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「世界の広告費成長予測」を紐解く――世界のスピード感に日本はついていけるのか

 電通イージス・ネットワークは、今年1月、2018~2020年の「世界の広告費成長予測」を発表した。これによると、世界の広告費は2019年に10年連続のプラス成長を遂げる見込みで、特にデジタル広告費のシェア伸長が著しい。電通イージス・ジャパンの頼英夫社長に、注目すべき潮流やプラットフォーマーの動向、また広告業界が直面する課題について聞いた。

世界の広告費成長率予測(2018~2020)サマリー

・2018年の世界の広告費成長予測率は4.1%。前回予測(2018年6月)の3.9%を上方修正。

・2019年の成長率は3.8%、2020年は4.3%と予測。2019年で10年連続の成長、総広告費は過去最高を更新し、6,250億米ドルへ。

・デジタル広告費の成長率は2018年13.8%、2019年12.0%、2020年10.8%の見通し。

・2018年の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は、38.5%、テレビ広告費は35.4%となり、デジタルがテレビを初めて追い抜く見込み。2019年にはシェア40%へ。

世界の広告費成長予測、確認必須のトピックス

――例年発表されている「世界の広告費成長予測」が今年も発表されました。まず、今回のサマリーについて、特筆すべき点をうかがえますか?

電通イージス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 頼英夫氏
電通イージス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 頼英夫氏

頼:総広告費はここ数年、数%ずつの成長率で伸長を続けています。2019年に10年連続の成長となる見込みですが、2018年に比べると、数値は少し鈍化しました。ただ、デジタル関連の広告費については世界的なトレンドとして伸び続けている状況ですね。世界の総広告費におけるデジタルの割合は、2018年にテレビを超え、2019年に40%の大台に乗る見込みです。

――デジタルが媒体別広告費の構成比でトップになる、ということですね。

頼:ええ、世界全体の構成比はもちろんそうなりますし、今回の予測対象としている59ヵ国・地域のうち、世界最大の広告市場であるアメリカをはじめ、26ヵ国・地域でデジタルがトップになると予測しています。

 この動きをけん引しているのは、みなさんご想像の通りでしょうが、モバイル広告費の成長ですね。2019年には前年比19.2%の成長を遂げる見込みで、その主な要因は、アジア太平洋地域のスマホユーザーの増大です。同地域のスマホユーザーは、2016年に約11億9,000万人だったのが、2019年には約15億9千万人となるという予測が出ています。それだけ、モバイル広告市場の拡大が期待されているのです。

 特に、世界第2位の広告市場である中国では2019年、モバイル広告費がデジタル関連広告費のうちの4分の3を占める勢いです。中国では、モバイルの成長率が極めて大きいですね。

デジタル広告市場の拡大、どこまで続くか

――デジタル、特にモバイルの成長は引き続き著しいのですね。他に、頼さんが注目されていることはありますか?

頼:オンラインビデオの拡大も外せないトピックスのひとつですね。たとえば、アメリカだとオンラインビデオがデジタル広告費の20%程度の割合を占めるようになっています。グーグルのYouTubeを筆頭に、Instagramのストーリーズ、それからsnapchatもアメリカの若者を中心にユーザーを拡大しており、そこにかなりのビデオ広告が流れています。

 また、デジタル広告では近年、ブランドセーフティや個人情報保護などの課題が次々とあがっています。ですが、今回の成長予測を見ると、ソーシャルメディア上の広告も18.4%という伸び率で成長しています。デジタル市場は、まだまだ拡大が続くでしょう。

 59ヵ国・地域での調査ではありますが、やはり、1位2位の米中の動向はかなり全体の動向に影響します。ですので、米中の動きが世界的な潮流にもなっていきます。中国でのモバイル広告市場の成長、アメリカでのオンラインビデオの拡大を踏まえても、デジタル成長がここへきて顕著になっているのは明らかだと思います。

――デジタルの成長は、どこまで続きそうでしょうか?

頼:難しい質問ですが、そもそも「何をデジタルとするか」の定義が今、変わりつつありますよね。テレビでさえ、CMのデジタル送稿が進んでオンラインになりつつあります。もはや、デジタルと非デジタル、オンラインとオフラインという区別自体を改める時期なのではと個人的には感じています。

 関連して、かつてはオフラインだったOOHの領域も、デジタルサイネージが一般化して「デジタル」の範疇になりつつあります。さらに今後5Gのサービス提供が開始すると、素材の送稿だけでなく、ロケーションベースの広告展開など活用の幅も広がります。OOHの領域が、デジタル広告市場をさらに拡大する可能性は十分ありますね

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30434

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