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MarkeZine Day 2020 Summer Kansai

直面している“新しい現実”と“顧客”を視ているか?ネスレ日本のイノベーションを支える考え方と実践

 今回のMarkeZine Day 2020 Summer Kansaiのテーマ「見えないものを視る」について、「非常に共感する」と語るネスレ日本CMOの石橋昌文氏。「同じものを見ても人によって感じることが違うが、それらをシェアしながら議論することで新しいものが生まれる。本日のオンライン開催では皆さんの顔が見えず残念だが、何か持ち帰ってもらえれば」と、ネスレ日本のマーケティングとイノベーションの考え方について45分たっぷりと語っていただいた。

「乳幼児の栄養改善に寄与する」ことが創業の発端

 同じ事象を目の前にしても、感じ方や考え方は人によって異なります。それが人間のおもしろいところであり、違う考えをシェアすることで、新しいものが見えてくるのはダイバーシティだとも思います。

 データの読み方についても同様のことが言えます。人はバイアスがかかって、見たいところしか見ない。バイアスを取り払って、視野を広げながらいろいろな物事を捉えることが大事ではないか、そんなことを今回のMarkeZine Dayのテーマである「見えないものを視る」に際して考えました。

 私は地元の神戸大学を卒業後、1985年に当社に入社して以来、35年にわたり営業とマーケティング業務に携わってきました。コーヒーが好きで入社しましたが、長期間菓子のビジネスに携わり、コーヒーのビジネスに関わるようになったのは、最初の5年間の営業時代を除くと、直近の11年です。

 今回は「ネスレ日本を支えるマーケティングとイノベーションの考え方」と題して、具体例を交えながらお話ししたいと思います。

ネスレ日本株式会社 専務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー マーケティング&コミュニケーションズ本部長 石橋 昌文氏
ネスレ日本株式会社 専務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー
マーケティング&コミュニケーションズ本部長 石橋 昌文氏

 ネスレは、ドイツ人のアンリ・ネスレが1867年にスイスで創業した会社です。当時は乳幼児の死亡率が非常に高かったこともあり、その問題を解決すべく、安全で栄養価の高い乳幼児用乳製品を開発・販売する会社を創業したのです。時を同じくして66年、スイスで練乳の会社が創業し、1905年に同社とネスレが合併しました。以降、様々なM&Aを重ねて事業を展開し、現在は世界で2,000以上のブランドを展開しています。

 乳幼児用乳製品から創業したこともあって、健康や栄養、ウェルネスを重要視していますが、2016年に改めて我々自身のパーパス(存在意義)を明文化し、社内外に発信しています。また2005年より「共通価値の創造」をビジネスの根幹において活動しています。

 

顧客の潜在的な問題を解決してこそイノベーション

 ネスレ日本は、1913年に創業しました。グループにおける現在の日本法人は、イノベーションのリーダーシップを執り、他国に横展開していこうという一種のインキュベーターの立ち位置です。

 ネスレ日本の組織体制は「事業部=マーケティング部門」として、P/Lに責任を持っています。飲料やコンフェクショナリー(菓子)などの各事業部が並列し、それらを製造や営業からマーケティング&コミュニケーションズまでの各ファンクションがサポートするマトリックス型になっています。

 各ファンクション内の細かい役割も同様に、マトリックス型で事業部に関わっています。私が担当するマーケティング&コミュニケーションズ本部内なら、広告媒体統括から消費者対応・コールセンターまで、それぞれ専門知識やノウハウを持った部署が横串で各事業部をサポートしています。

 ネスレ日本では「マーケティング経営」を掲げています。これは高岡浩三・前CEOが提唱したもので、「マーケティングとは顧客の問題解決を通じて新たな価値を創造すること」と位置付けています。

 では“顧客の問題”とは、何でしょうか? 大きく分けて、顕在化している問題と潜在的な問題があります。調査や、あるいは自分自身で考えれば前者はすぐわかりますね。これに応えるのはリノベーションです。一方、顧客自身が気づいていない、あるいは諦めている問題を見つけて解決すると、そこにはイノベーションが生まれます。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33924

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