拡大する検索エンジンマーケティングの領域
これまで、検索領域に特化したイベントとして1999年より開催されてきたイベント「SES(Search Engine Strategies)」が、今年から「ClickZ Live」にリブランドされた。SESは、検索エンジン業界のカリスマ編集者Danny Sullivan氏(現SMX/Third Door Media Editor-in-Chief)が、1999年に創設した世界的なカンファレンスシリーズであり、現在はIncisive Mediaが運営している。
ClickZ Liveにリブランドした背景の一つには、昨今、さまざまなテクノロジーの進化とともに、必要なマーケティング手法の幅が拡大していることがある。SESでも、ソーシャルメディアやモバイルなどをテーマとしたセッションが増え、内容が豊富となり、これまでSESが特化してきた分野と内容が一致しなくなってきたのだ。
そこで、検索領域以外のマーケティング活動、たとえば、ソーシャルメディアやディスプレイ広告、モバイルやデジタルテレビ広告などのデジタルマーケティング全般などでの需要の高まりを受けて、2014年よりIncisive Mediaが運営していたSESとClickZのブランドを統合する形でClickZ Liveというイベントが発足するに至った。それでは早速、本イベントでトレンドとなっていたテーマを紹介しよう。
トレンドは引き続き「モバイル」
各キーノートセッションから個々のセッションまで、「モバイル」の話題は必ずといっていいほど出ていた。意外にも目新しいキーワードではないため少し拍子抜けしたが、モバイルが軸となりつつも、モバイルと他のデバイス、地域戦略、動画などの掛け合わせが求められる今の時代だからこそ、より消費者へのコミュニケーションの接点として拡大しているモバイルを、どう捉えて活用するべきか、提唱する機会として組み込まれているのだろう。このタイミングで「モバイル」に注目が集まった理由として、イベントを通じて感じたことをまとめてみた。
世界には歯ブラシよりもモバイル端末のほうが普及している
2014年の時点で、世界の人口の30%がモバイル端末を所持しており、インターネット広告の飛躍を後押ししたインターネット普及率40%のラインを近い未来に超えることが予想される。極端な例だが、Mondelez InternationalのBobin Bough氏によるオープニングキーノートの中でも「歯ブラシよりモバイル端末が普及しているかもしれない」という衝撃的な数字が紹介されていた。
検索結果とモバイルデバイスを掛け合わせた施策でCVRは格段に高くなる
年々、モバイルの通信速度が速くなり、ユーザーがスマートフォンでWEBサイトを閲覧する時間も長くなった。それを受けて、企業が用意するページコンテンツの幅も広がり、コミュニケーションパターンが充実してきた。
また、2014年7月に実施されたGoogleのPigeonアップデートにより、ローカルの情報(=検索結果)が、より重視されることになった。その結果、ローカルとモバイルデバイスを掛け合わせた施策だと、CVRは格段に高くなり、SEM従事者にとってローカルへの対応が一層重要になってきた。
さらに、iBeaconを筆頭に、位置情報を利用したキャンペーンを低コストで実施できる基盤も整ってきてたことから、より適切なメッセージを届けることや、店頭やショーケースのエクスペリエンスを高めることに対しても、引き続きモバイルへの注目度の高まりは続くだろう。
テクノロジーの進化におけるROIの見える化
Cookieをベースとしたトラッキングだけでは、デバイスをまたいだ計測ができなかったが、Googleアナリティクスのユニバーサルアナリティクスを筆頭に、ログイン情報を鍵にデバイスをまたいだ計測を、手軽にできる環境が整ってきた。いくつかのセッションの中で触れられていたが、ポストクッキーとしてメールアドレスへ関心があらためて高まっていた。