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見栄えのデザインから“戦略のデザイン”へ nanocolor川端氏が考える、利益が上がるLPの最適解

獲得したい利益から逆算して指標を設定する

MZ:冒頭でご紹介したnoteで「ビジネス思考を学ぼう」と書かれているのは、そういう姿勢も込められているのですね。川端さんの記事は、いわゆる見た目のデザインから考え始めてしまう制作会社やデザイナーだけでなく、発注側であるマーケターにも役立つ視点が多かったと思います。「ビジネス思考」は、クライアント側にも欠けていることが多いのでしょうか?

川端:残念ながら、多いと感じます。もちろん、どの企業でも予算や売上目標があり、それに基づく基本的なマーケティング戦略が考えられていると思いますが、バナーやLPなどの制作物に落とし込むとなった途端、「売れるデザインにしてほしい」といった漠然としたボールを投げてしまうことがよくあると思います。思考停止になればなるほど、他社の勝ちパターンやロジックなど答えへの願望が強くなる傾向がありますね。故に「売れるLP」の需要があるのでしょうね。

MZ:デザイン、あるいはWebマーケティングは自分がわからない領域だから、と丸投げしてしまうのかもしれないですね。そこは、クライアント側も「何のために依頼するのか」をしっかり見据えないといけない。

川端:そうですね。今の状況と未来の理想、その乖離を埋めるには何が必要なのか? 問題をしっかりと理解することで課題が見つかり、仮説が生まれる。そのずっと先にLPや広告やバナーが存在します。デザインはその中の手法の一つです。

 ビジネス上で発生するすべての活動は、企業にとっては投資です。投資である以上、獲得したい利益があるはずです。nanocolorで大事にしている指針のひとつに、「利益から『逆算』した指標を目指す」という項目があるのですが、バナーやLPという直接的に獲得に結び付く施策だからこそ、創出したい利益から逆算して指標を設定し、近づけていくことが重要だと思います。

商品の購買は、買う側にとってはエンタメ

MZ:バナーやLPにおいて、そもそもあまりマーケティング戦略が立てられていないというお話がありましたが、それ以外にマーケター側が見過ごしてしまっている課題などはありますか?

川端:僕らはBtoC領域の、特に美容やコスメ、健康食品といった比較的気軽に購入できる商材の案件を多く担当してきたのですが、そうした商材って実はすごく感覚的に選ばれていますよね。もちろん、マーケティングの様々なフレームワークや過去の勝ちパターンが有効なこともあると思いますが、どんどんニーズが多様化する中、表層的なペルソナ設計しても、他社の勝ちパターンを模倣しても思い通りの結果になることは少ないです。

 買う側は、なぜ買ったかを言語化するのは難しいですが、直近の経験やライフスタイルを通して「こういうものが欲しい」という気持ちを潜在的に持っています。それにフィットする形状や成分や価格を兼ね備えた商材を、ちょうどいいタイミングで提示できると「これだ」と思ってもらえます。

MZ:確かに、特に低単価の商材はそうした意志決定が多そうです。

川端:それを僕らは「腹落ちした商品」と呼んでいます。僕らも当然、LPの効果をデータとヒートマップで細かく把握・分析し運用してクリエイティブの精度を高めているので、データは言うまでもなく大事なのですが、買う側から見るとお買い物はとてもエンタメ性のあるものです。「なんか、いい」とか「これを使っている私が好き」とか、そんなふわっとした意思決定も多い。そこを、ときにマーケターの側が複雑に捉えようとし過ぎて、成果に結びつかないことがあると思います。

ナノカラーのWebサイトより。バナーひとつとっても、その商材を初めて知る人と、既に知っている人に響く内容は異なるので、心理背景に合わせた最適なコンテンツを企画・制作する必要がある。
nanocolorのWebサイトより。バナーひとつとっても、その商材を初めて知る人と、既に知っている人に響く内容は異なるので、心理背景に合わせた最適なコンテンツを企画・制作する必要がある。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33796

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