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VOYAGE GROUP×電通のPORTO tv、「テレシー」に名称変更 運用型テレビCMの市場作る

 VOYAGE GROUPは運用型テレビCMプラットフォーム「PORTO tv」の名称を「テレシー(TELECY)」に変更した。本記事では、どのような戦略のもとサービス名の変更を行ったのか、同社取締役である土井健氏にインタビューを実施。名称変更の背景やサービスの特徴、今後のテレビCMのあり方について話を伺った。

ネット広告の感覚でテレビCM出稿を実現させる

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回「PORTO tv」からテレシーに名称が変わった背景を教えてください。

土井:2020年の5月末に「PORTO tv」をリリースし、営業活動をしている中で「DSP(Demand Side Platform)ですか? ネット上で動画を配信するOTT(Over The Top)ですか?」とご質問を受けることが多かったのです。

 元々「PORTO」というプレミアムDSPも提供していたのですが、お客様の良さを引き出す最適な出稿プランが立案できるようにと、テレビCMの対応も開始しました。しかし、サービス名を言ってもすぐ理解してもらえていないのが現状でした。そこで、テレビCMの配信プラットフォームのサービスだとすぐわかるよう「テレシー」へと名称を変更いたしました。

株式会社VOYAGE GROUP取締役 土井 健氏
株式会社VOYAGE GROUP取締役 土井 健氏

MZ:「テレシー」とはどういったサービスなのでしょうか?

土井:100万円からと少額でも出稿可能な運用型テレビCMプラットフォームです。テレビCMでもネット広告と同じように、効果を視覚化できて、PDCAを回せるようにする、これが「テレシー」の大きなコンセプトです。

土井:これまで、テレビCMに関する効果検証のレポートはキャンペーンがすべて終わった後にまとめて共有されるか、場合によってはレポートがないというケースもありました。しかし独自のレポーティングツールである「テレシーアナリティクス」を使えば、最短で広告掲載の翌日に効果を把握することができます。またネット広告のように細かい指標で確認できるようになりました。

MZ:テレビCMは効果を追うのが難しいイメージだったのですが、その課題も解決しているんですね。どのような指標を見ることができるのでしょうか。

土井:これまでテレビCMの検証で一般的に用いられていたのは、GRP(のべ視聴率)です。しかし、「テレシー」は通常のGRPレポートに加え、放映エリア毎にCPIやCPAといった事業成長にダイレクトにヒットする指標を確認することができます。

 また、「テレシー」では最初に放映前のシミュレーションを行います。たとえば、500万円を30~50代の男性をターゲットに出稿する場合、ターゲットの含有率は何%か、全体で何インプレッション発生するのか、想定UUは何人か、CPMやCPCVはいくらか。これらのシミュレーションをもとに、テレビCM出稿前に予算をどう割り振るかを確認することができるのです。

テレビCMの王者とネット広告の強者が織りなす幅広い選択肢

MZ:なぜこのタイミングで名称変更をされたのでしょうか?

土井:事業が軌道に乗り始めていたタイミングで、元々タクシー広告などを活用して大々的なマーケティング活動を行う予定があったためです。テレビCMに革新をもたらすなら、今しかないと!

MZ:事業の急激な拡大を狙えるタイミングだったということですね。先ほどお話しされた「テレシー」の特徴の他に、強みはありますか。

土井:テレビCMが初めての方でも、面倒なこと一切なしにチャレンジできることですね。プランニングや制作、効果測定、次回のプランへの活かし方、全部一気通貫してフォローします。また、テレビCMを初めて出稿する企業の場合、業態考査で登記簿の用意など細々とした調整が必要ですが、そこも含めてサポートしていきます。

 次に、電通とVOYAGE GROUPの共同事業である点も挙げられます。テレビCMを扱う会社といえば、まっさきに挙がってくる名前のひとつが電通なのではないでしょうか。VOYAGE GROUPは2019年に電通グループになりましたが、元々主軸事業はデジタルマーケティングだったのでネット広告の知見が豊富です。そのため、テレビCMに強い電通とネット広告に強いVOYAGE GROUP、両社の良い部分が組み合わさったのが「テレシー」と言えます。

 さらに、グローバルでモバイルアプリ向けマーケティング プラットフォームを展開するAdjust(アジャスト)との提携も開始しました。これはアジア初の提携です(詳細はこちら)。同社との提携によりテレビCMによるアプリインストールへの影響がより簡単に計測できるようになりました。

ネット広告の長期間運用による課題を解決

MZ:最近テレビCMを出稿するアプリ企業やBtoBのSasS企業が急増していますが、なぜ今テレビCMが注目されているのでしょうか?

土井:注目される理由は大きく分けて5つあります。

 1つ目が、新たなターゲットの獲得ができることですたくさんの方に見られるテレビCMだからこそ、新しい潜在的なターゲット層を発掘することができます。ネット広告はターゲットを絞った場合、長期間運用していると効果が頭打ちになることもあります。

 しかし、テレビは絶大なリーチ力があるため、ネット広告よりも幅広い層に届きます。そのため、30代男性向けと思われていたものが40代女性にも売れるといった発見もあり得ます。それによってネット広告で新たなターゲットを開拓することへつなげることができます。

 2つ目は短期間で大量のリーチ獲得が可能であることです。巨大なネット媒体でも1日で6,000万人にリーチすることは困難です。そこがテレビCMであれば、お茶の間に一気に届けることができます。たとえば、期間限定セールで全国のべ6,000万人に届けようと思った場合、ネット広告を大量に出稿してもおそらく1週間はかかります。しかし、テレビCMであれば1日に予算を集中すれば十分にリーチできます。

ネット広告の限界をテレビCMの相乗効果で突破

MZ:3つ目は何でしょうか?

土井:3つ目は後押し効果です。これはやってみてわかったことなのですが、テレビCMを放映している地域と放映していない地域でのネット広告のクリック率に明確に差が生じました。テレビCMで商品を見ていることがネット上での行動の後押しになると数値的にわかったことも大きいです。

 4つ目はデータ規制に対する打ち手となることです。GDPR(General Data Protection Regulation)やITP(Intelligent Tracking Prevention)などをはじめとしたデータ規制もあり、Webマーケティングだけでは限界が見えてきました。そこで新しい媒体を見つけたい時に、選択肢になってくるのがテレビCMだと思います。

MZ:最後の理由を教えてください。

土井:最後、5つ目は副次的な効果です。明確な数値は示せないのですが、広告主や、その事業に携わっている人たちへのプラスの影響があります。社員が会社に帰属するモチベーションや、会社を誇りに思う気持ちが高まったという声も聞かれました。テレビで見ることで、採用活動やBtoB事業の営業に対して良い影響ももたらします。テレビCMにより認知された結果、コンペでの勝率が高まった、なんてこともあるそうです。

 自分自身もテレビCMの価値を知りませんでしたが、広告主の中にもその価値に気づいていない方は多いと思います。ネット広告を知り尽くした人がテレビの価値に改めて気づいて、今までテレビCMを出さなかった広告主の出稿が増えていくと思います。

ネット広告だけだと日の目を浴びなかった商品やサービスに光を

MZ:テレシー」の今後の展望や、意気込みなどについて教えてください。

土井:まだスタートしたばかりですので、まずはテレビCMの価値をきちんとお客様にお伝えしていこうと思っています。また今後もテレビCMを運用するという考え方を2021年、22年とかけて啓蒙していき、この市場を広げていきたいです。

 今まではネット広告だけの出稿だった企業様の中にも、このコロナ禍で生活者の行動が変化したことをきっかけに、テレビCMにチャレンジしたいというところが増えています。今後、運用型テレビCM市場は確実に伸びると思っています。ネット広告だけだと日の目を浴びなかった商品もあるでしょうし、より多くの企業がテレビCMの可能性に気づけば、商品やサービスが広がるところにつながると思うんですよね。

 こうしてお客様のビジネスも伸ばし、生活者の暮らしも豊かにして、日本経済を盛り上げる助けとなるのが、僕らとしては「テレシー」を展開する一番の意義かと思います。

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この記事の著者

西原 小晴(ニシハラ コハル)

 京都府立大学農学部出身。前職は大手印刷会社にて化学物質管理のシステム開発&管理者。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のライティングを行う。現在はリードナーチャリング、セールスライティングをメインとするマーケターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/22 11:00 https://markezine.jp/article/detail/34986