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デジタルトランスフォーメーション~分断を乗り越えて

ソフトバンク、JTBのデジタルキーパーソンに聞く 通信キャリアのDXと組織内対話の実践

 伝統的企業がDX推進のためにどう働きかけたかをテーマに、JTB Web販売部 データサイエンスセントラルの福田晃仁氏(所属は取材当時)、山上亜紀氏とDX推進のポイントに迫る本連載。第4回は、ソフトバンクでモバイル事業のデジタルにおける事業推進を行っている福井秀夫氏に話をお聞きしました。

追い求めるのはシームレスな接点づくり

 本連載では「伝統的企業のデジマ組織がDX推進のためにどう働きかけたか」をテーマに、JTBにおいてDX推進に携わっていらっしゃるWeb販売部 データサイエンスセントラル 統括の福田晃仁さん、副統括の山上亜紀さんと様々な企業事例の本質を掘り下げていきます(所属は取材当時)。

 JTBにおいて福田さん、山上さんが推進してきたデジタル変革の詳細については連載「JTBが挑むデータドリブン戦略 立ち上げから運用まで」をご覧ください。

――はじめに福井さんのご経歴と、現在ソフトバンクで担当されているお仕事について教えてください。

福井:新卒でSI企業に入社し、システム開発から法人営業の新規開拓、メガバンクの情報系システムのコンサルティングなどに長年従事してきました。

ソフトバンク モバイル事業推進本部 事業企画統括部 デジタルCX部 部長 福井秀夫氏
ソフトバンク モバイル事業推進本部 事業企画統括部 デジタルCX部 部長 福井秀夫氏

福井:ソフトバンクに入社してからは、モバイル事業のうちコンシューマー向けの広告事業における新規ビジネスの企画開発や、DMPを立ち上げてデータマネジメントを行ってきました。

 数年ほど前からコンシューマー事業専任となり、CDPを中心としたプラットフォームおよびWeb、EC、その他デジタル上におけるすべてのチャネルのデジタライゼーションを担当しています。

福田:コミュニケーションプランの設計も、福井さんの方でやっているんですか?

福井:私の所属しているモバイル事業推進本部では、料金のプランニングや、商品構成などを決めるのですが、その中で私はデジタルによるマーケティング強化がミッションとなっています。そのため、どういうキャンペーンやメールを打って人を誘引するのか、また誘導する先もオンラインだけではなく、店舗へのお客様の誘導の仕方も一緒に考えています。

 実店舗が4000店ほどありますので、リアル店舗を中心としたビジネス展開を考えつつも、デジタルをどう強くしていくかを考える必要があるんです。

――御社にはオンラインの顧客接点、全国に存在する多くの店舗、またコールセンターもありますよね。

福井:WebはWebの部門、店舗は営業部門、コールセンター部門とそれぞれ組織が分かれています。各組織によって考えていることや主張が違うので、その調整というのも我々の部における大きな役割になっています。

福田:ソフトバンクは何でも最先端を走っているイメージですが、福井さんが目指すDXとはどのような組織・サービスの実現を指しているのでしょうか?

福井:まず、国内に限らず世界各国の通信キャリアにおける悩みとして、システムの統合と横串での組織連携が難しいことが挙げられます

 我々としても統合していって、お客様に快適で心地よいコミュニケーションを提供したいのですが、現状それができていません。店舗に来店した場合は問診票を記入いただくのに、その貴重な内容は個人情報だからと破棄されて活かされていないのが実態です。

 できることなら、それを溜めておいて、コールセンターに問い合わせがあった時に内容がつながってフォローできたり、店舗で新機種の購入に悩まれていたなら、あとからECで購入できるようメールで案内を送れたり、といった世界観をつくるべき。そういうシームレスな接点づくりこそ、我々が追い求める理想の形です。

ただログを集めればいいというものではない

福田:顧客との様々なタッチポイントを網羅した、いわゆるオーケストレーションのようなツールがあるのが理想、ということですかね。

福井:はい。ですが私自身がシステム開発をやっていたこともあり、その実現にとてつもない時間と労力がかかってしまうことが肌感覚でわかりました

福田:我々も古いコールセンターのシステムをデジタライズしようと、社外に委託してシステム調査に入ってもらったりもしたのですが、結局組織内の足並みが揃わずそのままになってしまっている状況があったりします。

山上:システムに手を加えるとものすごいお金がかかりますし、現状業務が回ってしまっている場合、致命的な何かがないことも足かせになって進まなくなってしまいました。

 それと、コールセンターの方にお問い合わせの記録をログデータとして残すことをお願いしました。元々、紙に会話内容を書いていたのですが、紙を渡す訳にはいかないので依頼しました。ただ、お客様が何に困っているか知りたかったのに、何時から何時まで通話したかの記録だけが残っている。デジタル化は、紙をウェブに上げることだと勘違いする人がいるが、データを解釈しなくては使えるようにならない。デジタル化の認識のずれを感じました。

福井:ログが集まっても、可読性のないものになってしまったということですよね。ログを簡単に残せるようにコールセンターが独自でプログラムを入れていたりすると尚のこと。

 我々もコールセンターのログデータを残していますが、そのまま蓄積しても、何に使うかが見えませんでした。

 データを残すというのは、ただログを集めればいいということではない。それは店舗のデジタル化についても同じことが言えます。我々が扱っているのはユニバーサルサービスですので、ただ闇雲にデジタル化するのでは駄目で、その順番もかなり大事だと考えています。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35366

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