SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2021 Autumn(AD)

SNS×ARで心のトリガーを引く!クラウドサーカスが考えるファンを増やすコミュニケーション方法とは

自発的に口コミしたくなるメッセージの伝え方

 以上の状況を受け、販促活動をどのように考えていけばいいのだろうか。当然ながら、「買え、買え」という直球型のしつこい販促活動は消費者に最も避けられ、工夫のないメッセージなら印象にも残らない。かといって、奇抜さやおもしろさを追求しても、商品・サービスとはかけ離れたメッセージになってしまう。

 渡部氏は現在のように変化が早く、複雑な時代においては「人々が自発的に広めたくなるブランド作り」を目指す必要があると訴える。共感が共感を呼び、ファンが増えていくマーケティングだ。

 その一例として、渡部氏が挙げたのが米アップル社だ。自身もアップルユーザーという渡部氏。「iPhoneが出始めたころに初めて購入し、次にパソコン、そしてAir Podsと次々にアップル製品を購入しました。アップル社は、購入者が自らその世界観のファンになり、SNSでファンを広める活動を自分たち自身で展開する、そんなブランドに成長しています」と語り、自作したMac ProのAR画像をSNSで拡散するハッシュタグ「#MacProPhotoContest」を紹介した。

 PCや電子デバイスを提供するテクノロジー企業は多いが、熱量が高く、行動するファンの多いブランドとしてアップル社は群を抜いている。なぜ他のテクノロジー企業より、アップル社のファンの熱量が高いのか。渡部氏がサイモン・シネック氏のゴールデンサークルを用いて説明したのが、「伝え方」の違いだ。

Why?を重視したプレゼンテーション
Why?を重視したプレゼンテーション

 「パソコンの場合、最高のパフォーマンス実現=Whatのため、エンジニアがこれだけ苦労して開発しました=Howのように、『何を』『どうやって』に主眼を置いて製品を説明することが多いです。しかしスティーブ・ジョブズ氏は、『クリエイターに大きな革新をもたらすため=Why、ストレスフリーで動画編集ができる最高の環境を用意しました』というように、Whyに軸を置いてプレゼンしました。つまり視点をユーザーに切り替え、伝え方を変えることで、相手に響く形に変換したのです。こうしてストーリーを重視し、プロモーションを行いました。これが心を動かす伝え方だったわけです」(渡部氏)

詳しい説明より、心を動かすトリガーが必要

 Whyを軸にしたメッセージによるプロモーション活動で、心を動かしファンを増やしたアップル。この心を動かすテクニックのことを、渡部氏は「心のトリガー」と呼ぶ。

 同じように心のトリガーを引くメッセージを出す経営者として、渡部氏が例を挙げたのが、ジャパネットたかたの創業者である高田明氏だ。例えばテレビを売る時も、「64インチの大画面、4Kで……」とスペックから入るのではなく、「大みそかにおじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、お父さん、お子さん、お孫さんが集まり、これで年末年始をお楽しみください」など、“理想の姿”を描写しながら商品を訴求することで、心を動かすプロモーションを展開していた。

 「昨今のマーケティングとは、このように心に触れる、心を動かすことが、購入や来店意思といったコンバート=変換を起こしていることがわかってきています。脳科学の分野でも、『なぜ』というメッセージによって心をつかさどる脳の分野が活性化することが解明されてきました。逆に、『何を』『どうやって』という理論的なメッセージは、むしろ理性によって理解しようということで、冷静になっていく傾向が見られます。心をつかさどる、つまり本能にアクセスするプロモーションが非常に大事になっているのです」と渡部氏は説明する。

次のページ
心のトリガーを引くコミュニケーションの第一歩とは

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2021 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/11/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/37328

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング