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湯川鶴章の先端ネットマーケティング通信

「メディアはプラットホームに進化する」-米オムニチュアサミット・レポートvol.1

このコーナーでは、時事通信社編集委員 湯川氏の米国取材記事を一部転載しています。今回からアクセス解析ツールとして有名な「オムニチュア」が主催するイベント、米オムニチュアサミットの模様を紹介していきます。 【バックナンバーはこちらから 】

はじめに

 3月に開催された米オムニチュアサミットで講演した調査会社ジュピター・リサーチのメディアアナリストのバリー・パー氏は、メディアサイトが今後3つの点において進化すると予測する。その3つとは、「記事の双方向アグリゲート」「ソーシャルメディア化」「プラットホーム化」である。

記事のアグリゲートは双方向に

 「記事のアグリゲート」は、他社のサイトの記事を集めてくることだけでなく、自社の記事を他社サイトに提供することも含まれる。アグリゲートし、アグリゲートされるということだ。

 記事のアグリゲートは、日本でも既に始まっている。

 例えば、オンラインマーケティングの専門サイト「MarkeZine」は、他社サイトやブログなどの記事、ブログ解析サービスのコンテンツなどをアグリゲートする一方で、自社の記事をヤフーやライブドアといったポータルに配信している。アグリゲートし、アグリゲートされているわけだ。

 一方で、ポータル各社は、他社コンテンツのアグリゲートには熱心だが、自社コンテンツを他社にアグリゲートしてもらうことに関してはまだそれほど積極的ではない。新聞社サイトなど従来型メディアサイトは、他社コンテンツのアグリゲートにさえ消極的であるのが現状だ。パー氏は、今後メディアサイトがMarkeZineのように双方向アグリゲートの方向へ進化していくと予測する。

 数年前には、トラックバックを受けつければ他社サイトへアクセスが逃げるという理由でトラックバックを嫌がるサイトがあったが、今ではユーザーがサイト間を自由に行き来できる利便性を提供することのほうが結局はアクセス数が高まる、という認識をほとんどのサイト運営者が共有するようになっている。「ユーザーを抱え込もうとすることより、ユーザーに利便性を提供するほうがアクセス増につながる」ということをだれもが認識するようになったわけだ。

 恐らく、これと同じ認識の変化がアグリゲートの領域でも進行中なのだろう。やがてどのサイトもコンテンツをアグリゲートし、アグリゲートされることになるのだろう。その際に大事なのは、メディアサイトのターゲット層がだれであるのかをきっちりと認識し、その層に向けた利便性を追求していくことだと思われる。

インターネットがメディアであるという誤解

 さて2つ目の進化のポイントである「ソーシャルメディア化」とは、メディアサイトであってもコメント欄やトラックバック欄を設けたり、記事の最後にソーシャルブックマークのアイコンをつけるなどし、記事を核にしたコミュニケーションを促進することだ。つまり、サイトをコミュニティ化するわけだ。これは日本のヤフーなどのポータルサイトでも最近、力を入れている分野だ。

 一方、従来型メディアサイトの中でも、産経新聞のiza!が早くからソーシャルメディアサイトとして事業を展開。一方的な情報発信が多いニュースサイトの中で、独自の立ち位置、ブランドを確保している。

 パー氏は、メディアサイト運営者の多くは、インターネットを従来型メディアのようなものだと誤解していると言う。同氏によると、ネットの本質はコミュニケーションであり、コミュニケーションを促進することで、情報に「コンテキスト」を与えることができる、と述べている。この情報をだれがどのように受け止めているのか、という「コンテキスト」を把握することで、情報の価値が高まるというわけだ。

 従来型メディア関係者の多くは、ソーシャルメディア化することでノイズが増え、記事自体の信頼性を低下させることにつながる、と考えている。確かにそういった問題は存在するだろうが、その問題をどう克服し価値あるコミュニケーションを活性化させるかが、今後の目指すべき方向である。コミュニケーションから逃げているメディアは勝ち残れないだろう。

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この記事の著者

湯川 鶴章(ユカワ ツルアキ)

米国放浪中に新聞少年のような仕事につき、気がつけば報道の世界に入っていた変り種。シリコンバレーの黎明期からIT産業を中心に取材をし、2000年5月に帰国。現在、時事通信社編集委員。それでもってブロガーであり、ポッドキャスター。性格は極めて優柔不断だが、結構まじめ。謙虚だが思い上がるところもある。主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/05/19 17:00 https://markezine.jp/article/detail/3698

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