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愛され続けるためのブランド戦略

信頼されるブランドにするため、一貫して「本物」を追求 SIXPADの哲学に迫る

 MTGが提供するトレーニング・ギア「SIXPAD」は、サッカー界のトップアスリートであるクリスティアーノ・ロナウド氏をはじめ、様々なアスリートや著名人を起用し、一貫して「効率的な筋肉トレーニングを実現するブランド」としてのプロモーションを推進し、そのブランドを確立した。どのようにして現在のブランドの地位を築き上げたのか、MTGでWELLNESSブランド本部 SIXPAD部 部長を務める熊崎氏に聞いた。

「本物」になるしかなかった

 美容ローラーが人気の「ReFa」やマドンナがプロデュースする「MDNA SKIN」など、多くのブランドを生み出してきたMTGでは、新ブランドを開発する際「本物を作ること」に徹しているという。

 同社の人気ブランドの1つである「SIXPAD」を開発する際は、EMSの世界的権威である京都大学名誉教授の森谷敏夫氏を説得して知見を共有してもらった。さらに、トップアスリートのクリスティアーノ・ロナウド氏にも開発段階から協力を仰ぎ、気の遠くなるほど検証実験を重ねた末に発売にこぎつけた。

 なぜそこまでして「本物」の商品にこだわるのか。同商品のブランド責任者を務める熊崎氏は、その理由についてこのように語った。

株式会社MTG 企画開発本部 SIXPAD PJ部 部長 熊崎嘉月氏
株式会社MTG WELLNESSブランド本部 SIXPAD部 部長 熊崎 嘉月氏

 「市場で勝つためには、徹底的に『本物であれ』と社長の松下(株式会社MTG 代表取締役社長 松下 剛氏)から託されていたからです。そして、『本物』であるためにはEMSの世界的権威の力を借りる必要がありました。そこで、国内外問わず関連論文を読み漁りたどり着いたのが、京都大学名誉教授の森谷敏夫氏でした」

簡単ではなかった製品開発

 日本国内に最高峰の権威がいると知ったプロジェクトメンバーは、早速京大にある森谷教授の研究室を訪ねた。しかし、知見の共有をお願いしたところ「君たちみたいな健康機器メーカーに協力するものか。帰れ」と一蹴されてしまった。

 「森谷名誉教授は40年間、筋力トレーニングができない高齢者や自力で運動するのが難しい方のためにEMSを研究してきた、世界最高峰の電気刺激の権威です。当時市場にはEMS製品の効果に懐疑的な見方もあった中、世界最高峰の『本物』の技術・経験・知識は是が非でも活用させていただきたい。簡単に諦めるわけにはいきませんでした」

 何度も通い詰め、一緒にEMS市場の信頼を高め、発展させるという約束で森谷教授の賛同を得た。晴れて開発できることになったのだが、森谷教授から課されたのは「20Hz(1秒間に20回刺激を与える)」の低周波を実装するという課題だった。

 「一般的なEMSはもっと高い周波数(50~1,000Hz前後)であることが多いのです。しかし森谷名誉教授は40年間の研究を通して、筋肉が一般的なトレーニングと同じように弛緩収縮する効率的な周波数が20Hzだと見つけ出したのです」

 しかし、20Hzの低周波を実装するには大きなハードルがあった。高周波に比べると皮膚表面に強い痛みをともなうからだ。痛みのある製品は売れにくいし、消費者から苦情が来る可能性もあるため、家庭向けEMS機器に実装している企業はほぼ皆無だった。それでも絶対に20Hzを採用しなければと考えていたMTGは、ありとあらゆる20Hzの波形を作り出し、実験を繰り返した。

 何百通りもの波形パターンを作成し検証を行った結果、痛みをともなわない独自の20Hzをベースとした波形を開発することに成功。さらに、業務用で使われるEMS機器は大掛かりな機械だったが、コードレスで持ち運びできるデザインに仕上げることで、プロダクトの価値を最大限に高めた。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30471

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