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第99号(2024年3月号)
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「ロイヤルティ、待たずに買える、自宅の○○化」小売業がコロナ禍で行うべき顧客体験の再設計とは

リアル×ネットを実現できる組織体制とは?

 議論は根本的な組織体制の話にも及んだ。本格的にリアルとネットの融合が目指されるなか、林氏は手始めとして、ECと店舗、それぞれの役割を見直すことが重要だと指摘した。

 「ECでは認知や分析もできるが、体験創出・ロイヤルティ構築においては店舗に分があります。また中国をベンチマークとして考えると、とあるメーカーの話では、店舗が再開された後、店舗には人が戻っている一方、ECの売り上げの勢いも止まっておらず、両者を併用していく道を歩んでいるそうです。このことから、いきなりデジタルに移行するのではなく、相乗効果を生むための分担が必要だということがわかります」(林氏)

 また逸見氏は、自身がカメラのキタムラで行った、評価軸、KPIの見直しが有効ではないかと提案した。同社ではある時から、決済が行われたECや店舗などの単一部門に売り上げを付けるのではなく、購買に「関与した」すべての部門に売り上げを「評価として」付ける方法に変更したのだ。たとえば顧客がコールセンターに問い合わせた後にECで購入、店舗で商品を受け取ったという場合は、3部門で売り上げを「評価として」カウントする。これにより、顧客を奪い合うではなく協力して顧客サービスのレベルを上げることが可能になり、作業の効率化にもつながった。

 「これまでは直接的に売り上げを作った部門が褒められていて、その裏で物流やカスタマーセンターが苦労していても、なかなかそこに目がいかなかった。しかし不況が予想される中、企業は様々な作業を効率化し、LTVを上げて、無駄な販促費を出さなくてよい組織へと変わっていく必要があります」(逸見氏)

 また本格的なデジタルシフトに向けて、組織内にとどまらず、業界・企業の壁を越えた共創も加速していくという意見が出された。

 「産業全体をアップデートしていくときは、競合ともある程度共創していかないといけない。例えとして「心の談合をしよう」と言ってるんです。もうひとつ、ビジネスが複雑化し、コロナのような大きな影響が出ている時代、一店舗ですべての機能を抱え込むのは無理があります。その時々で専門性を持つ組織と組んでいく柔軟さが必要になるでしょう」(植野氏)

 最後に鈴木氏は、「業界・企業・組織を超えて互いが理解する、自社にとっての当たり前がなくなる時代。日本オムニチャネル協会も共に論議し、なにかを作りあげる共創の場にしていきたい」と述べ、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/29 07:00 https://markezine.jp/article/detail/33353

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