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アドテック東京 2018

「その提案に愛はあるか」カルビー、ネスレ、吉野家に見る、広告主とエージェンシーが良いチームになる方法

 市場環境が変わり、顧客接点のチャネルや手法が多様化する中で、広告主企業とエージェンシーの組み方にも変化の兆しが見えてきている。いかなる画期的な手段が出てきても、それを生かせるかどうかはチーム次第なのでは、との課題意識を下に「エージェンシーのチーム編成〜人と人が機能するために〜」と題されたセッションがアドテック東京2018で設けられた。本記事では、アジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦氏が「尊敬するお三方にご登場願った」とする同セッションの模様をレポートする。

変化の激しい時代、エージェンシーとどう組むべきか

 アドテックに10年連続で登壇している徳力氏は、これまで議論してきた様々なテーマを振り返り、「結論としてはチーム編成がすべてだと思う」と述べる。新しい手法も次々に登場するが、自分たちのマーケティングに取り込めるかはチーム次第。変化の激しい時代、エージェンシーとどのようにタッグを組むべきだろうか? この大きなテーマのもと、それぞれ新しい形でチームを編成して実績を上げている3名のマーケターが集まった。

モデレーター:アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役CMO ブロガー 徳力基彦氏
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
取締役CMO ブロガー 徳力基彦氏(モデレーター)

 まず、カルビーのグラノーラ「フルグラ」の事業を担う藤原かおり氏。朝食の啓発を通した商品PRによって、その売上を6年間で30億円から300億円へと成長させた。

カルビー株式会社 執行役員 フルグラ事業本部 本部長 藤原かおり氏
カルビー株式会社 執行役員
フルグラ事業本部 本部長 藤原かおり氏

 現在の取り組みとしては、フルグラが新しい朝の文化を作ることを謳った「100年朝食プロジェクト」を発足し、その一貫として順天堂大学との共同によるフルグラの健康価値の研究を3年計画で開始している。

(資料p20)カルビー「フルグラ」のPR活動の変遷。「当社では『売上50億円を超えない商品はブランドではない』と言われ、予算が付かない。そこで朝食を切り口に、フルグラを“日本人の第3の朝食”として打ち出していった」と藤原氏。
カルビー「フルグラ」のPR活動の変遷。
「当社では『売上50億円を超えない商品はブランドではない』と言われ、予算が付かない。
そこで朝食を切り口に、フルグラを“日本人の第3の朝食”として打ち出していった」と藤原氏

 続いて、EC事業運営に加えて、オフィス向けカフェ商品の定期便サービス「ネスカフェ アンバサダー」などの新規事業も手がける、ネスレ日本の津田匡保氏。同サービスは2012年に津田氏が中心となって立ち上げ、現在は42万人の規模に成長しており、ユーザー参加型のイベントなどを通して継続的な関係づくりにも力を入れている。

ネスレ日本株式会社 Eコマース本部 ダイレクト&デジタル推進事業部 部長 津田匡保氏
ネスレ日本株式会社 Eコマース本部
ダイレクト&デジタル推進事業部 部長 津田匡保氏

 そして、来年創業120周年の節目を迎える吉野家から、田中安人氏。牛丼一筋の同社で初めて、肉が一切入らない野菜のみの丼ぶり「ベジ丼」の開発を主導するなど、イノベーティブな試みを連発している。

株式会社吉野家 CMO 田中安人氏
株式会社吉野家 CMO 田中安人氏

 直近では、人気映画『銀魂』などを手がける福田雄一監督によるテレビCMが話題で、13分にもおよぶWeb版も好評だ。3名のうち、藤原氏は広告会社の勤務経験があり、また田中氏は自身で広告会社を創業・経営していた経験を持つ。

「この人に頼みたい」が重要

 それぞれ、どのようなチーム編成で現在の業務を推進しているのだろうか? 藤原氏は前述の順天堂大学との研究を例に、プロジェクトマネージャーを中心にした組織横断的な座組みの模式図を提示する。

 まず社内だけでも、研究や商品開発、マーケティング、ECなど複数の部署と協力しているため、各所とプロジェクトマネージャーがやり取りする形になっている。同時に大学側とも連携し、さらに外部への発信という観点ではデジタルマーケティングエージェンシーとPRエージェンシーの2社とタッグを組んでいる。

 立ち上げ期の現状では、藤原氏がプロジェクトマネージャーの役割を担っているが、軌道に乗ったら部下に任せるつもりだという。エージェンシーを総合広告会社1社ではなく2社と連携しているのは「得意分野がまったく違い、それぞれ『この人にお願いしたい』という希望があるから」と話す。

 津田氏はエージェンシーとのチーム編成について、「旧来のようなトップダウンの関係性を変えようとしている」と紹介する。

 「暗黙の上下関係があるとクライアントにものを言えない雰囲気になり、結果的に機能しなかったり失敗したりする。過去の反省を踏まえて、上下関係のない円陣のような構図を描いている」(津田氏)

津田氏が考える、旧来の組織と理想的な組織の概念図。左側に記載された“クライアントのご意向・ご威光によりシナジーが生まれにくい”状態ではなく、右のような“Self-organizing”な組織を目指しているという。リーダーも顧客も円陣の一員だ。
津田氏が考える、旧来の組織と理想的な組織の概念図。
左に記載された“クライアントのご意向・ご威光によりシナジーが生まれにくい”状態ではなく、
右のような“Self-organizing”な組織を目指しているという。リーダーも顧客も円陣の一員だ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/02 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29535

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