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アポ獲得率3倍、メール開封率5.2倍! マルケトユーザー会で明かされた先進ユーザーの成功ノウハウとは

2017/01/06 10:00

 2016年12月2日、第5回となる「Marketo ユーザー会」が東京で開催された。今年から立ち上がった分科会の活動報告や、製品の最新アップデート情報発表のほか、注目を集めたのが先進ユーザー事例。今回は、企業向けITサービス事業を営むHDEと、転職サイトなどを運営するビズリーチが、成功事例とそのポイントについて語った。

国内マルケトユーザーの熱意に米本社CEOも注目

 2016年12月2日、東京・千代田区で開催された「Marketo ユーザー会」、通称「JMUG」(Japan Marketo User Group)。5回目の開催となる今回は約250名の参加者が集い、マルケト製品の最新情報や他社事例、ノウハウ交換などの話に花が咲いた。

 イベントでは、まずJMUG会長のトレジャーデータ マーケティング担当ディレクターの堀内健后氏が登場し、JMUGの活況について報告した。

JMUG会長のトレジャーデータ マーケティング担当ディレクター 堀内健后氏(左)
マルケト 代表取締役社長 福田康隆氏(右)

 堀内氏によると、今年の大きな動きとして、複数の分科会が立ち上がったことが挙げられるという。分科会の目的は、「特定のテーマに対して関心を持つ人たちの情報交換を活性化すること」に加え、「マルケトユーザーが頻度高く集まれるように」という思いがあったそうだが、「分科会の中には約200名という大所帯もあり、なかなか集まれない」(堀内氏)と、分科会の盛り上がりに嬉しい悲鳴が上がっている。

 分科会は、マーケティング戦略立案をテーマにしたものからテクノロジーを議論するもの、またNPOや人材紹介のような業界特化型など、さまざまな会が発足し、活動しているという。現在も新たな分科会が誕生中とのことだ。

 また本年、JMUGではコミュニティサイトの日本語化にも着手。オンラインとオフラインの活動を活性化し、「JMUG未加入の国内約1,500人のマルケトID保持者に対し、JMUGへの加入を促進する」(堀内氏)と意気込みを語った。

 続いて登壇したマルケト 代表取締役社長 福田康隆氏も、初となる関西でのJMUGを11月に開催したと発表。先進事例やノウハウ共有を望むユーザーは全国的に増えており、「より有意義なJMUG作りに注力する」(福田氏)と語った。

 実際、2016年11月1日に米Marketo本社のCEOに就任したスティーブ・ルーカス氏も、今回のJMUGに寄せたビデオレターで日本市場とそのJMUGの重要性について触れ、会社として日本市場に注力していく方針を宣言していた。

 また、2017年度開始予定の新たなトレーニングコースについても発表。ある程度運用に慣れてきたユーザー向けに、レポート分析やPDCAの回し方などを解説する。さらに、導入後3ヵ月程度のユーザーに対するサポートプログラムも開始。これによりユーザーは、「導入」「運用」「改善」「活用」の全段階において、充実した教育プログラムを受けることが可能となる。

クリエイティビティのあるインサイドセールス部隊のため、マルケトを導入

 JMUGで多くの参加者が最も期待しているのが、先進ユーザーによる取り組みだ。

 最初に登場したのは、HDE クラウド営業部 インサイドセールス&デジタルマーケティングマネージャー 水谷博明氏。講演タイトルを「Marketoが育むInsideSalesの『創造力』と『想像力』」とし、BtoB分野のインサイドセールスにおけるマルケトの活用ノウハウについて語った。

HDE クラウド営業部 インサイドセールス&デジタルマーケティングマネージャー 水谷博明氏

 HDEは、メールセキュリティやメール配信システムなど、BtoB向けのIT・クラウドサービスを手がける企業だ。そのためターゲットとなるのも「セキュリティ意識が高いこと」「情報システム担当者が在籍すること」に加え、従業員数などの企業規模や、他社クラウドサービスの利用有無など、かなり限られた層になるという。

 同社は、サービス開始から数年間は新規開拓を優先し、テレアポを取り営業活動を展開していた。だが客先に行くアウトバウンドセールスは売上目標を持っているため、どうしても案件化の確度が高い方を優先してしまう。この結果、一度アプローチしたものの放置されたリード件数が膨大になってしまった。もともとターゲット層が限定されるため、売上を伸ばすには手持ちのリードを掘り起こさなくてはならない。しかし、その仕組みもリソースもないという状況下において、「具体的に進めたのが、インサイドセールス部隊の新設とマルケトの導入です」(水谷氏)という。

 新設したインサイドセールス部隊のミッションは、従来「気合い」と「根性」で培っていた営業スタイルから脱却し、クリエイティビティのある営業部隊を育成すること。そのためHDEでは、マルケトを「リードを生み出すツール」ではなく、あくまで営業活動支援の仕組みとして活用することにした。

アポ獲得率は3倍、商談化件数は従来の2.5倍に

 HDEでは営業管理システムにSalesforce、名刺管理にSansanを利用しており、Salesforceとマルケトを連携させて顧客データを共有している。インサイド、アウトバウンドを問わず営業チームが利用しているのは基本的にSalesforceで、マルケトはその営業活動を支える仕組みとして、裏側で機能する仕組みとなっている。

 「クリエイティビティのある営業を育成する仕組みには、次の4つの要件が必要だと考えました。すなわち、効率的に電話をかける『作業効率化』、アプローチの最適な時期を見きわめる『タイミング』、アプローチ先を見つけ出す『創造力(クリエイティビティ)』、そして電話相手のことを具体的にイメージする『想像力』です。これらを満たすツールとしてマルケトを選びました」(水谷氏)

 現在マルケトは、Salesforceに格納された顧客データや営業活動状況のデータのほか、相手先の規模や決算時期、利用中のメールシステムなどあらゆるデータを共有している。これにより、「決算時期やシステム時期の切り替えタイミングが迫っている企業」に関するメールアラートを出してアプローチを促すほか、かつてアプローチした企業から自社サイトにアクセスがあった際にもアラートを出し、タイミングを逸しない仕組みを構築した。

 また営業用メールに関しても、すぐさま相手先に送信できるようマルケトでテンプレートを作成し、Salesforceの画面から送信できるようにした。アプローチ先が尽きれば、企業規模や地域、決算時期などを指定し、自分の手でオリジナルリストを作ることもできる

 そして同社ならではのユニークな取り組みが、ブライトコーブの動画クラウドサービス「VIDEO CLOUD」との連携だ。これはリード獲得用の動画コンテンツを配信するもので、マルケトで作成したランディングページ上で動画を再生する。

 「ホワイトペーパーや読み物系のWebコンテンツと異なり、動画はいつ、誰がどこまで視聴したかが分かります。そのため、当社製品に関する相手先の理解度を想像しやすくなり、電話営業の会話が弾むようになりました」(水谷氏)

 これにより、アポ獲得率が従来の5%から15%へ大幅に向上。また商談化した件数も2.5倍となり、大きな効果が出た。何より、「これまで中途採用を行う場合IT業界出身者が条件でしたが、インサイドセールスチームを作りマルケトを導入したおかげで属人的な営業スタイルが減り、電話営業に強い異業種からの人材採用も行えるようになりました」(水谷氏)と、事業活動全般において大きな成果が出ていることを明かした。

ビズリーチはスカウトメール改善のためマルケトを活用

 続いて登壇したのは、ビズリーチ ビズリーチ事業本部プロダクト・マーケティング部 プロダクトマネジメントグループリーダー 冨里晋平氏。冨里氏のテーマは、BtoC分野におけるマルケト活用事例についてだ。

ビズリーチ ビズリーチ事業本部プロダクト・マーケティング部 プロダクトマネジメントグループリーダー 冨里晋平氏

 ビズリーチは、転職希望者が自らの手でレジュメを登録し、企業からのスカウトを受けることができるサービスで、管理職やグローバル人材などの即戦力人材が登録していることで知られている。実は同社は、2015年より採用企業向けのBtoB分野においてマルケトを導入しており、現在はインバウンドでのアポ取得率が旧来の17%から29%へと向上したそうだ。

 今回冨里氏が語ったのは、転職希望者に対するマルケトの適用事例だ。具体的には、登録している転職希望者に対しメールでビズリーチの利用を促し、企業からのスカウト数獲得とその返信数を向上させるというもの。同社では事業のKPIとして、「登録している転職希望者からのスカウト返信数」を掲げており、この向上支援のためにマルケトを活用したという。

 「スカウト返信数を上げるには、そもそも企業からのスカウトメールを受信しなくてはなりません。そこでマッチング数を上げるべく、あまりスカウトを受けていない会員約5万人に対し、ビズリーチ自体の利用を促すメールを送ることにしたのです」(冨里氏)

スコアリングやステージ設定機能を使わずKPI向上を実現した理由

 冨里氏によると、マルケト導入以前にもビズリーチ促進に向け、4ヵ月以上アクセスのないユーザーに対し、アクセスするとインセンティブを進呈するという内容のメールを送信したことがあるという。しかし、思うように利用が進まなかったそうだ。

 そこで冨里氏はマルケトを導入し、各利用者の転職活動プロセスに沿って適切な情報提示を試みたほか、スコアリングによってメール送付対象をセグメント化し、状況に合った個別対応ができないかを検討した。だが結果として、どちらもうまくいかなかったという。

 「転職活動プロセスも、ビズリーチならではの複雑なプロセス要件があり、それをどのように反映させれば良いか悩みました。またスコアリングにしても、マルケトを使えば個人のWeb訪問履歴やメール閲覧・開封率は計測できますが、レジュメの内容やスカウトの受信数、開封数、ヘッドハンターへの相談数といった独自データもあるので、これらの情報をどう活用してスコアリングすべきか分からなかったのです」(冨里氏)

 解決策として考えたのが、アクセス履歴やスカウト受信件数などをもとにデータを抽出し、セグメント化するという施策だ。具体的には、「直近1ヵ月に1回以上のアクセス」があり、かつ「スカウトメールが8通以下」の層でセグメントをかけ、かつ「スカウトを受け取るまでの期間で、検索される数が少ない/閲覧数が少ない」と区分化していったという。

 1ヵ月に1度はアクセスしていながら、スカウトが少ないということは、登録ユーザー自身「どうしたらスカウト数が伸びるのか」と悩んでいると考えられる。これに対し、たとえばスカウトマンの検索キーワードとレジュメの間に乖離が見られるのであれば、キーワードに合うように改善策を示したり、レジュメ更新が滞っている場合は更新を促すなどのコミュニケーションを行った。

 これにより、メール開封率は従来の5.2倍、開封後のクリック率が2.7倍となったほか、マルケトでメールを配信した登録者のスカウト受信数が3.9倍に伸びたという。さらに、スカウトへの返信メールの量も5.7倍になった。

 冨里氏は「成功要因は、BtoCで利用する場合『精緻で大量なデータを基に、個別対応を行いユーザー行動を活性化するツール』と位置付けて活用したことです」と述べると共に、「レジュメを更新した人の情報を優先的に検索結果の上位に表示するようにした」と続け、プロダクトの改善と両輪で施策を進めたことを明かし、これがさらに相乗的な効果を上げたことを説明した。

「参考になった」「モチベーションが向上した」――参加者の声

 JMUG終了後の懇親会には、約150名が参加。提供された料理に舌鼓を打ちつつも、各所で活発な意見交換が行われていた。また会場には、15社の連携ソリューションパートナーがブースを開いており、特にHDEが講演で触れたブライトコーブのブースには、多くのユーザーが集まっていた。

 参加者に今回のJMUGへの参加理由を尋ねたところ、ほとんどの方が「他社の活用事例や成果について聞きたかった」と語った。

懇親会にも多くのユーザーが参加した

 「当社でもセミナーからのリード獲得を進めているが、不参加だった方やキャンセルした方へのフォローに課題があり、どうすべきが悩んでいた。今回、動画とマルケトを組み合わせた活用事例がとても参考になり、参加して良かった」(女性)という声や、「今年9月に導入したばかりで、今後の活用フェーズに向け先進事例を学ぶために初参加した。どの事例も大きな成果が出ていて驚いた。次回のJMUGまでに、成果に向けた活用を目指し、さらに深い学びにつなげていきたい」(男性)という意見も。

 また、大阪から参加したという印刷会社勤務の男性は、「当社はマルケトのユーザーであり、パートナーとしてマルケトソリューションの訴求に勤めている。デジタルチャネルだけでなく、DMのような紙のチャネルを活用する新たなマーケティング施策を模索すると共に、マーケティング分野の取り組みは東京の方が進んでいるため、その先進的な事例を取り込みながら、西のマーケティングを活性化していきたい」との抱負を語った。

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