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MarkeZine Day 2021 Spring

顧客理解よりもセンスや直感?急成長するサブスク企業の意外な“共通項”とは

 近年サブスクリプションモデル、D2Cが注目を集め、多くの企業が参入を開始する中、軌道に乗ることなく撤退を強いられているブランドも少なくない。急成長を遂げているサービスにはどのような共通項があるのか。MarkeZine Day 2021 Springでは、家具のサブスク「subsclife(サブスクライフ)」、定額制のパーソナルフード「GREEN SPOON(グリーンスプーン)」を運営するスタートアップ企業2社からそれぞれ経営トップが登壇。0からのプロダクト設計とブランド創出の秘訣をディスカッション形式で紐解いた。

急伸するサブスクサービス「subsclife」「GREEN SPOON」

MZ:本日はパネリストとして、subsclifeから代表取締役社長の町野健さん、Greenspoon代表取締役CEOの田邊友則さんをお招きしました。2社の取り組みとその裏側にある思考から、サブスクモデル成功の秘訣についてうかがっていきます。まずは、改めて事業とサービスのご説明をお願いします。

(写真左)subsclife 代表取締役社長 町野健氏(写真右)Greenspoon 代表取締役CEO 田邊 友則氏
(写真左)subsclife 代表取締役社長 町野健
(写真右)Greenspoon 代表取締役CEO 田邊 友則氏

町野:我々は「家の中を、世界一、豊かな国へ」をビジョンに掲げ、良質な家具をサブスクで気軽に使い始められる「subsclife」を個人、法人の両方に向けて運営しています。

 実は世界的に見て日本は“インテリアデザイン後進国”と言われており、日本人も「家の中をおしゃれにするのが非常に苦手な人たち」だと言われることがあるんですね。もちろん良い家具もありますが「良い家具は高いので安いものを買う」という考え方では、一向に良くならない。そのため、サブスクで気軽に使い始めてもらう機会を提供しています。

 我々は家具メーカー様と提携し、各社から家具を直送しているため、自社では在庫を持っていません。サブスクは非常にお金がかかるモデルなので、設計が難しいのですが、こうしたエコシステムでお客様の利便性も担保しています。

町野:また、家具メーカー様のブランドアウトレット商品を安く購入できるサービスも提供しています。SDGs時代に入り、家具を使い捨てのように消費する時代から脱却すべきだという想いを込めたサービスです。

MZ:リモートワークが多くなり家の中をよりよい環境にしたい方やこれを機にオフィスを大きく変えたい企業のニーズも高まっていますね。続いて、田邊さんからも自己紹介をお願いします。

田邊:GREEN SPOON」は、新しい時代に必要な食のウェルネスブランドとして、「自己肯定感を持てる人生」に食の領域からアプローチしています。楽しい食のセルフケア習慣を身につけることで、自分自身を大切にしている実感をもち、「自分を好きで居続けられる人生を」送っていただけたらという想いを込めています。

 2020年3月に25種類のスムージー、2020年の11月には15種のスープをリリースし、全部で40種類 のレシピがあります。リリースから11ヵ月ほど経過し、約35万個を販売しました。今後はスムージーとスープに留まらないプロダクト展開を計画しています。

重要視すべきは顧客理解よりもセンスや直感

MZ:まずは、お二人の考える「独自性のあるプロダクト設計に必要なこと」をうかがいます 。田邊さんはゼロからGREEN SPOONの設計をしてこられましたが、どのように考えていらっしゃいますか?

田邊:最も大切なのは、すべてにおいてビジョンやミッションに根差した設計へと落とし込めていることです。当社はこの設計に立ち上げ当初の3ヵ月を費やしました。

 また、弊社では顧客理解に加えて、センスや直感を大事にしています。お客様の反応は基本的にはそんなに変わりません。そこに重きをおいても差別化したプロダクトはできない。自分のセンスや直感は、オリジナリティを作る上でとても重要だと思っています。

 ただ、ユニークな発想でプロダクト設計をしても、お客様の実際のベネフィットがセットされておらず、単に新しいものや奇をてらっただけのものは通用しません。この点でもビジョンが前提なっていることが重要と言えますね。

町野:顧客の意見を超えるセンスや直感を重要視すると。それがオリジナルを生む思考の本質ですよね。たとえば、iPhoneのボタン数をもし事前にユーザーに聞いていたら、きっとホームボタン1個にはならなかったでしょう。頭ではわかりますが、それを実践するには勇気がいる。すごいことだと思います。

MZ:価格設計についてはどのように検討されたのでしょうか。

田邊:まずは「ベネフィットベースの競合は何か?」と考えましたね。スムージーの販売を始める前に類似の商品ベースで価格調査をしてみると、弊社の考える価格帯で売っているメーカーはほぼありませんでした。そのため、まずは私たちのベネフィットは何かと考え、商材に限らず提供できるその価値においてどの商品・サービスが競合に値するのかを調査していきました。

 価格を下げることは容易です。結局はいつでも下げられる。ただし、一旦下げるとなかなかあげることは難しい。そこで、持つべきはブランドを創っていく覚悟です。「こういった世界が素敵だ」と掲げ、その世界を作り上げる覚悟。そこに共感してくださる方がいれば、価格の問題ではないと思っています。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36191

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