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「営業が本当にほしいリードとは?」 営業とマーケの両方を知るエキスパートが激論!

 営業とマーケティングが連携して案件をクローズするには、どのような「リード」が必要なのか? 営業とマーケティング双方を知る5人のエキスパートが激論! その熱い議論の一部を紹介します。

 営業部門とマーケティング部門は、その業務も考え方も大きく異なり、「犬猿の仲」と言われることも。しかし、BtoB企業がマーケティングオートメーションツールを導入し、データを活用してビジネスを拡大していくためには両者の連携は欠かせません。9月に刊行された庭山一郎著『BtoBのためのマーケティングオートメーション 正しい選び方・使い方』では、「営業が本当にほしいリードとは」と題して座談会を行い、リード(見込み客)についての熱い議論を行いました。その一部を紹介します。

経験豊富な各氏は初対面とは思えない熱い議論を展開した(会場:シンフォニーマーケティング)

経験豊富な各氏は初対面とは思えない熱い議論を展開した
(会場:シンフォニーマーケティング)

座談会『営業が本当にほしいリードとは』参加者

  • 株式会社データビークル 代表取締役 油野達也氏
  • 大成建設株式会社 医療福祉営業本部 営業担当部長 上田茂数氏
  • ベリタス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 坂尾晃司氏
  • 山洋電気株式会社 営業本部 主事補 田添裕康氏
  • 司会 シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役 庭山一郎

「営業」と「マーケティング」はなぜ仲が悪いのか?

庭山:日本の企業では営業とマーケティングの仲が悪いのですが、アメリカの仲の悪さとは違うんです。アメリカはマーケティングが強い。社長を一番輩出する部門なので、CMOはホントに偉いわけです。だからアメリカの場合は、「俺たち別格」みたいにマーケが威張りすぎなんです。一方、営業は基本的にセールスレップなので、フルコミッション(完全歩合制)。お金はいっぱいもらっているけれど、「俺たちはソルジャーだよ」といった関係です。

シンフォニーマーケティング株式会社代表取締役庭山一郎氏
シンフォニーマーケティング株式会社
代表取締役 庭山一郎氏

 日本の場合はまったく逆で、営業のほうが、偉くて強い。だから、「俺たちは忙しいのに、なぜお前たちがつくったリストをフォローしなきゃいけないんだ」という感じなのです。これがいま悩みの種です。

田添:はっきり言って、営業がほしいリードというのは「注文につながるリード」なんですよ。マーケティングで絞り込むことによって、今まで絨毯爆撃をして100件に1件だったのが、50件に1件になるかもしれない。でも50件に1件でも営業には全然足りないんです。営業がほしいのは「1件で1件」なんです。ここがすべてなんですよ。でも、なかなかそういうわけにはいかない。30件に1件だったら営業はもうちょっと真剣にやると思います。絞り込みの確度の問題です。

山陽電気株式会社 営業本部 主事補 田添裕康氏

山洋電気株式会社 営業本部
主事補 田添裕康氏

 うちの場合、当初はとにかくなんでも営業に振って、「とにかくまず見てきてくれ」というスタンスだったものですから、大ハズレが多かった。だから「やってられないよ」という意識が強くなってしまったのが、まず第一の失敗。最初が良ければ、「あ、これはモノになるぞ」となったかもしれません。

庭山:数が少なくてもいいから濃いものを渡して、「お、いいじゃん」となったら違ったと。

上田:僕も一番最初に、田添さんがおっしゃったみたいに、バサっと営業に渡してたんです、シンフォニーさんとつきあう前です。でも、営業がまったく相手にしてくれないので、これはいかんと。そこで「プレ営業」みたいな部分が必要ではないかと考えました。マーケティング部門に所属していて、営業との接点、いわゆる“のりしろ”みたいな部分までをマーケティングがやったほうがいいんじゃないか、新規に関してはと。

大成建設株式会社 医療福祉営業本部 営業担当部長 上田茂数氏
大成建設株式会社 医療福祉営業本部
営業担当部長 上田茂数氏

 展示会でいただいた名刺で反応を見ながら、もうひとつプラスして、テレマーケティングに取り組んでみました。電話をかけて、相手の方からコミュニケーションしてもいいですよ、ぜひ来てくださいと言っていただいたリードだけを営業に渡しました。営業としては、客先に行きやすいことが重要なんです。僕もそうなんですが、まったく新規のお客様に飛び込むことについては、やはり抵抗があります。ここだったら行っても大丈夫だよというところをリストで受け取ると、営業は安心します。そういう形にして渡せば新規営業の生産性も向上します。あとは、渡す営業の状態。案件対応に追われている忙しい営業に渡してもダメですね。

田添:成功体験をどれだけつくれるか。

上田:そうなんです。小さく始めて徐々にちゃんとマーケティングを育てていって、社内に浸透させるみたいな、そういうやり方をとらないとダメだった。だから結局、自分が初期対応をしてたんです。たまたま上司がいいよって言ってくれたので、営業に行ってもらわずに最初は自分で行って、「あそこは脈があるよ」っていうリストを営業に渡していました。

 そして、その成果を「マーケティング部門は社内的なアカウンティングセールスだ」という位置付けにして社内各所で発表しました。やはりマーケティングと営業の間に、プレセールス(アカウンティングセールス)のような役割を入れてあげると、大変スムーズに行くのかなと自分自身は思っています。

マーケティングと営業の境界が見えにくくなっている

庭山:マーケから、ほしいリードのボリューム感や案件の大きさをたずねられたら、どのように答えますか?

油野:それは営業予算の割り算。今期予算の割り算だと思います。マーケティングに聞かれたらそう言うでしょうね。「どれくらいほしいの?」と言われたら「今期これくらい見えてて、ここが見えてない」と。「ここがチャレンジの部分だけど、マーケティングでなんとかしてくれんかな。去年は100件もらって8件やったなと。でも今期は8件じゃ足りないから、あとリード300件くらいとれへん?」という話をして「いや300って予算どうすんの? 今からイベントやる? じゃそれ予算いくらなの?」そんな感じですよ。

株式会社データビークル 代表取締役 油野達也氏
株式会社データビークル 
代表取締役 油野達也氏

 マーケティングと営業の協力とか、どんな案件がほしいかというのを押し進めていくと、最終的に「営業は自動販売機でいいんじゃないか」と僕は思うわけです。お金をもってるお客さんを呼んで、このジュースがおいしいですよと。テレビやウェブでコマーシャルして、展示会に呼んで、お客さんがお金入れて商品が出るだけだったら自動販売機と同じ。だからマーケティングオートメーションが進むと営業がいらなくなる。もちろん、これは極端な話ですよ。本当に長年マーケティングをやってきた庭山さんみたいな人以外の、最近マーケティングオートメーションをやり始めたような人の話を聞いていると、営業マンはもうアルバイトでもよくなるんですよ。営業をアウトソースする話も今けっこうありますよね。

田添:あります、あります。

坂尾:そういう買収の話も増えていますよね。

庭山:坂尾さんがコンサルしている会社はどうですか。

坂尾:まず、マーケの専門部隊がないという会社が圧倒的に多いです。機能としてはあっても、結局「営業は稼ぐもの、マーケはスタッフ」というのが多いですよね。営業は一番偉いというふうになっているので、連携どころか「あいつらは偉そうなことばっかりで、全然役に立たん」みたいなことを言っている。

ベリタス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 坂尾晃司氏
ベリタス・コンサルティング株式会社
代表取締役社長 坂尾晃司氏

庭山:だいたいそうです。「金ばっかり使って」と。

坂尾:では、営業がちゃんとマーケティングができてるかというとできてないわけですよ。たとえば、引き合いに対する対応だけはすごく上手だという話がありましたが、ほんとにそれは痛感しています。

 僕らが営業研修をやらせていただくとき、たとえばSIerさんのケースを使って、「お客さんの情報をまず最初に集めましょう」と。それを踏まえて課題を設定して、それに対して提案をつくるというのを研修でやるわけです。そこでどういう情報をとるかというと、もうね、引き合いを前提にした情報しかとらないんですよ。たとえば「今どんなハードウエアを使ってますか」とか、すぐ自分たちの提案に直結する話しか聞こうとしない。お客さんのビジネスにまったく興味を持たないし、お客さんの会社の情報を全然とろうとしない。顧客の顧客、顧客の競合という情報もまったくとらないんですよ。これは、どこの業界であっても一緒なんですが、そのあたりの情報をとっていかないと、マーケティング的発想にもとづく営業ってできないはずなのに、ポーンと既存のお客さんから引き合いが来て、それに対応する、スイッチ切ったような営業しかしてないっていうのが如実にわかるんです。

庭山:日本企業が変わるためには、マーケティングサイドも営業サイドも解決すべきことが山積みですね。今日は、業界でも貴重な経験をお持ちの皆さんにお集まりいただき、マーケティングと営業の課題について本当に幅広く、深い話を聞くことができました。ありがとうございました。

 座談会の全貌は、こちらの書籍に収録しています。現在好評発売中です。

『BtoBのためのマーケティングオートメーション
正しい選び方・使い方 日本企業のマーケティングと営業を考える』庭山一郎 著(翔泳社刊)、1980円(税別)、Amazon、その他オンライン書店で好評発売中!

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/15 15:32 https://markezine.jp/article/detail/23125