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実店舗主体・多ブランド展開の企業が、EC化を進めるには?10年以上の試行錯誤から見えたポイント

EC化の壁となった3要因

 アパレル業界に限った話ではないが、過去の成功体験が多いほど、ビジネスモデルの転換は難しい。柴田氏はEC化の促進が滞った背景として「SPA(Specialty Store retailer of Private label Apparel)事業を展開してきたが、集客はデベロッパー任せであったこと」「モノ軸でビジネスを見ていたこと」「ブランドごとの世界観の違い」を挙げた。

 SPAとは、デザインから製造、店舗での販売までを統合した、垂直統合型の販売手法だ。大手ブランドのユニクロや無印良品などがこれにあたる。特にユニクロは週末に折り込み広告を配るなど、集客にも注力している。しかし、トレンド系のアパレルは、商品を販売する店舗は持っているが、「集客の施策」はデベロッパー(ショッピングセンターやファッションビル)や百貨店が実施している。

 「当社では、広告費用を『集客』ではなく『PR』という位置づけで捉えていました。そもそも店舗が集客装置の役割を果たしていたため、『集客のために施策を講じる』という発想がなかったのです」(柴田氏)

 また、KPIを売上高に設定していたことも、EC化の足を引っ張った。「商品が何個売れていくら儲かったか」をKPIにすると、「いかに在庫を残さないか」に注力するようになり、結果として「誰が購入しているのか」を見なくなる。

 「販売やPRの戦略が、『ユーザーに対してどのようにアプローチするか』ではなく、『在庫を売り切るにはどうするか』といったモノ軸になっていました」(柴田氏)

 さらに、ブランドごとの世界観の違いも、障壁になってしまった。同社が有する17のブランドは、特徴もターゲット層も異なる。さらに多くの社員が各ブランドに愛着をもって担当してきた店舗出身であることから、「個別にサイトを構築したい」「在庫は店舗優先で配分したい」という要望が生まれ、調整が難航したそうだ。

「モノ軸からユーザー軸」へのシフトに注力

 こうした状況を打開し、EC化を促進するためにどのようなアクションを取ったのか。

 2017年6月のECサイトのシステム改修後、同年10月にモバイルアプリ「SHEL'TTER PASS」をリリース。ECとデジタル広告や「SHEL'TTER PASS」との連動を強化したことで、入会者数は増加し、現在、同アプリのダウンロードは開始1年半で100万ダウロードを越え、その後もダウロード数は伸び続けている。

 とはいえ、システムを刷新しただけでLTVが増加するわけではない。LTV増加を実現するには、運営ノウハウの確立や、自社構築も踏まえたパートナーシップ体制を整える必要があった。具体的には、ツールやシナリオチューニングなどを行わずとも、マーケティングオートメーションを活用できるようにすることと、企画・編集のノウハウを持ったメンバーがモノ軸からユーザー軸にシフトし施策を実行できるようにすることが目指された。

 そこで柴田氏は、担当者の負担を低減するべく、初期に考えられる定番シナリオを投入し、チームメンバーがノウハウを持つまでサポートを受けられる環境を整備。また、メンバーがユーザーを軸にした各係数をモニタリングできるような業務体制を構築した。

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DMPとMAを活用し、個の可視化を進める

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この記事の著者

鈴木 恭子(スズキ キョウコ)

 東京都出身。週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社。「Windows Server World」「Computerworld」などの記者・編集を経て2013年にITジャーナリストとして独立。主な専門分野は組込系セキュリティ。現在はIT(Information Technology)と...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33041

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