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ファン起点のアイデアで成功導く 横浜F・マリノスのアンバサダープログラム事例

 ’18シーズンよりローンチした「横浜F・マリノス沸騰プロジェクト」。マリノスファンの高度なデジタルリテラシーと横浜エリアの地域性を巧みに活かしてファンベースの企画を数多く創出。今まで隠れていた「スーパーファン」の顕在化に成功しているという。「CtoCのコミュニケーションでマリノスのブランドを確固たるものとしたい」と話すのは、横浜マリノス マーケティング本部 メディア&ブランディング部の部長を務める大多和亮介氏。スポーツ界で異彩を放つ、ファンベースの価値共創モデルでマリノスブランドはどこを目指すのか聞いた。

ブランドを軸にした望ましいサイクル

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回の取材では、横浜F・マリノス(以下、マリノス)が取り組むアンバサダープログラム「横浜F・マリノス 沸騰プロジェクト(以下、沸騰プロジェクト)」についておうかがいします。まず、大多和さんの担当業務から教えてください。

横浜マリノス株式会社 マーケティング本部 メディア&ブランディング部 部長 大多和亮介氏

大多和:私はマリノスのマーケティング本部内のメディア&ブランディング部に所属しています。同部では、サッカークラブの2大収入源であるスポンサー収入とチケット収入を最大化していくために、マリノスのブランド価値向上に向けた取り組みを行っています。

MZ:通常のスポーツチームだとチケッティングの部門とスポンサーの部門に分かれているイメージですが、それとは別にチームのブランディングを行う部門があるんですね。なぜブランディングに特化した部署を立ち上げたのでしょうか。

大多和:17年に行った調査で、横浜市民におけるマリノスへの関心度が20%程度しかない厳しい事実が浮き彫りになりました。それぞれの部署がそれぞれのお客様に向き合うだけでなく、クラブとして統一されたコミュニケーションやクリエイティブを洗練させ、ブランドを立て直していく必要があったのです。

 またスポンサーの場合、これまではスタジアムの看板広告やユニフォーム広告といった露出量を前提としたメリットが中心でした。しかし、それだけでは費用対効果の面でスポンサーの期待に応え続けることが難しくなってきています。一方で、マリノスのファンが持つデジタル上での感度の高さなどに独自の価値を見出していただけるケースも増えてきました。

 ブランドを中心として、ファンベースを拡大し、そのファンのエンゲージメントの深さを、企業への提供価値に変換していくという望ましいサイクルの構築と推進を目指しました。

アンバサダープログラムが必要な理由

MZ:では、今回の本題である2年前から開始したアンバサダープログラムの沸騰プロジェクトに関してお聞きします。なぜアンバサダープログラムにチャレンジされたのでしょうか。

大多和:いわゆるゴール裏と呼ばれる席から、チームと選手を常に熱く激しく応援してくださるサポーター以外にも、目立たないけど同じようにマリノスに対する熱い思いを持った方がたくさんいたからです。

 たとえば、直接的にスタジアムで意見は言わないけど、チームを応援し続け勝敗や順位に関係なく次年のシーズンチケットやグッズを購入してくださる。マリノスが生活の一部になっていて、スタジアムでの楽しい過ごし方を熟知されている。マリノスに関する極めて優良な口コミを自らのSNSで発信してくださる、といった方がたくさんいます。

 このように、目には見えづらいけど熱量の高いファンのことを我々は「スーパーファン」と呼んでいます。アンバサダーを育てるというよりは、既にいるスーパーファンをより顕在化させ、マリノスのブランディングにも巻き込みたいと考えました。

MZ:確かにそういった、目に見えないけどSNS上で口コミをしている方の声がきっかけで来場するという方もいそうですね。

大多和:まさしくおっしゃる通りで、我々はお客様を6つのクラスタに分けてマーケティング活動を行っているのですが、特に若い男性グループのような盛り上がり重視の層と、新規で初めて来場する層の来場促進が難しいんです。

 この層の方たちは、クラブ側の発信する広告やメッセージにはほとんど反応してくれず、8~9割の方は誘われてもしくはデジタル上の口コミを見て来場していることがわかっています。そのため、集客の面で見ても口コミの位置付けは非常に重要なのです。

 そうした観点から、国内におけるアンバサダープログラムの支援実績を数多く持つアジャイルメディア・ネットワーク社に協力を仰ぎ、ここまでやってくることができました。

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この記事の著者

Fukunosuke.com(フクノスケ)

 スモールビジネスクリエイター&ビジネスコンテンツライター。流通と編集を事業ドメインとしtoB領域でマルチ業務に従事。TECH系、モノ系、HR系のWeb媒体複数社と関係性を構築。‘19年よりSNS向けビジネスコンテンツ制作、営業・輸出代行コンテンツ制作を開始。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31226

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