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顧客起点のビジネスはどう実施する?インバウンドの思想を取り入れた成功事例(AD)

HubSpotブログ編集長に聞く、BtoBのオウンドメディアで追うべきKPIとトピック選定3つの条件

価値提供に重きを置いた結果、トラフィックやリード数も倍増

――それではサイトのKPIはどのように設定されているのでしょうか?

水落:リード創出をメインにしていないというと、数字を追っていないように思われるかもしれないですが、そんなことはありません。コンテンツが読者に響く・役立つ内容になっているかはブログの存在意義に関わるので、数字は非常に細かく見ています。

 主なKPIは「リード創出数」「検索エンジン経由のトラフィック」。結果的には他のオウンドメディアと同じような指標ではあります。先ほどもお話しした通り、今は課題解決策の切実度が相対的に高いと思われる方に解決策を提供できるよう、検索エンジン経由のトラフィックを重視しています。

 また、リード創出数というKPIは先程の話と矛盾して聞こえるかもしれませんが、こちらも読者の満足度を測るための指標として見ています。

 HubSpotの場合、ブログ上のCTAは“営業担当者への問い合わせ”や“製品カタログ”など、購入に直結するようなコンテンツではなく、ブログ記事の内容に関連するより詳細なダウンロードコンテンツ(ebookやテンプレート、HubSpotの無料ツール内の関連機能への導線など)を設置しています。製品を売り込むのではなく、あくまで読者が求めている情報を提供し、課題解決に役立てていけることを主眼に置いているからです。

 ブログ記事を読んだ方に、HubSpot上でもっと詳しい情報を知りたいと思っていただけたか(=ブログ内容に納得いただけたか、満足いただけたか)を確認する指標として、リード数を追っているのです。

――それぞれ、直近の成果について教えてください。

水落:数値は月次で確認しているのですが、2020年1月から1年間で検索経由のトラフィックは2倍、ブログ経由で醸成したリード数は3倍になりました

 今年も引き続き順調に伸長していて、トラフィックに関しては2020年のように上下することなく右肩上がりで上昇中です。リード創出数も2020年後半から回復していて、その頃と比べ平均して1.5~2倍の水準で推移しています。

2019年7月~2021年4月における「HubSpot 日本語ブログ」のオーガニック流入(トラフィック)とリード数
2019年7月~2021年4月における「HubSpot 日本語ブログ」のオーガニック流入(トラフィック)とリード数

――一時期、トラフィックの数値が落ち込んだ原因は分析されていますか?

水落:2020年5月にGoogleのアルゴリズム更新があり、色々なメディアが影響を受けました。「HubSpot 日本語ブログ」も例に漏れず、数値が落ちてしまいました。

 落ちてしまった原因は厳密には特定できないのですが、Googleの目指す姿はわかります。Googleは検索エンジンを立ち上げた当初からずっと「ユーザーにとってより良いコンテンツを提供すること」を理念に仕組みを構築しています。そして、HubSpotも目指すところは同じです。結局、良いコンテンツの提供に徹するという、これまでの方針を一層強化しようという結論に至りました。

 実際に何をやったかというと、既存記事の中で、読者に価値提供できていないコンテンツがないかを確認し、記事によっては非公開もしくはリライト対応して、価値提供できるコンテンツだけがある状態に整備しました。

――価値提供できているかどうかは、どのように判断したのでしょうか。

水落:記事ごとのトラフィック・リード醸成数と、記事の内容ですね。たとえば、流入がほとんどなく、内容も薄いものは非公開に、流入が一定数あり、情報を更新すれば読者に価値提供できる記事にできると判断したものはリライトするというように、900近くあった記事を精査し、更新しました。もちろん、既存記事の整備だけでなく、新規記事の作成・公開も並行して行いました。新しい記事が定期的に更新されているのも、読者から価値を感じてもらえる大事な要素ですしね。

 既存記事の整備作業に3~4ヵ月ほどかかりましたが、終えたのちは功を奏したのか上昇トレンドに戻すことができました。

網羅的なコンテンツ提供が鍵

――その後も成果を上げ続けていますが、その要因はどこにあるとお考えですか?

水落:やはり、HubSpotが編み出した「トピッククラスターモデル」をストイックに実施できる環境を整えつつ、公開本数を増やしていった結果ではないかと分析しています。

 HubSpotのトピッククラスターモデルでは、まずは1つ「トピック」を選定して親記事(ピラーコンテンツ)を作成します。次にそのトピックについて検索されている方たちの興味関心をリサーチし、それぞれの関心に沿って子記事(クラスターコンテンツ)を作成して、親記事に内部リンクを集約します。

 たとえば、「アクセス解析」というトピックを設定するとします。アクセス解析について知りたい方が検索しているキーワードをリサーチし「アクセス解析 ツール」「アクセス解析 ライバルサイト」などのキーワードを洗い出し、検索ユーザーのニーズを網羅した親記事と、個別のニーズにピンポイントで応える関連記事を作成します。親記事を中心に内部リンクを設置し、クラスターを形成することで、どの記事に流入しても、他の関連記事に飛びやすくする、つまり、検索ユーザーが知りたい情報を網羅的に提供し、まとめて見られる状態にするのです。

「トピッククラスター」について解説した記事はこちら
「トピッククラスター」について解説した記事「“検索体験”の最適化を目指す HubSpotが提唱する新SEO手法『トピッククラスターモデル』とは?」はこちらから

 ポイントは、キーワードベースではなく「トピック」をベースにクラスターを形成する点です。従来のSEOだとキーワードに縛られていたと思うのですが、トピッククラスターの場合は検索ユーザーのニーズをベースに考えます。「アクセス解析」というトピックの場合、従来のSEOであれば「アクセス解析 無料」など親になるキーワードを軸に関連キーワードを洗い出していくと思いますが、トピッククラスターの場合は「直帰率」や「滞在時間」など、アクセス解析について調べているユーザーが検索しているかどうかをベースに設計しています。ユーザーが持つ課題に対し、網羅的に応えられるコンテンツを提供できるというわけです。

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成果に結びつく「トピック選定」3つの条件

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/36529

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