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ソーシャルネイティブ、「Z世代の本音」を探る

Z世代=「若者」とひと括りにしていませんか? 4タイプの特性とソーシャル利用を解説


 Z世代=インスタ消費、エコやプライバシー保護への意識が高い……など、その特性をひと括りに捉えてはいませんか? 実は、Z世代には大きく4つのタイプが存在します。本稿では、この4タイプについて“マーケティング視点”で解説します。

カテゴリー分類の利点と罠

 人は他人を完全には理解できないので、何らかのカテゴリーにあてはめて認知しようとするくせがある。日本人が大好きな血液型診断はその典型だろう。

 僕はよく「典型的なAB型だ」と人から言われる。確かに二面性があるし、合理的だと自分でも思う。でも、仮に僕がA型だったらどうだろう。聞いた人は「几帳面なとこ、あるよな」と納得するだろう。でもB型であれば「マイペースだもんな」と得心しそうだ。O型なら「大雑把なキャラなんだよね」などと感じるだろう。

 現実には「血液型と性格」は、多くの心理学の実験結果から有意な関係性が見いだせていない。しかし、人は多様で複雑な性質を持っているために、ある特徴を言語化されると「まさにそうだ!」と誤解してしまうのだ。

 今日のメインテーマである「Z世代の4タイプ」も、似たようなカテゴリー分類であり、多様な特徴のうちの一部を言語化したものである。ただし、血液型と明らかに性質を異にしているのは、このカテゴリー分類は、約3,000名を対象にした「価値観と消費行動に関するアンケート結果」の分析から、類似した集団(クラスター)を割り出して作ったという点だ

 実際、4タイプの“あいだ”に位置づけられる人も多く、安易な盲信は危険性だが、ステレオタイプ的な認知には利点もある。常に変化しうる現実を、パターン化により整理し、理解の一助にしたり、変化を予測したりすることができるからだ

 これらの前提を踏まえた上で、今回は「Z世代の4タイプ」という視点で記事をまとめてみた。このカテゴリー分類が、若者世代を理解するうえで参考になるところがあれば幸いである。

ミレニアル世代の4タイプ

 2017年9月に、イノベーションチームdotと(株)ループス、(株)4thの三者チームで構成される「Z世代会議」は、3,000名のミレニアル世代を対象として、価値観やライフスタイルに関してのアンケート調査を実施した(調査概要は記事最後に記載)。

 ここで、世代について補足しておく。ミレニアル世代はY世代(1981〜1995年生まれ)Z世代(1996〜2010年生まれ)に分類され、前者はインターネットや携帯が当たり前の時代に生まれたデジタルネイティブ、後者はソーシャルメディアやスマホ時代に生まれたソーシャルネイティブである。

 同チームでは、選択肢にあげた104項目に対する回答傾向から、クラスター分析によって、ミレニアル世代の調査対象者2,824名を4タイプに分類した。その上で、時間をかけて議論し、その特性を象徴するようなネーミングをつけた。名付け親は『ファンベース』(ちくま新書)の著者、佐藤尚之氏である。

Z世代の4タイプ
Z世代の4タイプ

タイプ1:⼈⽣ガチ勢

 「⼈⽣ガチ勢」は、今の⽣活が楽しく満⾜であり、⼈⽣はきっとなんとかなると「⼈⽣を楽観的にとらえている、前向きな若者」だ。友⼈が多いことを好み、楽しい雰囲気や場所を作ろうとする社交家である⼀⽅で、伝統的な仕事観や上下関係を重視する点など、保守的な側⾯も持ちあわせている

タイプ2:省エネペシミスト

 「省エネペシミスト」は、⼈づきあいが苦⼿で、努⼒や訓練が必要なことはやりたくない、⽬⽴ちたくない、など「がんばりたくない若者」だ。ブランドにこだわらず、無駄なものは持たないなどミニマリストの傾向も強い。⾃分⾃⾝を真⾯⽬な性格だと考えているが、声をあげても世の中は変わらない、努⼒しても報われないことが多い、など⼈⽣を悲観的に捉えており、この点では「人生ガチ勢」と対象的だ。

タイプ3:ソーシャルよいこ

 「ソーシャルよいこ」はZ世代の⼥性に多い「SNSの使い⽅が極めて特徴的な若者」である。新しいものが大好きで、トレンドに敏感。情報感度が⾼いが、⼈⽬が気になる⼈が多く、一般的に言われる「Z世代の特徴」と重なるタイプである。前回記事で言及したが「インスタ消費」をする若者は少数派で、このカテゴリーの若者たちの消費行動と言えるだろう

タイプ4:様子見フォロワー

 「様子見フォロワー」は、選択した項⽬の数が少なく、⼤きな特徴の⾒出しにくい層で、構成比率は男性の方が高くなっている。深く分析すると複数のタイプに分かれており、他のタイプと比較して価値観のバラツキが多いカテゴリーである。

 なお、この4タイプの世代別分布は以下のようになる。

 このチャートから、いくつか興味深い傾向が見えてくる。

たとえば、
・「様子見フォロアー」は世代を問わずに男子が多い。草食系とも通じそうだ。
・「省エネペシミスト」は、Y世代女子では最も多い。
・「ソーシャルよいこ」は、Z世代女子では最も多い。
・「人生ガチ勢」は安定しており、世代を通じて4人に1人ほど存在する。

 2018年には、この4タイプの特性をより明確にするために、パナソニックとイノベーションチームdot共同で、プロトタイプとして開発した「振ると、スパイスの代わりに声が聞こえるスパイスボトル」を使って、チームdot内の4タイプが、食の場でどんなインサイトを持ち、どんな行動を好むのかを探る調査を実施した。

 この実験結果をもとに、各タイプの特徴をショートムービーにまとめたものがあるので、ご興味ある方はサイト「Join the dots 〜 Z世代、価値観の異なる4つのタイプ」をご覧いただきたい

研究や講義の内容をまとめている下記ブログにて、「Z世代とは?」がひと目でわかる資料も公開しています。あわせてどうぞ。
Z世代を理解しよう(Join the dots)

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ソーシャルネイティブ、「Z世代の本音」を探る

Kindle その他


ソーシャルネイティブ、「Z世代の本音」を探る

著者:斉藤 徹
発売日:2020年10月5日(月)
価格:700円+税

本書について

Z世代の学生とともに革新的な学生組織「イノベーションチームdot」を立ち上げ、一体となって活動をしている著者が、調査データを踏まえながら、同世代の特徴や価値観を解説します。

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この記事の著者

斉藤 徹(サイトウ トオル)

株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表 学習院大学 特別客員教授/イノベーションチームdot アドバイザーソーシャルシフト提唱者として、透明な時代におけるビジネス改革を企業に提言する。2016年から学習院大学特別客員教授に就任。Z世代の学生とともに、革新的な学生組織「イノベーションチームdot」を立...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/10/04 23:41 https://markezine.jp/article/detail/32511

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