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江端浩人氏に学ぶ、デジタルトランスフォーメーション(DX)最前線

企業と経理人材、双方をハッピーに!マーケティング視点のDX成功事例「バーチャル経理アシスタント」とは

 DXへの注目が高まるなか、その波にどう乗るべきか模索している企業も少なくないだろう。また既にDXを推進している企業も、それがただの「デジタル化」にとどまっていないか見直しが必要ではないだろうか。これまでに各種企業のDXを見てきた江端浩人氏は、現状を踏まえ「ITの技術面からだけでなく、マーケティング視点を持ってDXを推進することが必要」と主張。そうしたマーケ視点のDXを「DX2.0」と名付け、そのフレームワーク「DX2.0の4P」を著書『マーケティング視点のDX』で提唱している。本連載では、そのフレームワークに基づいて事業を成功させている企業を紹介していく。今回は「バーチャル経理アシスタント」サービスの提供で、コロナ禍において成長を加速化させたメリービズの工藤博樹氏に話を聞いた。

サービス構想のきっかけは専業主婦の母と研究者の父の姿から

江端:まずは、メリービズの成り立ちから現在に至るまでの話を聞かせてもらえますか。いつ頃から現在のような事業を展開しようと考えていたのでしょうか。

工藤:メリービズの前身であるリブを立ち上げたのが、2011年。当初はコンシューマー寄りのサービスを提供していました。ただコンシューマーの関心を得るのは本当に大変で、なかなか上手くいかなかったので、方向転換することにしました。改めてテーマを選ぶにあたり「どうせやるなら自分の人生をかけられるものがいい」と考えるようになり、幼少期の原体験が思い起こされたんです。

メリービズ株式会社 代表取締役社長。カナダ生まれ。シンガポール、フランスなど海外で幼少期を過ごし、小学生の時に帰国。2000年、東京工業大学修士課程修了。2000-08年、日本IBMプロジェクトマネージャー。2008年、INSEAD MBA取得。CVAにて大手企業向け経営戦略コンサルティング。2010年、Locondo.jp立ち上げ。自身や周囲の起業家たちの苦労から事務作業を楽にできるサービスを展開したいと考え、2011年にリブ株式会社(現在はメリービズ株式会社)で経理サービスの「メリービズ」を開始。
メリービズ株式会社 代表取締役社長 工藤博樹氏
カナダ生まれ。シンガポール、フランスなど海外で幼少期を過ごし、小学生の時に日本へ移住。2000年、東京工業大学修士課程修了。2000~2008年、日本IBMプロジェクトマネージャー。2008年、INSEAD MBA取得。CVAにて大手企業向け経営戦略コンサルティング。2010年、Locondo.jp立ち上げ。自身や周囲の起業家たちの苦労から事務作業を楽にできるサービスを展開したいと考え、2011年にリブ(現在はメリービズ)で経理サービスの「メリービズ」を開始。

江端:どんな原体験だったのですか?

工藤:両親それぞれにまつわるエピソードがあります。まず母親は、私が生まれたことでそれまでに築いたキャリアを手放し育児に専念することを選びました。そうして育ててもらったことに感謝している一方で、母親の幸せを考えるとその選択がベストだったのか、もっと良いバランスがあったのではと思っていました。

 一方で父親は、カナダの国立研究所で働く研究者でした。根っからの研究好きで、寝食を忘れて研究に没頭していたような人。研究所にいながら小さな会社を持っていたので、税申告の書類の作成などを作るのですがそうした作業に不得手で苦戦している様子を見ていました。そんな姿を見て、子どもながらにやりたくないことに時間を割かざるを得ないのは何故なのか、疑問に感じていました。

 その原体験がメリービズをおこす大きなきっかけとなり、また自分にも子どもが生まれたことで、子どもに対してより良い社会を残すことを本気で考えるようになりました。色々な課題が世の中にある中、ビジネス領域で何ができるかにチャレンジしているのがメリービズです。

 社名のMerryは「楽しい」、Bizは「ビジネス」の意味で、ビジネスを楽しくするのが我々のビジョンであり、そういう世界を構築することが私たちの究極の目標です

江端:なるほど。その結果として、元々経理に携わっていた主婦も含めたいろんな方々のスキル・経験を活用した経理業務のアウトソーシングサービスというビジネスモデルが誕生したんですね。

江端浩人事務所 代表/エバーパークLLC 代表iU 情報経営イノベーション専門職大学教授江端浩人氏米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでiマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長、アイ・エム・ジェイ執行役員CMO、ディー・エヌ・エー(DeNA)執行役員メディア統括部長、MERY副社長などを歴任。現在はエバーパークLLC、iU情報経営イノベーション専門職大学教授および江端浩人事務所代表として各種企業のデジタルトランスフォーメーションやCDOシェアリング、次世代デジタル人材の育成に尽力している。メンバー7,000名超の次世代マーケティングプラットフォーム研究会主宰。著書に『マーケティング視点のDX』(日経BP)
江端浩人事務所 代表/エバーパークLLC 代表iU 情報経営イノベーション専門職大学教授 江端浩人氏
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでiマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長、アイ・エム・ジェイ執行役員CMO、ディー・エヌ・エー(DeNA)執行役員メディア統括部長、MERY副社長などを歴任。現在はエバーパークLLC、iU情報経営イノベーション専門職大学教授および江端浩人事務所代表として各種企業のデジタルトランスフォーメーションやCDOシェアリング、次世代デジタル人材の育成に尽力している。メンバー7,000名超の次世代マーケティングプラットフォーム研究会主宰。著書に『マーケティング視点のDX』(日経BP)

工藤:そうですね。最初はレシートや伝票の入力代行から始まったサービスでしたが、ユーザーニーズは別にあったことがわかり、紆余曲折も経ながら、今の「バーチャル経理アシスタント」サービスの形になりました。

経理業務を代行する「バーチャル経理アシスタント」

江端:「バーチャル経理アシスタント」について、仕組みや特徴を教えてください。

工藤:端的に言うと、“オンラインなのに隣にいるような”経理チームがつくれるサービスです。お客様の経理業務の「特性」や「業務量」、「難度」に基づいて、基準をクリアした累積登録者数約900名(2020年10月現在)の経理人材の中から専属のプロジェクトチームを組成して、オンラインで経理業務を担当します

 導入にあたっては、コンサルタントがヒアリングして経理業務の棚卸しやフロー整理をし、マニュアルとして明文化、タスク分解してスタッフに振り分けます。組織デザインと業務デザインの両方をしっかりやって、持続可能な形にしていくためにチームをお貸しするようなイメージです。

 「経理やバックオフィスの人手が足りない」「経理専門人材の採用が難しい」といった企業課題を解決し、本業に集中してもらえるよう環境を整えること、もう一方で、有能なのにライフステージの問題で働けない環境にいる人達に対し、適切な量・レベルの仕事をお渡しすることで、双方にとってハッピーな状況を作りたいと思っています。

 そのためにも働く側を原価として搾取するのではなく、個々のスタッフのレベルを上げながらさらなるバリューを生み出し、コーディネートすることによって適正な価格をお支払いいただくような形でサービスを展開しています。

「バーチャル経理アシスタント」サービスイメージ
「バーチャル経理アシスタント」サービスイメージ

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35149

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