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フラクタが描く、ECサイト×ブランディングの未来(AD)

思想が伝わるウェブサイトを/人の心を動かすコンテンツで、ブランドの世界観を確立したremyの成功事例

 料理愛好家の平野レミ氏をスーパーバイザーに迎え、昨年立ち上がったブランド「remy」。同ブランドのウェブサイトでは、平野氏のレシピだけでなくコラムや動画、そしてオリジナルの商品まで、幅広いコンテンツを発信して多数のファンを魅了している。そのサイトづくりに活用されているのが、フラクタが提供するブランドマネジメントシステム「FRACTA NODE(フラクタ・ノード)」。その経緯や成功の秘訣を、remy 代表の和田率氏とフラクタ COO WEBプロデューサーの坂野隆志氏にうかがった。

「幸せはキッチンから生まれる」という考え方を世の中に広める

  もとは広告代理店のCMプランナーだった和田氏。独立して「remy」を立ち上げたきっかけは、平野レミ氏の「幸せはキッチンから生まれる」という考え方を、自身が父親になって深く実感したことだという。

株式会社remy 代表 和田率氏

 「サラリーマン時代は、ほぼすべて外食でした。朝のコンビニ弁当から始まり、昼はファストフード。編集スタジオではお菓子漬けになり、仕事終わりは深夜のラーメンでシメ、なんて日もよくありました。めちゃめちゃでしたね。でも、結婚して子どもが生まれてからは、家でごはんを食べることが多くなった。子どもたちを見ていると、食べたものがそのまま血となり肉となり、あっと言う間に大きくなる。食べものによって健康状態もコロコロ変わる。そんな様子を見ていると、 “どう食べるか=どう生きるか”という意識が強くなってきました。平野なんか、何十年も食べものに気を使ってきたおかげで、人間ドックで“レミさんあと5年間は来なくていいですよ”と言われたくらいですからね(笑)。“健康で幸せな暮しは、キッチンから生まれる”と平野は言いますが、それもあながちウソではないな、と。それを支えるのは、おいしい!と思えるごはんであり、ごはんを作ろう!と思える気持ちであり、ごはんを作りたい!と思える道具であり、こうした要素を束ねて世の中に発信したら、喜んでくれる人も多いんじゃないかな、と思ったんです」(和田氏)

 さらに平野氏自身も、Twitterで30万人超のフォロワーを抱え、ネットの波及力を実感しており、「せっかく便利な世の中になったんだから、美味しいレシピをもっと広める方法は何かないの?」と和田氏にリクエストしていたという。

 「それまでは、企業のメッセージをテレビCMを通して人に届ける、という仕事をしていましたが、remyでも、やっていることは基本的に同じなんです。いまは、“幸せはキッチンから”というメッセージを、レシピやコラム、商品を通して発信している。そこにあるのは、言葉であり、コンテンツであり、商品であり、コミュニケーションという意味では、使っている脳みそはあまり変わってないんです」(和田氏)

ただのレシピサイトでは意味がない。心に届くプラットフォームづくり

 「サイト制作の発注先は身近な友人のウェブデザイナーから小さな制作会社、大きな物流会社の通販サービスまで相当数検討しました。その中でたどり着いたのがフラクタさん。作品に土屋鞄製造所さんのサイトがあったんですが、ブランドの想いやメッセージがきちんと表現されていることが伝わってきたので、ここなら安心してお願いできると思いました(参考ページはこちら)」(和田氏)

 サイトは、remyの軸である“幸せはキッチンから”を伝えるための大切なプラットフォーム。システムもビジュアルも一切妥協しなかったという。

 「レシピがたくさん載っているサイトは無数にあるけど、remyでは、量ではなく質的な部分を大切にしました。ただでさえ簡単な平野の料理を、サルでも分かるようなアイコン付きで紹介したり。短尺の動画作品で表現したり。また、コラムページと相互リンクを張り、そのレシピの世界観をストーリーと共に紹介したり。ストーリーがあるレシピほどリピーターも多いから不思議です。料理って、たぶん、ただお腹を満たすだけじゃなく、どんな想いでその料理はつくられたのか、その食材にどんなストーリーがあるのか、それを食べるとどんな会話が広がるのか、っていう部分に本質的な価値があると思うんです。極端な話、味覚よりも気分の方が、“おいしい”って感じさせるパワーがあるんじゃないかな、と。商品開発もそう。いま、10種類以上の商品開発が進んでいるんですが、基本的に、物語として面白くならない商品は、作らないようにしています」(和田氏)

平野レミさんのオフィシャルサイト「remy」

 オリジナル商品が並ぶストア内も、商品スペックよりも、どういった思いから生まれた商品なのか、それがユーザーに何をもたらすのかが、レシピやコラムと共に丁寧に添えられている。ECではあるが、物を売るためというよりも、考え方を広めるためのサイトなのだ。(参考ページはこちら)

 「サイトの構造としては、一番上に思想があって、その下に、それを体現するコラム・レシピ・商品が横並びである感じですね。まずは、料理に親しんでもらうことが第一なので、レシピについては“うちの商品を使わなくても作れるよ!”なんてコメントも載せているくらい」(和田氏)

極限まで削ぎ落として、まっすぐシンプルに伝える/運用は最低限のリソースで

 remyの評価で必ず話題にのぼるのが、UIの使いやすさや美しさだ。

 「それも、フラクタさんの会議室でかなり議論しましたね。これは広告の仕事で学んだことですが、人は情報を見たいと思っていない、という前提に立って物事を考えるようにしています。情報は、とにかくシンプルでわかりやすい方がいい。だから、一般的なレシピサイトにあるような、テキストやリンクで埋め尽くされたようなスタイルは一切やめて、とにかく脂肪分の少ないスマートなサイトを目指しました。モバイル中心の時代に合わせて、誰がどの端末で見ても同じ世界観に触れられるよう、デバイスフリーにしたのもポイントです。一番嬉しかったのは、サイトをオープンして最初にきたお問い合わせが、“このサイトは誰がつくったんですか?”だったこと。平野ファンからも、“びっくりするくらい素敵”と大好評でした。柔軟性の高いシステムをつくれるフラクタさんにお願いした甲斐がありました」(和田氏)

 また、ストレスなく更新できる仕組みにもこだわったという。

 「もともと自分は、ウェブ制作については大の苦手意識を持っていました。コードやタグを見ると、じんましんが出るくらい(笑)。だから、初心者の僕でも使えるよう、管理画面もカスタマイズしていただきました。料理と同じく、とにかく、簡単シンプルに。特殊なアイコン付きのレシピ登録も、誰でも簡単に更新できるよう対応してもらいました。シンプルなUIとシンプルな管理画面の裏で、きっと、とんでもなく複雑な作業が動いていたんだと思います(笑)」(和田氏)

(右)株式会社remy 代表 和田率氏
(左)株式会社フラクタ COO WEBプロデューサー 坂野隆志氏

 remyが立ち上がったのは去年の10月。様々なメディアに取り上げられ、現在では月間100万PVを超えるほどの人気ぶりだ。運用は、最小限のスタッフとフラクタのサポートでまかなわれている。また平野氏のテレビ出演時や、LINE(@mrs.remy)を使ったプッシュ通知時には、ウェブサイトへの訪問者が急増することから、Amazon Web Servicesサポートの実現により、急激なアクセス数増加にも対応している。

 「日々の運用は、企画やデザインの大きな部分は僕が担当し、あとは、実行部隊のウェブマスター1人と、編集スタッフの計3人のみ。その上の方で平野があーでもこーでもないと言いながら監修しています(笑)。フラクタ・ノードを使ってページ作成まで全てこっちでやっていますが、システム面で困った時やECとして判断に困った際に、チャットなどでフラクタさんに相談に乗ってもらっています」(和田氏)

 「平野さんがテレビ出演したり、SNSでキラーコンテンツの投稿をすると、PVや売り上げはぼーんと跳ね上がります。そのときはずっと電話でやりとりしてサポートしています。そのときにちゃんとタイミングよくコンテンツや商品ページを更新すると、さらに売り上げにつながるので」(坂野氏)

飽きられないコンテンツ制作のポイントは“意外性”

 ちなみに、KPIは全く設定していないのだという。

 「商品が売れたら嬉しいし、売り上げを伸ばしたいのはもちろんですが、人が喜んでくれることを続けていたら、ファンも増え、結果として売り上げはついてくるはず。そう信じて、いまは具体的な数値目標を立てずに、商品を含めたコンテンツ作りに注力しています。実際、それを1年続けて、広告なしで売り上げも伸びてますしね。何よりも、remyによって料理の楽しさに気づいてもらったり、キッチンでの行動が変わったりしてくれたら嬉しいし、そういう人を1人でも多く増やしたい。そう簡単じゃないし、悩むときも多いですが、そういうときは、“今つくっているものを、自分が楽しいと思えるかどうか”を指標にしています。これは代理店時代の恩師から叩き込まれたことですが、つくっている本人が楽しくないと、世の中を喜ばせることなんてできないと思うので」(和田氏)

 週に1回発信しているメルマガ用コンテンツ以外は、更新頻度にもあまりこだわっていない。ただ、サイトがマンネリ化しないように、コンテンツは毎回少しずつ角度を変えるよう心がけている。そこで活用しているのがSNS。Facebook、LINE、インスタグラムと、人格・内容・写真のトーンとマナーをそのメディアにそれぞれ合わせたかたちで情報を発信。各メディアのユーザー特性に関する知見をためた上で、本体のサイトに反映している。

 「“予想を裏切り、期待に応える”って好きな言葉があるんですが、コンテンツをつくる際は、“意外性”を大切にしています。平野の明るいキャラの予想を裏切るかっこいいサイトづくりから始まり、ただのレシピ動画と見せかけて、調理する目元にカメラをつけた“目線動画”を配信したり、テレビ番組で平野がブロッコリーを倒してネットで炎上したときには、それを逆手にとって“倒れる・レシピコンテスト”を行ったり(笑)。あとは、自動応答でレシピを教えてくれるLINE@のアカウントや、食育とエンターテイメントを融合させた「Mrs.remyのタッチフード」というアプリも人気ですね。これはリリース直後に1万ダウンロードを突破し、大ヒットを記録しています。商品にしてもコンテンツにしても、人を驚かせるアイデアや、社会的な意義がないと、やる意味はないと思っています。何のアイデアも出なくて、2週間近く何の更新もしない週もあるんですけどね(笑)」(和田氏)

 「これからは、“料理家・平野レミのサイト”というイメージから一歩前進して、“幸せはキッチンから”という思想が自立できるようなプラットフォームをつくりたいと思っています。そこでまた、フラクタさんのご協力が必要。僕の中では、フラクタさんはサイトを一緒に制作する仲間。だから、ただの委託会社ではなくて、当社のIT部門という感じで、これからも二人三脚でやっていきたいです」(和田氏)

 「remyは、これからもどんどん新しいことをチャレンジしていくサイトだと思うので、当社としてもそれが実現できるように、フラクタ・ノードを超えた様々な開発を柔軟にしていこうと思っています。そこからビジネスがどんどん広がるようなものを提供していきたいですね」(坂野氏)

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/10 10:18 https://markezine.jp/article/detail/23282