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CPIに踊らされない新規獲得を、Link-Uとミクシィが語るアドネットワーク「nend」活用術

 コンバージョンポイントを複数設定し計測することで、アプリインストール後のユーザーの動きまで把握し、広告効果を最適化できる機能をもったファンコミュニケーションズのアドネットワーク「nend」。アプリプロモーションの新規ユーザー獲得に活用し、効果をあげているLink-Uとミクシィの2社に、その活用方法やノウハウを聞いた。

マンガアプリと美容マッチングアプリの共通点とは

 Link-Uは、小学館と共同で無料型マンガアプリ「マンガワン」を運営している。同アプリは2014年12月にリリースされ、現在約700万ダウンロード。1日に120万人のユーザーが利用しているという。友野氏は同サービスでマーケティングの宣伝と広告領域を担当。アプリプロモーションの最初期からnendを活用している。

 一方、ミクシィが提供するサロン紹介アプリ「minimo」は、美容師やネイリスト、アイリストなどのサロンスタッフと、ユーザーが直接コミュニケーションを取りながら施術の予約ができるサービスだ。2014年1月にリリースされ、メインユーザーは10代後半から20代前半。今年7月に100万ダウンロードを突破し、月間のサロン予約数は約30万件に達している。本坊氏は新規ユーザー獲得をミッションに、マーケティング戦略全般を担当している。

 両社は共にファンコミュニケーションズのアドネットワーク「nend」を活用して、新規ユーザーの獲得に成果をあげているという。

左:株式会社Link-U 企画部 友野 拓也氏、右:株式会社ミクシィ ヴァンテージスタジオ 新規事業推進室 minimoグループ マーケティングプランナー 本坊 健太郎氏
左:株式会社Link-U 企画部 友野 拓也氏
右:株式会社ミクシィ ヴァンテージスタジオ 新規事業推進室 minimoグループ マーケティングプランナー 本坊 健太郎氏

採用の理由は、インストール後のKPIの確認と自動運用ができる「マルチコンバージョン™機能」

 そもそも、アプリマーケティング戦略でnendを活用するに至ったのはなぜか。minimoではリリース後2年間、大規模なプロモーションをほとんどせずに、口コミだけでユーザーを広げていたという。一定の成長が見込まれ、今年の春に大きく広告費を投下することになり、nendの導入を決めた。

 「minimoでは、インストールと会員登録の2つが重要度の高いKPIです。しかし、ほとんどの媒体社さんは、CPIをあわせにいく運用で、インストール後のKPIは計測SDKの管理画面とエクセルを使って手作業しなければ成果を追跡できませんでした。当初はそのスタイルでなんとか回していたのですが、nendさんのマルチコンバージョン™機能を活用すれば、CPI以降のKPI計測とデータ確認、複数のCVデータを使った自動運用ができ、CPIを追いつつ会員登録のCPA重視の運用も可能だと伺い、導入を決めました」(本坊氏)

 一方、マンガワンは、アドネットワークメインでプロモーションを行っていたという。「その間に、nendさんからマルチコンバージョン™の機能を耳にしました。我々としても新しい試みだったので、まずはやってみよう、と考えました」(友野氏)

 両氏が魅力に感じたマルチコンバージョン™機能は、複数の時点でコンバージョンを計測し、そのデータを元に、様々なメディアごとでの入札を自動最適化できる機能だ。従来、コンバージョンは1カ所、アプリプロモーションではインストール後のアプリの初回起動で計測することが一般的だが、それはインストール後の動きが一定となる1つのメディアでのプロモ-ションにおいて有効なセオリーだ。なぜなら、プロモーションの本質的な目的であるインストール後の会員登録や定期的な利用などへの転換率が変動しづらいからだ。実は、様々なメディアが集まることで構成されているアドネットワークでは、インストール後の動きがメディアごとに大きく異なることから、そのセオリーが適用できないのだが、マルチコンバージョン™機能を持つnendでは、多数のメディアごとの転換率を計測し、自動で最適化をすることが可能となっている。

 例えば、インストールはされていても、その後の会員登録や商品購入の動きは出ていない、などといったことがメディアごとやクリエイティブごとでも把握でき、入札が自動調整されるのだ。

 「我々も、それまではCPIベースでしか考えていませんでしたが、最終ゴールは、お客様により沢山の作品を読んでもらうことです。安く獲得できても、結局インストールしただけで終わってしまっては意味がないので、より深いところでコンバージョンポイントをつくって、媒体を比較できるのは魅力的だと思いました」(友野氏)

密なコミュニケーションで最適化のスピードもアップ

 minimoは従来のECやゲームアプリとは異なり、インストール後にユーザーがすぐ利用しなかったからといって、消極的なユーザーとは判断できない。なぜなら、美容サロンに行きたいという欲求は、その人の髪やネイルの状態に左右されるからだ。

本坊さんの写真

 「ですから、日々の広告運用に関しては、会員登録をKPIに判断し、1ヶ月から数ヶ月の中長期的な視点でROIやROASを計測しています」と本坊氏。それよりも、同氏が感じる大きなメリットは、PDCAを細かく回せることだという。

 「一般的な媒体社さんだとCPI運用になるので、我々が目標とするROASから割り戻したCPIでお願いするスタイルとなります。その後、実際の会員登録のレポートを週1くらいでお返ししますが、それだと、クリエイティブごとやキャンペーンごとに細かく回すことが難しい。その点、nendだと会員登録の数を、広告ごと、メディアごとに見ることができるので、運用がとても楽ですし、細かく見ることができるので助かっています。さらに、nendさんとは密な連携がとれるため、目標とする会員登録のCPAにあわせていくスピードが本当に速いですね」(本坊氏)

 実際minimoでは、インストールと会員登録の二つの地点でマルチコンバージョン™機能を使って運用したところ、メディアごと、クリエイティブごとで会員登録率に大きな開きがあることが分かった。当然、各メディアの会員登録率を元にした運用を行っており、質を維持した獲得数の拡大を実現している。

美容サービスの広告に動物? チャレンジから判明した意外な効果

 さらに本坊氏はマルチコンバージョン™機能の安心感があるおかげで、様々なチャレンジができると語る。例えば、minimoは美容サービスなので、女性やネイルの写真をバナーの素材に使うのが一般的な考え方となるが、そこをあえて、全く関係のない素材を使って反応を見ているのだという。

 「動物写真など、最初は“え?”と思う素材をチャレンジしてみたら、意外と女性の写真を使うより反応が良かったんです。また、試しに写真無しのイラストベースのバナーにしてみたら、主婦向けのレシピサイトで大ヒットしました。主婦層はメインターゲットではないのですが、そこで開拓の可能性があるんだなと気づけたことは大きな収穫でした。こうやって、会員登録まで到達しているのを確認しながら、安心してトライ&エラーを細かく回せる点が大きなメリットですね」(本坊氏)

3つのコンバージョンポイントから見えてきた、良質ユーザー層

 マンガワンでは、マルチコンバージョン™機能を使って3つの時点の計測を行っている。基本となるインストールと、特典として初回限定無料としている100話閲覧、そして最終的にいくら課金されたか、だ。「異なるコンバージョンポイントを観測することで、従来の認識が大きく変わった」と友野氏は語る。

友野さん

 インストールだけで効果を見ていたときは、女性向け作品を使ったクリエイティブはCPIが低く、効率的に新規ユーザーを獲得できているという評価だった。しかし、100話閲覧を確認すると、多くが離脱していることがわかった。そこで、並行して別作品のクリエイティブを男性向けのメディアへ配信したところ、そこから流入したユーザーは100話閲覧まで到達する割合がかなり多いことがわかったという。

 「これまでと同じCPIベースだけで運用していたら、離脱しやすい女性ばかりにアプローチし続けることになっていたかと思います。マルチコンバージョン™機能によって、本当にサービスを使ってくれるお客様が増えたわけです。サービスの成長を考えても、この変化は非常に大きい」(友野氏)

 この、女性向けよりも男性向けの方が効果的だという結果は、開始から1ヶ月未満で出たという。現在は、女性ユーザーへの広告展開を継続しつつ、男性ユーザーをどれだけ拡大できるかテストをしているところだ。

成功のカギは自社サービスの特性と、最終的なゴールの理解

 ここで、アプリプロモーションにおいて注意すべきところは何か、両氏に聞いた。

 「結局、広告効果はROIやROASが見合うかどうかなので、そこをしっかりウォッチすることですね。また、nendさんとのやりとりで発見したことは、CPIが高くても、その後の登録率が良くて会員登録単価が見合えば、運用する価値はあるということ。やはり最終的なゴールを見据えて調整することが大切ですね」(本坊氏)

 「やはり、自社サービスの特性を理解して、求める指標に対して最適なコンバージョンポイントを設計することでしょうか。今、我々は100話閲覧という深めの計測ポイントにしているので、遅い場合は2週間ほどかかり、PDCAを回すのに時間がかかってしまいます。例えば、これを1日のリレーションで見るのでも良いのかな、と。サービスによって差が出てくる部分でもあるので、結果が見えるまでの期間を短くするのも重要だと思います」(友野氏)

 最後に、今後nendを通して、どのような取り組みを行っていくのかを訪ねたところ、友野氏は新規獲得だけではなく、リテンション施策への意欲を語る。「nendさんとのやりとりは、とてもスムーズだし丁寧です。やりやすい相手と一緒に取り組むのが、結局Win-Winにつながると思っているので、これからもパートナーとしていろいろお願いしたいです」(友野氏)

 本坊氏は同じくリテンションや継続率に関する取り組みの他に、マルチコンバージョン™機能について、現在は会員登録まで追っているところを、アプリを起動しているかどうかも見ていきたいと語る。「さらにクリエイティブも、今は価格訴求しているケースが多いのですが、今後は“かわいくなれる”など、よりブランディングを意識して体験を訴求するものを試していきたいですね」(本坊氏)

 今回のインタビューを通し、よりビジネスの本質に近いKPIをウォッチしつつ、新たな施策へのチャレンジを継続的に行うことがアプリプロモーションの最短ルートだと、基本的なことの重要性を改めて認識させられた読者も多いのではないだろうか。nendのマルチコンバージョン™機能を活用し、新規とリテンションの両軸で指標、戦略を立てる両社のこれからの展開も注目したい。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/11/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25392