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サイト内検索を根幹に推進する、コメ兵のオムニチャネル戦略に迫る

2017/04/10 10:00

 リユース事業を展開するコメ兵は現在、オムニチャネル推進に力を入れている企業として注目を集めている。その核となる取り組みとして、ユーザーや店舗従業員が目当てのものを素早く見つけられるよう、ECへゼロスタートの検索エンジンを導入したという。その狙いや、同社のビジョンを取材した。

“ECでチェック→店舗に来店”のニーズが高い、高級ブランド商品

 コメ兵の藤原氏は、IT事業部長という肩書ではありながら、営業企画やデジタルマーケティング部門も管轄し、同社のオムニチャネル化を推進している。

右から、株式会社コメ兵 執行役員 マーケティング統括部部長 藤原義昭氏
株式会社ゼロスタート エンタープライズ事業部 中川茜氏 同部 博士(情報科学)出張純也氏 経営企画管理部 松田忠浩氏

 ゼロスタートの中川氏は、営業やコンサルタントとして同社の営業部門に所属し、コメ兵を担当している。出張氏は情報科学の博士号を持ち、同社の技術部門で設計から開発まで行っている。松田氏は事業開発部門で、他社とのアライアンスや、マーケティング支援を担っている。

 「当社では、たとえば高額時計を買う人の6割が、まずECで商品を確認してから店舗に来店されることがわかっています。そのため、Webも店舗も両方体験していただくという、オムニチャネルのストーリーを描いて展開しています」(藤原氏)

 コメ兵は、高級ブランドの取り扱いが圧倒的に多いため、店舗もそのニーズの高い大都市を中心に出店している。そして、店頭での販売の基盤に、ECがあるという。

 「お客様にはECでお気に入りの商品を見つけたら来店予約をしてもらうことで、指定した店舗での状態確認を可能にしています。そこでは、すぐに買ってもらえなくてもよいと考えています。

 というのも、来店予約をきっかけにお客様が会員になるからです。これにより、CRM施策を展開することが可能になります。また、ECで直接購入するよりも、来店予約経由のほうが、従業員が接客できる分、顧客単価も圧倒的に高いんです」(藤原氏)

購入をきっかけに買取を促すことも可能に

 また、リユース業を展開するコメ兵の場合は商品を販売する以外にも、ユーザーからの“買取”を促す動きも必要になる。

 「たとえば、ロレックスというキーワードでECに流入したユーザーがいるとします。その時には買わなくても、リターゲティング広告をきっかけに来店し購入したとします。すると、“ロレックスを購入されるということは、他のブランドの時計や洋服ももっているのではないか”と予測して、買取を促すコミュニケーションを展開することができます」(藤原氏)

 このように、ECと店舗を中心にオムニチャネルを展開し販売と買取実績を伸ばしているコメ兵だが、ECでは特に、すべての商品を効率良くECに掲載することを重視しているという。

 「なぜかというと、ECサイトで最も閲覧される部分が、“新入荷”のページだからです。毎日21時に店舗の在庫を更新しているのですが、その時間ぴったりに、新入荷ページをパトロールしている人もいるくらいです」(藤原氏)

優秀な検索エンジンは、担当者のコミュニケーション力が重要

 コメ兵は店舗の全在庫を掲載しているわけだが、ユーザーが目当ての商品を効率良く探すために欠かせないのがサイト内検索エンジンだ。2010年のEC開設から他社製品を導入していたコメ兵だが、商品が探しづらいことを含め課題が多かったことや、開設当時2万点だった商品数が今や6万点にまで伸びて当時のエンジンでは対応しづらくなってきたこともあり、昨年9月にゼロスタートの「ZERO ZONE SEARCH」を導入した。

 ゼロスタートに決めた理由は、同社社員のコミュニケーション力の高さだという。

 「正直、技術力に関しては導入してみないと比べようがありません。それより私が重要視しているのは、ベンダーの営業さんやエンジニアさんが、コミュニケーションを取れるかどうかということ」(藤原氏)

 専門家でない限り、中に入れるサイト内検索エンジンの技術的なことを導入前に把握するのは難しい。その分、ベンダーの営業担当が、どれだけ顧客目線でアドバイスをできるか、コメ兵のようなクライアントとゼロスタートのエンジニア双方の間に立ち、適切なコミュニケーションが取れるかが重要だという。

 実際に、ゼロスタートでは導入前はもちろん、導入後も頻繁にクライアントとコミュニケーションを取り、手厚くサポートしている。

 「コミュニケーションはメールで済ませず、できるだけ直接お話するようにしていて、今も頻繁にお電話しています。やはり、文字だけだとわからないところもありますから」(中川氏)

 「ゼロスタートの検索エンジンは、導入して終わりではありません。これからも、密なやり取りを続けていきながら支援していきます」(出張氏)

導入後にCVRが10%増

 続いて、ゼロスタート側がコメ兵への支援において重要視している点を聞いたところ、店舗とECの連携だと述べた。

 「何より、店舗へ集客することが大切だと考えています。そのため、店舗在庫も含め、店舗の情報とECをできるだけリアルタイムで反映できるよう注力しています」(中川氏)

 「店舗での接客術や接客プロセスなどのノウハウを我々が学び、それをECサイトの検索機能に反映することで、よりお客様が使いやすくなると考えています」(松田氏)

 また、コメ兵の店舗では、従業員が接客中にタブレットを使ってECの在庫を確認し、お客様が欲しいものを取り寄せている。つまり、ECが接客のプラットフォームとして機能しているため、店舗従業員が使いやすいように、現場の意見も取り入れたという。

 「検索エンジンのパフォーマンスには非常に満足しています。導入から半年でCVRが10%向上しました。店舗スタッフの評価も良いですね。もちろん、改善点もいくつかありましたが、それに対してもスピーディーに対応いただいています」(藤原氏)

 「直近ですと、スピードを速くしたいというご要望をいただいています。以前の記事でもお伝えしたように、ユーザーは検索結果の表示まで1秒も待ってくれません。待たせるとすぐ離脱してしまうというのが常識です。ましてや、店舗のスタッフも使うとなるとなおさらスピードは必要でしょう。

 そこで、どうすれば改善できるかを、今お話させていただいているところです。他にも、たとえば位置情報を利用して、現在地の近くにある店舗の在庫情報などをご提案できるようになれば、実店舗への誘導になると考えています」(出張氏)

理想は“あれ欲しい”のあれが瞬時にわかるエンジン

 最後に今後の展望について、各氏に伺った。

 「コメ兵様がオムニチャネル戦略を推進されている中で、私たちももっと、実店舗の理解を深めなければならないと考えています。そこから、オーダーベースだけではなく、我々から効果的なソリューションをご提案できるようにしていきたいです」(松田氏)

 「よりサイト内検索エンジンを進化させて、店員のような存在を目指したいですね。全商品の状態をリアルタイムに把握して、お客様が欲しいものはもちろん、欲しいとまだ自覚していない商品までも、先回りして素早くご提案できるようにしてきたいですね」(出張氏)

 「技術的には、そのように店員側からの視点で進化させていき、それと同時に、営業やコンサルを担う私としては、もっと顧客側から、ユーザーだったらどう思うかという視点でいろいろとご提案していきたいです。その両側からご提案することで、全体的にサイトがより良くなると考えています」(中川氏)

 これを受けて、コメ兵の藤原氏は検索の理想形について語った。

 「お客様が、“あれが欲しいのよ!”と言っただけ、つまり具体的なブランド名や商品名などは何も言っていないのに、欲しいものを的確にかつスピーディーに提案できるのが理想です。その理想は、お客様のデータとレコメンドエンジンと掛け合わせて検索結果を表示することで、できる可能性があると思います」(藤原氏)

 さらに同氏は最後に、ECサイトに関する展望を語った。

 「最近ではAIなどを中心に、様々なテクノロジーが注目されていますが、技術が最新であるかとか、流行に乗っているかなんてことはどうでもいい。大切なのは目標。最終的には、お客様がコメ兵と末永く付き合ってくださるような、ブランディングにもつながるECサイトにしたいと考えています」(藤原氏)

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