SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2019 Spring(AD)

機械学習の活用範囲正しいですか?東証一部唯一のデータ分析専門企業が説く、データ・ドリブンへの第一歩

機械学習に戦略を任せてはいけない

 「よく、戦略アドバイスを機械学習から出せるようにしてほしいとご要望いただくのですが、正直難しいと思います。データで測りえない、コントロールできない外部要因が多い傾向にあるからです。ミッションや戦略は人が、オペレーション部分となる戦術を最大化するためには機械学習を活用するのがベストでしょう」(皆瀬氏)

 このような要望が挙がってくるのは、そもそも機械学習を正しく認識できていないからだろう。もちろん、なんでもできる魔法の杖ではない。機械学習の、統計学との違いは、この「予測できるかどうか」にある。

 機械学習は「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3タイプに分類でき、ビジネスの現場で最も使われるのは「教師あり学習」だ。人間が経験から学ぶように、機械にデータを取り込み、学ばせて判断(予測)を可能にする。たとえば、過去の売上データを学ばせれば、どういう人がいくら買いそうなのかを予測できるのだ。

 スーパーを例により具体的に解説すると以下のようになる。

 まずは会員IDや購入エリア、年齢、購入データを取り込み、顧客マーケティング予測テーブルを構築。そこから、顧客のステータスに合わせた施策を考える。

 初めて購入した顧客に対して、購入から1ヵ月後に10%オフクーポンをアプリのプッシュ通知で配信するというように、「どのような顧客に」「何を」「いつ」「どのような手段で届けるのか」を決めていくのだ。

 さらに、反応確率の高さでセグメントを切ることもできる。売上上位10%の人にだけクーポンを送ったり、反応率5%以上の会員のみにメルマガを配信したりするなど、施策はいくらでも考えられる。しかし、これらをすべて手動でやるのは工数的に現実的ではない。

 そこを解決するのが、MAに代表されるオートメーションツールだ。機械学習で抽出された分析データとMAを組み合わせることで、ほぼ自動的に「最適なタイミングで」「最適な情報を」「最適な手段で」ユーザーに届けることができる。

 「MAのメリットは、大量施策でもミスなくさばききれる点にあります。当然ですが、マーケティングを成功させるためには、施策の「量」と「質」を担保する必要があります。MA導入により施策を自動化させた結果、質はそのままに実行量が2倍になったとしましょう。そうなると、必然的に売上も伸びます」(皆瀬氏)

マーケティング施策は増えることはあっても、減ることはない

 機械学習とMAを活用すれば、データ分析とマーケティング施策をスピーディー、大量にこなすことができる。単純作業も多く含まれる領域だけに、人間がやるより機械にやらせたほうが圧倒的に効率が良くなるのだ。

 講演後半では、まさに機械の力を借りることでパフォーマンスや成果向上を実現した事例が2つ紹介された。まずはYahoo JAPANの事例。2,000万人を超える「Yahoo!プレミアム会員」に対して、一人ひとりのニーズに沿った特典やサービスを適切に提供したいが、担当部署側が依頼しても専門部署側は限られたマンバワーでの対応となるため、どうしても対応が遅くなっていたという。

 そこで、担当部署側はツールを活用し、自分たちでやろうと判断。結果的にSAP Predictive Analyticsを導入し、機械学習を活用したところ、分析業務の短縮化に成功。作業工数を約55%削減(7人日分)できたという。

 次に紹介されたのが高島屋オンラインストアの事例。百貨店オンラインストアという特性上「自分のためではなく誰かのため」、すなわちギフト用に購入するユーザーが非常に多いという。一方で当然自分用に購入するユーザーも一定割合は存在する。つまり、購入目的がそもそも違うユーザーが混在しているのだ。

 たとえば、ギフト用にワインを購入したユーザーがワイン好きかどうかは正直わからない。そのユーザーに対して「あなたにおすすめのワイン」というレコメンドをしたとしても、成果にはつながらない。こうした課題の解決のため、ギフト用の学習データと自分用の学習データをわけ、MAを活用し目的の違うユーザーに対して最適なアプローチをしたところ、成果につながったという。

 まずデータと向きあい、勘と経験を数値化。データ分析から自社の課題を明確にし、戦略を決めたら、オートメーションツールで戦術を最大化する具体例を事例を用いて示し、これがデータ・ドリブン・マーケティングのベストプラクティスだと皆瀬氏は主張した。

 「データは使っても減らないし、使わないと価値が出ません。マーケティング施策も、増えることはあっても減ることはない。事業を成長させていくために、より多くのデータを活用し、より多くの施策を実行できる環境を構築しましょう」(皆瀬氏)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2019 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/04/01 11:00 https://markezine.jp/article/detail/30673

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング