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『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

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定期誌『MarkeZine』特集

「2019年日本の広告費」からテレビ業界の未来を占う

 電通が発表した「2019年日本の広告費」によると、インターネット広告費が初の2兆円超えを記録し、テレビメディア広告費を上回るという結果となった。この結果を、業界キーパーソンたちはどう捉えているのだろうか。15名のコメントを紹介する。

※本記事は、2020年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』53号に掲載したものです。

以下15名の方からコメントをいただきました。
AbemaTV 山田陸氏/Indeed Japan 水島剛氏/エステー 鹿毛康司氏/SATORI 高橋美絵氏/The Breakthrough Company GO 田中陽樹氏/C CHANNEL 武藤崇雄氏/zonari 有園雄一氏/TimeTree 吉本安寿氏/電通 北原利行氏/TikTok Ads 西田真樹氏/博報堂DYメディアパートナーズ 加藤薫氏/ベストインクラスプロデューサーズ 菅恭一氏/LIFULL 川嵜鋼平氏/楽天 有馬誠氏/WOWOW 黒澤優介氏

オンデマンド文化がより一層確立しテレビの定義が変わる

 ユーザーの利用実態として、若年層を中心にテレビの視聴時間が減少しデジタルメディアの接触時間が伸びている状況を踏まえると、今回の結果について大きな驚きはありません。一方で、様々なデジタルメディアが乱立している現代において、従来のテレビを超えるくらい大きな影響力を持つマスメディアがインターネット上で生まれるということも考えにくいと思っています。

 テレビは全盛期に比べると視聴数が下がっているとはいえ、圧倒的に多くの人にリーチすることができる影響力の大きなメディアであることには変わりなく、マーケティング活動において欠かすことのできない重要なメディアです。

 しかし、ユーザーのコンテンツ視聴習慣が変化し、「ユーザーが見たい時に見る(=オンデマンド)」の文化がデバイスに関わらず確立し始めているため、完全編成型のみのサービスではどこかで限界がくるのではないかと思っています。

 また、テレビデバイスはオンライン化が進み、地上波の枠を超えあらゆるコンテンツを自由に見ることができるようになっており、「ABEMA」としてはそれをビジネスチャンスだと捉えています。引き続き独自性・クオリティの高い多彩なコンテンツを配信し、あらゆるタッチポイントでユーザーの視聴数を伸ばしていくことに注力していきたいと思います。

株式会社AbemaTV 広告本部 本部長 山田陸(やまだりく)氏2011年サイバーエージェントに入社。2015年にアメーバ事業本部メディアディベロップメントディビジョン統括、執行役員に就任。2017年10月にAbemaTV広告本部本部長、2018年12月にサイバーエージェント取締役に就任。

株式会社AbemaTV 広告本部 本部長 山田陸(やまだりく)氏
2011年サイバーエージェントに入社。2015年にアメーバ事業本部メディアディベロップメントディビジョン統括、執行役員に就任。2017年10月にAbemaTV広告本部本部長、2018年12月にサイバーエージェント取締役に就任。

メディアのビジネスモデル/プレイヤーが変わる

 メディアや広告業界の人たちには、興味深い発表だと思います。しかし、テレビは昔から存在している形でのテレビでしかないのに対し、インターネットは新旧メディアをデジタル化することも含め、多様な形態で存在しています。なので、テレビメディア広告費をインターネット広告費と比較して、インターネットが上回ったというのは、生活の中にインターネットが様々なサービスとして社会実装されてきた結果を表しているにすぎない気がします。メディアは多くの人が集まり、リーチできる場ですが、それを実現するのはコンテンツです。コンテンツ力のないメディアはメディアとしての力を失い、やがて消えていき、コンテンツとしての魅力があるものが残っていきます。

 そして今、メディアはプラットフォーム型のものが人々の生活に大きな影響を持つようになっています。今回の発表は、インターネットというテクノロジーが持つポテンシャルや特性を早くから見抜いていた人からすると、ある意味当然の結果だろうし、そうでない人にとっては大きな驚きだと思います。いずれにしろ、今後もテクノロジーが人々の生活を変え、その結果、メディアのあり方が変わり、広告費の使われ方も変わっていくと思うので、広告費のカテゴリー分類そのものも、変容していくような気がします。そして、そう考えると、今回の発表は、既存のメディアのビジネスモデルが変わり、その結果、業界のプレイヤーのあり方も変わっていく潮目を示していると、捉えられるのではないでしょうか。

Indeed Japan株式会社 マーケティングディレクター 水島剛(みずしまごう)氏博報堂の戦略プランナーとして企業のマーケティング課題の解決業務に携わった後、LINEにて、「LINE バイト」「LINE Pay」のマーケティング責任者としてプロジェクトをリード。2018年2月よりIndeed Japanのマーケティング責任者として従事している。

Indeed Japan株式会社
マーケティングディレクター 水島剛(みずしまごう)氏

博報堂の戦略プランナーとして企業のマーケティング課題の解決業務に携わった後、LINEにて、「LINE バイト」「LINE Pay」のマーケティング責任者としてプロジェクトをリード。2018年2月よりIndeed Japanのマーケティング責任者として従事している。

既存メディアvsネットメディアというツールの違いに惑わされない

 広告主サイドで思っていることを書かせていただきます。明らかにネット広告の比重は大きくなっています。というよりも、既存のメディアの費用対効果が落ちていることは事実です。たとえばテレビCMを例にとると、同じ費用でも到達する絶対人数は下がっています。

 だからといって、ネット広告に切り替えるだとか、補完するだとかの単純な判断は危険です。つまり、既存 vs ネットというステレオタイプな捉え方をするととても危険だと思っています。なぜなら既存とネットにふさわしいコミュニケーションは異なるためです。ネットでは経済合理性を訴求することができ、既存メディア、特にテレビCMなどでは体系化されていない「こころ」への訴求ができます。また、そもそものビジネスが経済合理性訴求とネットによるビジネスに向いているか、そうでないかの温度の差も考慮しなければいけないとも思っています。

 今、我々広告主は、既存 vs ネットというツールの違いに惑わされることなく、大きなコミュニケーション戦略とシナリオを築き、その上で、適したメディアを使うという冷静さが必要だと思います。メディアの話ではなく、ネットによる生活や意識の変化には徹底的に研究していかなければいけません。ネットが生活に根付いたことで、単純に行動だけでなく、人々の生き方そのものまで変わってきている変化をキャッチして、それに合わせてマーケティング戦略、コミュニケーション戦略、そして最終段階の道具としての既存メディアとネットメディアをうまく目的に合わせて使っていくという俯瞰したやり方が重要なのだと思います。それがなかなか難しいのですが(笑)。

エステー株式会社 執行役 クリエイティブディレクター 鹿毛康司(かげこうじ)氏エステーの広告責任者としてマーケティング&コミュニケーション戦略からクリエイティブ作りまでを担当。既存の枠にとらわれない戦略の実施にチャレンジしている。

エステー株式会社 執行役
クリエイティブディレクター 鹿毛康司(かげこうじ)氏

エステーの広告責任者としてマーケティング&コミュニケーション戦略からクリエイティブ作りまでを担当。既存の枠にとらわれない戦略の実施にチャレンジしている。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:44 https://markezine.jp/article/detail/33440

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