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3つの切り口から紐解く生活者から選ばれるためのコミュニケーション戦略

ファンケルのCRMとECモールでの顧客獲得戦略

 無添加化粧品や健康食品を主力とするファンケルは、1997年8月とインターネット黎明期からECでの販売を行ってきた。2017年にカタログ通販とECの部門を統一する組織変更を行い、MAなどのデジタルツールを早くから導入しCRMを推進している。そんなファンケルが実践するECにおけるCRM戦略や施策について、「ブランド・ロイヤルティ」をテーマに同社の河内達也氏と長谷川敬晃氏、CCIの宇陀章二氏が語った。

株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部部長 河内達也氏(左)株式会社ファンケル 通販営業本部 ダイレクトマーケティング部 ネットCRMグループ課長 長谷川敬晃氏(中央)株式会社サイバー・コミュニケーションズ メディアグロース・ディビジョン チーム・マネージャー 宇陀章二氏(右)
株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部部長 河内達也氏(左)
株式会社ファンケル 通販営業本部 ダイレクトマーケティング部 ネットCRMグループ課長 長谷川敬晃氏(中央)
株式会社サイバー・コミュニケーションズ メディアグロース・ディビジョン チーム・マネージャー 宇陀章二氏(右)

 販売チャネルは自社ECである「ファンケルオンライン」とAmazonや楽天市場などのECモールに大別できる。前者は、ただ販売するだけでなく、世の中の「不」を解消していくという同社の理念や商品の魅力、開発者の想いなどを伝え、ブランディングしていく場としても位置付けられている。そうして、顧客との絆を作り、商品だけではなくファンケル自体のファン=ファンケラーを醸成していくのだ。

 具体的には、MAツールを導入し、たとえば購入後の顧客に出すメルマガについても、お薦め商品の紹介だけではなく、「製品へのこだわり」や「いかに信頼できる会社か」を盛り込んだ情報を送ることで、ロイヤリティを高めている。

 一方ECモールは、自社ECでは接点を持てない顧客を獲得するための場と位置付けている。2010年2月にスタートしたYahoo!ショッピングを皮切りに、楽天市場、Amazon、LOHACOで出店。実はECモール出店の検討からオープンまでに2年を要している。苦労したのは、これまで接点を持ちにくかった顧客へ販路を拡げる為とはいえ、自社ECでの活動や、独自のCRMを推進してきた自社のスタッフたちを説得し、社内では異文化であるECモールを受け入れてもらうことだった。

 ECモールは自社ECに比べて購入者の継続性が低い、独自アルゴリズムがあるため自社ECでは人気の商品もECモールでは検索上位に表示させることが難しく、売り上げが伸びづらい、特にAmazonなどはユーザー軸での購買データ取得が困難でデータ活用ができない、などの課題があったという。

 とはいえ、特にEC市場でのシェアが年々増えているAmazonでの取り組みには注力している。CCIは、Amazon DSPの活用を提案。化粧品カテゴリーの興味関心層には広告を配信することで集客につなげ、化粧品カテゴリーの閲覧層と購買層には広告で誘導、Amazon内リターゲティングで購入へという設計を行った。その結果、ROAS・新規率ともに大幅に増加という成果を上げた。

資生堂ジャパン✕朝日新聞社が語る「届く広告」

 「ブランド・ロイヤルティ」をテーマにした最後のセッションは、資生堂ジャパン/日本アドバタイザーズ協会 常務理事の小出誠氏、朝日新聞社の宮崎伸夫氏、CCIの吉田大樹氏が登壇。現在のインターネット広告の問題点とその対策について語った。

資生堂ジャパン株式会社 メディア統括部エグゼクティブマネージャー/公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 常務理事 小出誠氏(左)株式会社朝日新聞社 総合プロデュース室長 宮崎伸夫氏(中央)株式会社サイバー・コミュニケーションズ アドプラットフォームビジネス・ディビジョン エグゼクティブ・スタッフ 吉田大樹氏(右)
資生堂ジャパン株式会社 メディア統括部エグゼクティブマネージャー
/公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 常務理事 小出誠氏(左)
株式会社朝日新聞社 総合プロデュース室長 宮崎伸夫氏(中央)
株式会社サイバー・コミュニケーションズ アドプラットフォームビジネス・ディビジョン エグゼクティブ・スタッフ
吉田大樹氏(右)

 小出氏によると、テレビや雑誌・新聞ではどういったところに広告が掲載されるか、対向面に競合の広告が入っていないかなどを広告主である企業が気にするのは当然のことだったが、インターネットでの運用型広告ではどの枠に出稿されるかわからないことに危機感が薄いという。生活者が不快に感じるメディアに広告が表示されてしまった場合、投資したにも関わらず企業価値を落とすというリスクがある。実際に資生堂では、ヘイトまとめサイトに配信されてしまい、Twitterでそのことが拡散されてしまうという出来事があった。

 しかしながら、『デジタル広告における意識・実態調査』によると、広告配信をコントロールする「アドベリフィケーション」について、広告主や広告会社の3割以上が言葉自体を知らないという結果となっている。特に1億円規模未満の広告主に限ると、6割が知らないという。「ブランドセーフティ」「アドフラウド」「ビューアビリティ」についても、対応の必要性は感じつつもできていないという声が4割を占めている。

 そうした対策として、ブラックリストとホワイトリスト、参加できるメディアと広告主をクリーンなところに限定したPMP、特定メディアの広告枠を買う純広告などが挙げられる。メディアを複数運営する朝日新聞社では、デジタル広告の審査強化、運用型広告のブラックリスト対応、国際基準のIAS導入、ビューアブル課金広告メニューの開発によって、こうした問題に積極的に対応している。また、自社で定めた「朝日新聞広告倫理網領」に基づき、グレーゾーンに当たる広告は新聞紙面への掲載基準より厳しくしているという。

 吉田氏からは、問題あるインターネット広告への対策は、価値毀損のリスクを減らすだけではなく、広告効果の向上にもつながるというデータが紹介された。ブランドセーフティではないサイトの接触者に比べてブランドセーフティが保たれたサイトの接触者は、ブランド好意度が210%、興味関心度が250%、来店意向が280%上がったとのことだ。ブランドセーフティに配慮しての広告配信は、生活者へ広告を届けるためにも有効であると結論づけられた。そして、インターネット広告を取り巻く諸問題については引き続き業界全体で取り組んでいくべきと締め括った。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/31367

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