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人工知能で変わるクリエイティブ 博報堂アイ・スタジオが目指す人対ブランドのコミュニケーションとは

2016/11/10 10:00

 「機械学習」や「ディープラーニング」といったキーワードを目にすることが増えてきている。実際、こうした技術をビジネスに採り入れた企業は、どのようなスタンスで人工知能を活用しようとしているのだろうか。2016年9月8、9日に開催の「MarkeZine Day 2016 Autumn」では、クリエイティブ領域で人工知能をいち早く導入した博報堂アイ・スタジオの北島知司氏が、同社の事例を紹介。合わせて、人工知能をビジネスで活用するための技術基盤を同社に提供する日本マイクロソフトの戸嶋一葉氏から、人工知覚プラットフォームに関する説明があった。

「少し違う」角度からAIとクリエイティブの可能性を探る

 Webの制作に留まらず、マルチタッチポイントでの統合的なデジタルマーケティングをプロデュースするクリエイティブ企業の博報堂アイ・スタジオは、2016年8月に「Creative AI研究所」を立ち上げた。人工知能やそこから派生したコグニティブサービスが、クリエイティブ表現や新たな体験づくりにどのように活用できるのかを研究していく考えだ。

北島氏画像
株式会社博報堂アイ・スタジオ テクノロジーソリューション本部
クリエイティブテクノロジー部 部長 Creative AI 研究所 北島知司氏

 現在、注目が集まっている人工知能だが、注目されるのは今回が初めてのことではない。『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(松尾 豊、中経出版、2015)によれば、これまで3度にわたってブームが訪れているという。1960年代のゲームAIや自然言語処理を中心に研究が進んだ第1次ブーム、特定分野の問題を解いたり質問に答えたりするエキスパートシステムが脚光を浴びた第2次ブーム、そして機械学習やディープラーニングなどを中心とする現在の第3次ブームだ。

 こうしたブームを経ながら人工知能の研究が進んだことで、無人化や自動化、省力化、効率化といった形で研究成果を実感できるようになってきたと北島氏は語る。

 しかし、そうした人工知能の可能性も、広告クリエイティブの文脈で捉えると意味が少し変わってくるという考えを示した。

 「我々も機械学習や画像認識などを使った取り組みは進めているものの、クリエイティブ表現として考えると人工知能の使い方は少し違っています。企業や社会の課題を抽出し、解決方法を提示するのが広告クリエイティブ。テクノロジーもまた、その課題解決の訴求手段という位置づけで活用します」(北島氏)

体験ありきで技術を活用する

 北島氏は、クリエイティブとテクノロジーを活用した事例として、博報堂DYグループの採用サイト上で行った「HAKUHODO DNA」について紹介した。

 HAKUHODO DNAのサイトでは、「顔写真を送ると、写真に写っている人のDNAを鑑定して、そのDNAに向いている職種を紹介する」という機能を実装した。

 DNA鑑定という手法を採用した背景には、「自分はプロモーションの仕事に向いてるんだ……。でもプロモーションってなんだろう?」と、博報堂で活躍する社員の職種・仕事内容について、自分ごととして興味を持ってもらいたいという狙いがあったという。

 DNA鑑定を機能させるため、裏側で博報堂社員の顔写真データベースを構築し、画像認識を使って似た顔の人の職種を引き当てた。その他にもブラウザから直接カメラ操作できるようにする「WebRTC」や、写真をポリゴン風に加工する「ドロネー三角分割」、ブラウザ上で描画しスマートフォンでも軽快に読み込める「SVG」データ形式といった技術も同サイトでは用いている。

 「画像認識そのものの技術が重要ということではありません。まず主体として『技術を使ってどのような体験を生み出して課題解決していくか』ということがあって、それに対して『今回は画像認識を使おう』となる。主役と脇役の位置が逆になっているような使い方になっているわけです」


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