SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

BOOKS

商品開発のヒントは“極端な“ユーザーが持っている モノが溢れる時代に必要な思考とは【お薦めの書籍】

 「商品開発にはたくさんのユーザーの意見が必要」。それは本当でしょうか? 今回は、ユーザー本人も気づかない意識を見つけ、商品・サービス開発に活かすための一冊を紹介します。

生活者の隠れた意識から商品を生む

 今回紹介する書籍は、『インサイト・ドリブン たった1人の「こだわり」からヒットは生まれる』。著者は、生活者起点のリサーチをはじめとしたマーケティング支援を展開しているネオマーケティングの高倉益実氏と中島孝介氏です。

 高倉氏は、同社のインサイト・ドリブン部門においてマネージャーを担当し、様々な企業の新商品開発や新規事業開発の支援に携わる人物。中島氏は、同部門においてデザインリサーチャーとしてデザイン思考を取り入れたリサーチサービスを積極的に展開し、企業支援に取り組んでいます。

『インサイト・ドリブン たった1人の「こだわり」からヒットは生まれる』1,500円(税抜)	高倉 益実 (著)、中島 孝介 (著)総合法令出版
『インサイト・ドリブン たった1人の「こだわり」からヒットは生まれる』1,500円(税抜)
高倉 益実 (著)、中島 孝介 (著)総合法令出版

 本書が伝えているのは、両氏が「インサイト・ドリブン」と呼ぶマーケティングおよび商品・サービス開発の手法です。インサイトという言葉は、読者を含め多くのマーケターに認知されていると思いますが、著者の言葉を借りれば「本人も気づいていない隠された意識」を意味しています。つまりこの手法は、言葉通りに生活者のインサイトに基づいた商品・サービス開発の進め方ということです。

 商品開発の分野ではこれまでも、生活者の意識を捉えることが重要視されてきました。では、著者が改めてインサイトを軸とした手法を説く理由とは何なのでしょうか? そして、これまでのマーケティング手法との違いはどこにあるのでしょうか?

従来のターゲットよりも「ニッチ」に着眼する

 著者は、「優秀なデザイナーは『リアルな1人の人間(自分も含む)』を対象に、その人の心地よく感じるデザインを考えている」と主張しています。これは、あくまで一人の人間を中心に据えて、その人に向けた商品やサービスを作るという「人間中心設計」の考え方で、本書のインサイト・ドリブンでもこの考え方に従うと言います。

 著者は人間中心設計が求められる理由を次のように語っています。

 従来のマーケティングでは、一般的に「ターゲティング」が重視されてきました。(中略)しかし、社会の多様化が進む中で、これまで企業が行ってきた、商品の価値をパッケージなどでターゲットに訴求するやり方だけでは、商品の差別化ができなくなってきました。(p.33~34)

 このような背景から、よりターゲット一人ひとりに寄り添った開発が求められるようになり、「ニッチ」に着眼する人間中心設計が必要になると述べているのです。

「突飛な消費者」からこそヒントが得られる

 インサイト・ドリブンの特徴的なポイントは、インサイトを得るためにデータから創り出した架空の存在であるペルソナなどではなく、実在の一人を観察すること。そして、生活者の中でも極端な価値観を持つユーザー「エクストリームユーザー」に着目することです。

 たとえば、変わった食べ方をする人、毎日同じものを食べる人、通常一種類あれば事足りるはずのものを複数使い分けている人などが、このユーザーに当たると著者は言います。

 既にあらゆるモノが溢れる中、「ちょっと変わっている」程度のものでは、人の興味を惹くことはできない。エクストリームユーザーは、平均的なユーザーが気づいていないことに対し、明確な意思とこだわりを持っており、その観察が定説・常識から意図的に離れるための手段になると主張しているのです。

 本書では、このインサイト・ドリブンを実践し、新しい商品・サービスを開発にするための5つのプロセスを詳しくまとめています。ペルソナ・マーケティングや、現状の商品開発に違和感を持つ方は一度読んでみてはいかがでしょうか。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
BOOKS連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/10/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34637

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング