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アドテック東京 2019

『東京ラブストーリー』より『君の名は。』に共感する私たち/U30が語る、シェアしたくなるコンテンツ

 コムエクスポジアム・ジャパンは2019年11月27日と28日、「ad:tech tokyo (アドテック東京)」を開催。本記事では28日のセッション「U30が語る、これからのコンテンツ作り」の様子をレポートする。登壇者たちは『ジョーカー』をはじめとするヒット映画のツイート分析を基に、伝わり、広がっていくコンテンツの条件を紐解いた上で、若年層に訴求する広告のあり方を議論した。

作り手の熱量が、受け手に強く伝播する時代

 「U30が語る、これからのコンテンツ作り」と題された本セッション。ミレニアル世代、Z世代特有の価値観を捉え、彼らの行動に影響を与えるコンテンツの共通点を探るべく、若手マーケター・クリエイター5名が集結した。

 モデレーターのMorning Labo 中村氏が最初に問いかけたのは「コンテンツとは何か」。テテマーチ 福間氏の定義は、日常にありふれている物事をおもしろくするもの。どんなものでもコンテンツになり得るとの考えに、全員が同意した。

Morning Labo 代表取締役 中村朝紗子氏電通デジタルソリューションプロデュース & ソリューションプロデューサー 河田紗弥氏テテマーチ コミュニケーションデザイン室 室長 福間昌大氏
Morning Labo 代表取締役 中村朝紗子氏
電通デジタル ソリューションプロデュース&ソリューションプロデューサー 河田紗弥氏
テテマーチ コミュニケーションデザイン室 室長 福間昌大氏

 広告コンテンツの制作に必要な視点として挙げられたのは、クライアント目線と生活者目線、そしてクリエイター目線だ。電通デジタルの河田氏は、「ある人にとっては素敵な情報も、別の人にとってはそうでもない、ということもある」と、そのコンテンツをどんな人に届けるかを特に意識していると明かした。

 また、生活者目線に関してTwitterの田邊氏は、プラットフォームごとのオーディエンスのインサイトを把握する重要性を挙げた。

 「Twitter利用者の平均年齢は、実は35歳。もう若いとは言えないかもしれません。使い方も、電車の遅延や天気予報など、ニュース性のある情報を見に来る人が多くなっています。こうした変化を踏まえたコンテンツ作りも大切です」(田邊氏)

 テラスサイドの玉井氏は「作り手の熱量が、受け手により強く伝播する時代になっている」と、クリエイター目線の重要性を強調した。

テラスサイド代表取締役社長  玉井雄大氏Twitter Japan Marketing Manager, Global Business Marketing 田邊慧子氏
テラスサイド代表取締役社長 玉井雄大氏
Twitter Japan Marketing Manager, Global Business Marketing 田邊慧子氏

ヒット映画×Twitterで紐解く、広がるコンテンツの秘訣

 次のトピックは「伝わり、広がるコンテンツの条件」。田邊氏が用意したヒット映画に関するツイート量分析を基に、議論が交わされた。

半年間諦めず、ヒットにつなげた『カメラを止めるな!』

 1つ目の分析対象は『カメラを止めるな!』。2017年11月に映画が公開され、そこから6ヵ月間はほとんどツイートが見られなかった。しかし2018年6月頃から急激にツイート量が増え、爆発的ヒットに。田邊氏も「こんなグラフは見たことがない」と驚いた、珍しい例だ。

 田邊氏が同映画の監督から聞いたところによると、出演者全員がTwitterアカウントを取得し、公開直後からエゴサーチやいいね、リツイートを実施。約半年間諦めずに継続したことが、ヒットに結び付いたと考えられる

 また玉井氏は、「スマホでコンテンツを楽しめる時代に、なぜ映画館に行くのかという議論がありますが、『カメ止め』の場合は、映画館で毎回誰かが舞台挨拶をしていたそうです。それだけでなく、映画の感想をつぶやいた瞬間にリツイートしてもらえる。こうした体験こそが、価値になっているのではないでしょうか」と考察した。

感想が二極化し、活発な議論が起こった『ジョーカー』

 『ジョーカー』は2019年10月4日の公開初日から大きな話題に。4日目は平日(月曜日)にも関わらず、トレンド入りしていた。

 特徴的だったのは、視聴したユーザーの感想が二極化したことだ。「良い話」「辛すぎた」など、コンテンツのネガティブ/ポジティブに関する意見表明が盛んに行われたほか、「ジョーカーを生まない社会にするには」といった議論も発生したことで、ツイート量が増加。これを踏まえて田邊氏は、Twitterにおけるコンテンツ成功のポイントの1つとして「どれだけディスカッションがなされるか」を挙げた。

 では、議論を生むコンテンツとはどのようなものか。登壇者たちの見解に共通していたのは、余白をもたせることだ。

 「私たちの世代は、すべてを描き切らないコンテンツを好む気がします。『東京ラブストーリー』より『君の名は。』に共感するのも、『2人は付き合ったと思う』『いや私は違うと思う』と、考察したい気持ちがあるからではないでしょうか」(河田氏)

 「ツッコマビリティが重要。これはツッコミを入れてもらう可能性を残すという意味の造語です(笑)。今日僕はビジネスカンファレンスという場に赤いパーカーとヘッドホンで来ていますが、これもツッコマビリティを生むための演出です」(福間氏)

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/12 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32521

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