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「リアル店舗×デジタルマーケティング」の最前線

「香りの可視化」でECでも新商品の購入を促す 老舗化粧品メーカー THE BODY SHOPの挑戦

 Patheeの原嶋宏明氏が業界キーパーソンを訪ね、「リアル店舗におけるデジタル施策」や、これからの「リアル店舗の役割」について意見を交わしていく本連載。今回は、1976年設立以来、ボディケアアイテムを中心に展開してきたイギリス生まれの老舗化粧品メーカー THE BODY SHOP(ザ・ボディショップ)を日本国内で運営する、イオンフォレスト斉藤正賢氏の元へ。香りやテクスチャなど、実際に商品に触れなければわからない部分が購入の決め手となる商品が多い中、ECでも新商品を購入しやすくするために同社が導き出した解決策とは?

購買フローはコントロールしない

原嶋:まず、イオンフォレストさんが考える、THE BODY SHOPにおける理想の顧客体験フローを教えてください。

斉藤:ECであれ実店舗であれ、どこでも同じようにお買い物を楽しんでいただける状態が理想です。当社のEC化率は約10%と、業界水準から考えると高いかもしれませんが、裏を返せば90%は実店舗でご購入いただいているということになります。

株式会社イオンフォレスト 営業本部 デジタルセールス部 斉藤正賢氏
株式会社イオンフォレスト 営業本部 デジタルセールス部 斉藤正賢氏

斉藤:実店舗をご利用いただくお客様が多いのは、当社商品における購入の決め手の1つに「香り」があるからだと考えています。香りって、オンラインでは知りようがないですよね。そのため、使ったことのある商品はECで購入するけど、新商品は店舗で試してから、という方も多いです。

 私たちとしては、どこで買っていただいても良いと思っています。最初は店舗で体験していただき、香りやテクスチャがわかった製品はECで……というように購買フローをコントロールしようとするのは、事業者側のエゴでしかないので、それぞれのチャネルにおける購買体験をいかに高めていけるかということが大事だと考えています。

原嶋:おっしゃるとおりですね。斉藤さんもお話しされていたとおり、THE BODY SHOPの商品は、香りやテクスチャが重要な商品が主軸です。そんななか、ECを始めたのはどのような経緯があったのでしょうか?

斉藤:EC事業を開始する以前、実は店舗での購入とあわせて、電話やFAXで注文が入ることも多かったんです。当初は電話もFAXも受注に使っていたのですが、アーリーアダプターを中心に、徐々にECを使う方が増えていました。これからはインターネットからの注文が主流になるに違いないと確信し、当社も早い段階から対応したほうがいいだろうと思い、2005年からECをスタートさせました。

 そして、実は香りはオンラインで知ることができないという課題についてもある解決策を考えています。それが、「香りの可視化」です。

「香りの可視化」で化粧品業界のEC事情が変わる?

原嶋:香りの可視化……! 詳細を教えていただけますか?

斉藤:実はまだ詳細はお話しできないのですが(笑)、香りを数値としてグラフ化したいと考えているんです。商品の香りを示す指標を表示させることで、オンライン上でも新商品を購入しやすくなるのではないかと期待しています

原嶋:なるほど、おもしろいですね。ただ、グラフの数値を見ても、ユーザーには香りがピンと来ない気もするのですが……。

斉藤:一つだけを見てもピンと来ないかもしれませんね。そこに関しては、これまで購入したことのある商品のグラフと比較したりすることで、「この商品に近いのであれば、好きな香りだ」というように判断できるようにしたいと考えています。

 早ければ来年以降から挑戦したいと思い動いています。まだこうした取り組みは他にないので、かなりインパクトを与えられるのではないかと期待しています。

原嶋:業界的にも大きな変化となりそうですね! とても楽しみです。

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

原嶋 宏明(ハラシマ ヒロアキ)

Patheeマーケティングマネージャー。大学卒業後Webディレクション、プロダクトマネージャーを経験。前職で動画制作プラットフォームCrevoの立ち上げを経験。現職ではマーケティングから組織構築、広報まで幅広い領域を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/23 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31537

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