡大 その魅力とは」では、小学生を始め低年齢層にコンソール版が売れていることを伝えている。

 また、小学館の『月刊コロコロコミック』やテレビ東京系列の『おはスタ』では特集が組まれ、ニコニコ動画ではなくYouTubeを主体に活動する有名YouTuberが実況プレイをアップロードしている。PC版しかなかった頃に比べて、Minecraftが日本でもさまざまなメディアで取り上げられるようになったことには感慨を覚える。

小学館「月刊コロコロコミック」主催『マインクラフト』クリエイティブコンテスト

小学館「月刊コロコロコミック」主催『マインクラフト』クリエイティブコンテストも開催された
画像は同記事より

 当然、ニコニコ動画の実況プレイでその存在を知り、大人だけの秘密の砂場に足を踏み入れたプレイヤーも多いことだろう。Minecraftはそこから勢いよく飛び出し、子供たちをこの砂場に呼び込んだのだ。

 ということは、その盛り上がりの中で低年齢層に『はじめようMinecraft』が売れているのだと結論することができる。そしてなぜPC版の攻略本なのに売れているのかというと、そもそもMinecraftの解説本・攻略本がなきに等しい状況だったこと、コンソール版に対応した攻略本がなかったことによるのだろう。最近、技術評論社から公式ガイドブックの邦訳が刊行されたが、それぞれ役割が異なっているのは自明だろう。

 さて、では子供たちはどこで本書を買っているのか。

大都市圏以外でも、意外と売れている

 翔泳社内の本書販売データを見てみると、たいへん面白いことが分かる。

順位 人口 販売部数 販売部数/1人
1 東京 東京 愛知
2 神奈川 愛知 岐阜
3 大阪 神奈川 東京
4 愛知 大阪 奈良
5 埼玉 北海道 神奈川
6 千葉 千葉 京都
7 兵庫 埼玉 三重
8 北海道 福岡 北海道
9 福岡 静岡 静岡
10 静岡 兵庫 岩手
11 茨城 岐阜 大阪
12 広島 京都 石川
13 京都 三重 滋賀
14 宮城 広島 福岡
15 新潟 奈良 富山

 これは2月から5月までの販売データ(オンラインショップを除く)で、人口が最強の経済的基盤であることが一目瞭然だ。もちろん人口が多い都市の書店には配本も多いので、その点には注意が必要だが、北海道でこれだけ売れているのは予想外だった。

 ちなみに、1人あたりの販売部数については愛知が抜きん出ており、岐阜が2位にいるのは、県内の主要チェーン店でまんべんなく売れているからだ。中部地方の売り上げについては、地域的な特性のみならず、営業担当者の売り込みが功を奏したのも大きな要因である。いずれにせよ、この表を見る限り、人口に関わらず全国の書店で売れているといえる(書籍によっては関東でしか売れないものある)。

ゲームの近くにあれば売れる

 それでは、具体的にどの書店で本書は売れているのだろうか。同販売データを見てみると、日本で最も本が売れる新宿の大型書店はトップ20に顔を出していない。

 本書は売り上げトップ20のうち、ショッピングモール内書店が半分以上、家電量販店(内の書店)が1/4を占めているのだ。また、レンタル複合型書店のような店舗での売上も目立つ。これらの店舗の特徴は、言わずもがな、コンソール版Minecraftがすぐ近くに売っていることである。

Pocket Edition Vita Edition Xbox One Edition

 日別で売り上げを見ると、土日に売り上げが跳ねる。つまり、家族連れでショッピングモールに遊びに行って、子供が親と一緒に本書を購入する。または、家電量販店にゲームを買いに連れていってもらい、そのついでに本書を買ってもらう、という行動を想像できる。書店からは、子供に言われて買いに来た人もいるという声もある。

 ちなみに、売り上げが伸び始めたのは刊行1か月ほどが経った頃。本書の当初の狙いはニコニコ動画の20歳前後のユーザーだったが、思わぬところから小中学生にブームの火がついた。とはいえ前者にも好評のようで、本書はこの二層のMinecratプレイヤーに受け入れられているようだ。

※書店によっては本書がプログラミングや開発系のPC棚に置かれていることがあるという。ゲーム攻略本の棚にあれば売れるそうなので、書店に勤める人は注意してもらいたい。本書は「ゲーム」の近くにあれば売れる。

これから始める人の頼れる味方

 子供たちは『はじめようMinecraft』をそばに置いてコンソール版Minecraftを遊び始める。しかし、そのうち、コンソール版では本書に載っていることが全部できるわけではないと気づく。そうしてついに、彼らもPC版デビューを果たす。

 この意味で本書は間違いなく、コンソール版やモバイル版のMinecraftプレイヤーにとって、PC版を始めるための最初のガイドブックにふさわしい本だろう。

 本書ではゲームの購入方法から始まり、基本的なシステムや要素、遊び方を解説している。なので、Minecraftをプレイしてみたい人の手元を照らしてくれるだろう。まだよちよち歩きのプレイヤーにも役立つはずだ。

 また、すでにたいまつを持って駆け回っているプレイヤーにとっても、参考になる部分はある。いまだに豆腐ハウスしか作れない人や、レッドストーンの使い方がよく分からない人は、本書で体系的に学んでみれば、遊び方がより広がるに違いない。

目次

Part1 Minecraftの購入と基本操作

1-1 Minecraftに触れる

Minecraftとは?/Minecraftの歴史は?/Minecraftの動作環境/Mojangアカウント作成/Minecraftの体験版を遊ぶには?/Minecraftを購入するには?

1-2 Minecraftのシステム

Minecraft Launcher(ランチャー解説)/ゲームタイトル画面(日本語化)/遊び方(シングルプレイ/マルチプレイ)/オプション(ビデオ設定/難易度)/操作方法とゲーム画面

Part2 Minecraftの世界で遊ぼう

2-1 生活開始

ワールドを作ろう/周りを眺めてみよう/アイテムを手に入れよう/インベントリを開こう/アイテムを加工しよう/道具を作ってみよう/もっとアイテムを集めてみよう/かまどを作ってみよう/たいまつを作ってみよう/集めたアイテムを補完する場所を作ろう/さらなる探索に行く、その前に

2-2 地下探索

洞窟を探索してみよう/地下には何がある?/モンスターに襲われた!/やられてしまった!/洞窟の最深部へ/洞窟探索のコツ/地上へ帰ろう

2-3 地上生活

家を建ててみよう/地上を探索してみよう/村人と取引をしてみよう/農業を始めてみよう/釣りをしてみよう/動物を飼ってみよう/ベッドを作ろう/家を拡張しよう

2-4 その先へ

経験値を使おう/ネザーへ行ってみよう/ポーションを作ろう/旅に出よう

Part3 より深く遊ぶために

3-1 好きな建物を作ろう

クリエイティブモードとは/参考になるものを見つけよう/規模と縮尺を考えよう/置き方による変化を覚えておこう/外装を考えよう/内装を考えよう/周囲を考えよう/変わったものを建ててみよう/図面を描いてみよう

3-2 レッドストーンの活用

レッドストーンについて/レッドストーン機械の動かし方/回路部品1:動力を出す部品/回路部品2:動力を伝える部品/回路部品3:レッドストーン機械/レッドストーン回路の応用/便利な回路を作ってみよう/トロッコ駅を作ってみよう/高度な回路の紹介

3-3 スキンやリソースパックを変える

スキンってなぁに?/スキンを変えてみよう/スキンを作ってみよう/リソースパックってなぁに?/リソースパックを変えてみよう/リソースパックを作ってみよう

Part4 Minecraftでコミュニケーションしよう

4-1 マルチプレイ

マルチプレイとその魅力/マルチプレイを始めるには?/マルチプレイサーバーを準備する/マルチプレイをより楽しむために/マルチプレイサーバー運営の注意/新しい遊び方を探そう

4-2 作ったものを共有する

共有に関するMojangの見解について/どういった公開、共有の方法があるのか/ワールドデータの共有/スクリーンショットを撮ってみよう/動画を撮ってみよう

はじめようMinecraft

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はじめようMinecraft
著者:クスノキ、かぼちゃ、今井三太郎、ぷんすけ
出版社:翔泳社
発売日:2015年2月26日
定価:2,280円(税別)
 

目次

  • Part1 Minecraftの購入と基本操作
  • Part2 Minecraftの世界で遊ぼう
  • Part3 より深く遊ぶために
  • Part4 Minecraftでコミュニケーションしよう

 

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/22660