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MarkeZine Day 2018 Autumn

「クーポンだけでは人の心は動かせない」スペースマーケットがコラボマーケティングで得た知見を公開

 マーケターによる会社の枠を超えた発信の場として、「MarkeZineDay 2018 Autumn」にて実施された公募セッション、ライトニングトーク。募集により集まった7社が6つのテーマについて、限られた時間内で次々と凝縮されたスピーチを繰り広げた。レンタルスペースのマッチングサービスを提供するスペースマーケットの堀田遼人氏は、同社が様々な企業と実施してきたコラボレーション施策と、その経験から得た「コラボマーケティングを成功に導くノウハウ」を紹介した。

コラボマーケティングのメリットとは?

 レンタルスペースのマッチングサービス「スペースマーケット」を運営するスペースマーケット社は、これまで「場所・空間」を軸に様々な企業とコラボレーション施策を行ってきた。たとえば、春には「インドア花見」として室内での新しいお花見スタイルを提案。そのスペースにマルティーニロゼをサンプリングした例が話題になった。また直近では、イケアの家具で一軒家を丸ごとコーディネートした”使えるショールーム”として、期間限定のコラボスペース「IKEA MUMS HOME」をオープンさせるなどしている。

スペースマーケット×イケアのコラボ
スペースマーケット×イケアのコラボ

 こうした経験から見えてきたことがあると話すのは、同社のマーケティングを担当する堀田氏。そもそも、なぜ今他企業とのコラボを施策の選択肢として選ぶのか。背景にあるのは「マーケティングコストの高騰」と、「ブランドのコンテンツパブリッシャー化」だという。

 「スマホ・SNS・アプリなどが登場し、生活者とのタッチポイントが多様化したことで、マーケティングコストは高騰しています。一方でそれらの登場により、企業はパブリッシャーを通さずとも、自力で生活者との接点を持てるようにもなりました。こうしたなか、他企業とコラボを行うことには、4つのメリットがあります」(堀田氏)

株式会社スペースマーケット マーケティング担当 堀田 遼人氏
株式会社スペースマーケット マーケティング担当 堀田 遼人氏

 堀田氏が挙げたコラボマーケティングのメリットは、1)コストシェア・コスト削減、2)ブランド力の強化、3)新規顧客獲得、4)自社メソッドの拡張の4つ。

 「コラボすることで新たな顧客体験を提供できるため、自社だけでは接点が持てなかった層ともつながりを持つことができます。またコラボ先の組織体制・運営方法などを間近で見られるため、そこから自社に活かせる学びを得ることもできます」(堀田氏)

 自社完結ではないため、「施策実施の難易度が高まる」、「調整工数がかかる」というデメリット面もあるものの、こうした点さえクリアできれば、コラボマーケティングにはメリットが多いのだ。

“ストーリー共感型”がコラボマーケティング成功の鍵

 では、コラボマーケティングは成功させるためにはどうすればいいのか。その鍵となるのは「共感できるストーリー」を施策に持たせることだと堀田氏は語る。

 「昨年春にフードデリバリーサービスとのコラボキャンペーンを実施し、スペース利用料金やデリバリー料金がお得になるクーポンを共同で発行しました。一部のユーザーには喜んでもらえたのですが、思った以上の反響は得られませんでした。『クーポン』『お得』ということだけでは、人の心は動かせないのです」(堀田氏)

 この経験から、同社では「ストーリー共感型コラボマーケティング」を行うことを意識しているという。施策の根底に、まず共通ストーリーとコンテクストがあり、その上に存在する「生活者のインサイトに沿った体験」を自社ブランドと他社ブランドでつくりだすという構造だ。

ストーリー共感型コラボマーケティング
ストーリー共感型コラボマーケティング

 成功事例として、今年8月よりスタートしている「おうちフェス」というフェス型のホームパーティー企画が紹介された。キリンビールをはじめ7社とコラボして、コラボスペースを無料で体験できるリツイートキャンペーンや、スペースでは「GRAND KIRIN」のサンプリングを実施したものだ。

 これを先述した構造に当てはめると、コンテクストはフェス型のホームパーティーが楽しめるということ。インサイトは夏フェスの時期での開催だったこともあり、MVやLIVE映像を一緒に見る人を誘う口実が欲しいというものだ。

 このインサイトに対し、スペースマーケットは「おうちなのにフェス体験を味わえる」という価値を提供し、キリンビールは「お酒を飲む高揚感と飲み比べ体験でフェス体験を盛り上げる」という価値を提供した。

 施策開始後はTwitter上で多くの共感の声が届き、リツイートキャンペーンは2,000RT達成、想定の2倍のペースで利用数が増加するなど、好調に推移しているという。

 「大切なのは、自社・他社・生活者、すべてにとってWin-Win-Winな企画を作ることです。大きなストーリーを描きつつ、小さくスタートしてみてください」と堀田氏はメッセージを伝え、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29509

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