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MarkeZine Day 2016 Autumn レポート

メルカリ×マネーフォワード×ロフトワーク、プロダクトマネージャーが語る「UXに基づいた施策」

 マーケティングの世界でも浸透し始めた「UX:User Experience(ユーザー体験)」。しかし、制作の現場では長く基本的な考え方として捉えられてきた概念であり、言葉が表す範囲や意味が広がり、少々齟齬が生まれている感も否めない。「MarkeZine Day 2016 Autumn」では、長くUXデザインを手がけてきたロフトワークの入谷氏をモデレーターに、メルカリの伊豫氏、マネーフォワードの細谷氏が登壇し、「プロダクトサイドから見たUXと施策」をテーマにそれぞれの施策と成果を語り合った。マーケターが考えるUXとの共通点や違いはあるのか。ぜひ、気づきの一助としてほしい。

メルカリ、マネーフォワードが考えるUXとは

 まず、パネリストの手がけるサービスそれぞれについて紹介しよう。2013年7月にスタートした「メルカリ」は、日本最大のフリマアプリとして急速に人気を集めている。特徴は3分間で簡単に出品ができること。さらに、売れた商品の約半分が出品から24時間以内に成立しており「売れるのが早い」「出すとすぐ売れる」と顧客満足度も高いという。

 決済は、出品者と購入者の間にメルカリが介在する「エスクローモデル」を採用しており、安心・安全を強みとしている。伊豫氏はその米国版「メルカリ」のプロダクトマネージャーとして、当然ながらUXにも大きく関わる。

メルカリ
メルカリ

 細谷氏が所属する「マネーフォワード」は「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、Fintechを中心とした事業を展開している。具体的なサービスとしては、個人向け自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、ビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などがある。特に「マネーフォワード」は2,580以上の金融関連サービスが連携しており、400万人の利用者(2016年10月現在)でシェアNo.1。細谷氏は、自動家計簿・資産管理サービスの開発を担当し、現在はマネジメントやディレクションにも従事しているという。

Money Forward
Money Forward

 それぞれ最先端のデジタルサービスに取り組む二人が考える「UX」とはどのようなものなのか。また、“ユーザー”とは誰か。以下より、ディスカッション形式でご紹介する。

UXは「モヤッとしている言葉」

入谷: UXという言葉は様々な意味があると思います。社内でどんなふうに使っていますか? また、どのようなシーンで使いますか?

左から、株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 入谷 聡氏、株式会社マネーフォワード PFM開発本部 副部長 細谷 直樹氏、株式会社メルカリ 執行役員 プロダクトマネージャー伊豫 健夫氏
左から、株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 入谷 聡氏
株式会社マネーフォワード PFM開発本部 副部長 細谷 直樹氏
株式会社メルカリ 執行役員 プロダクトマネージャー 伊豫 健夫氏

細谷:プロダクトの場面で、画面に見えるUIや画面に表示される速度などについて語る時にも使いますが、サービス内だけではなく、利用の前にアプリを認知してもらうタイミングから“UX=ユーザー体験”は始まっていると考えています。つまり、知ってもらうための広告のクリエイティブの品質や印象、ダウンロードしてからの登録・ログインなど、そのすべてをUXと認識しています。

入谷:細谷さんはプロダクトのUXを統括する立場でありつつも、わりとマーケティング的というか、顧客獲得の部分までもUXとして捉えているわけですね。プロダクトとマーケティングの橋渡しが課題になる中で、それは大変興味深い事象です。メルカリではいかがですか?

伊豫:メルカリの中ではUXという言葉は、プロダクトの場面であまり使わないようにしています。というのも、おっしゃるようにUXは「モヤッとしている言葉」で、とても耳障りがいい。そのため、結局何を目指そうとしているのか、何をやりたいのか、共有できなくなってしまう恐れがあります。だから、「UXを測定する指標」も設定していません。しかし、利用者が「うれしい」「喜ぶ」などの“状態”を指して、「いいユーザー体験だよね」ということはあります。

細谷:確かに、日々の会話の中では使わないですね。そもそも何か機能を語る時に「UXがいいね」といっても何を褒めているのか、わかりません。なので、たとえば「このボタンは押しやすいね」など、より具体的に表現しています。そのすべてがUXという認識はしていますが。

入谷:お二人とも曖昧なまま「UX」といわないところが共通していますね。確かに、「UX」といった途端にかっこいいけれど、感情が抜け落ちているような、どうとでも取れるような感じがありますね。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/11/02 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25453

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