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SNS×ARで心のトリガーを引く!クラウドサーカスが考えるファンを増やすコミュニケーション方法とは

心のトリガーを引くコミュニケーションの第一歩とは

 では、心のトリガーを引くコミュニケーション戦略とは、どのようなものなのか。

 渡部氏は「結論をいえば、そうしたコミュニケーションができるコミュニティにまず参加することが必要です」という。このとき重要になるのが、前出した「守るマーケティング」という概念だ。

 ここでいう「守る」とは、消極的になるという意味ではなく、消費者も企業も「コミュニティの一員」として相互に自由闊達にコミュニケーション活動を行うマーケティングを意味する。

 従来のように、企業側の一方的なメッセージを消費者にぶつけるのではなく、消費者のリアルな生の声を聞きながら、「なぜ」この人たちは商品を購入して喜んでいるのか、「なぜ」がっかりしているのか、そうした具体的なWhyを拾い上げていく。また、似た価値観を持つ人同士がコミュニティを作り上げ、「なぜ」私たちはこの商品を買って良かったと思っているのか、そうした声を発信し、コミュニティを広げていく。

 いずれにしても、コミュニティに参加し、企業も消費者も双方に情報発信することで、良いサイクルを作っていくことが第一歩となる。

 こうした個人の価値観や生の声が今日最も多く集まっている場所はソーシャルメディアだ。心のトリガーを引くためには、価値観や生の声をまず知ることが重要であり、心のトリガーを引くコミュニケーションの第一歩として、「まず企業がユーザーコミュニティに参画していくことが大切です」と渡部氏はいう。

 SNSと聞くと売上につながらないと消極的に考えるマーケターも多いかもしれない。

 「私たちクラウドサーカスは、SNSにARというテクノロジーを掛け合わせることで、心を動かすコミュニケーションができると考えており、実際に事例も多数出ています」と渡部氏は説明する。

「理解できない」が「おもしろい」へ転じる瞬間をARで作り出す

 現在、企業の情報発信モデルはマスメディアやPR戦略に基づく一方向のコミュニケーションではなく、ユーザーファーストな視点でユーザーにとって必要な情報を提供し、そのフィードバックを受け改善していくことで、ユーザーの心が動き、ユーザー自身が情報発信していくコミュニケーションモデルへ変化していると渡部氏は指摘する。そのトリガーとして、表現力豊かなARの活用が有意義な成果を生むという。

 AR(Augmented Reality:拡張現実)とは、人間が知覚しているリアルな環境に、コンピューターで作ったバーチャル要素を組み合わせ、現実空間を文字通り拡張させるテクノロジーのこと。クラウドサーカスでは、現在ARとSNSを掛け合わせたマーケティングコミュニケーションを実証している最中で、知見が蓄積されてきているそうだ。

 なぜARが心を動かす手段となるのだろうか? 渡部氏はその理由として、人が視覚などの認知機能を使って「理解できること」と「できないこと」の間に、ARを挟むことで「予想を裏切られるおもしろさ」が生まれるからだ、と説明する。

ARで現実と非現実をつなぎ、おもしろいを引き出す
ARで現実と非現実をつなぎ、おもしろいを引き出す

 例えば、かつて「透明のオレンジジュース」がはやったが、知覚的にはどう見ても水なのに、飲んでみるとオレンジジュースの味がする。この「見て理解していること」と、「脳内で起こっている目と舌の刺激の違い」のギャップが、「おもしろい」という体験価値に変わっていく。

 この「おもしろい」というポジティブな感情こそ、共感を生み、心を動かす大きなトリガーになる。このように、ARを入れて「現実」と「非現実」をつなぐデザイン設計を行うことで、心を動かすコミュニケーションが可能になる。

 取り組みの具体例として、渡部氏はまずテネシーウイルキーブランド「ジャック ダニエル」のAR事例を紹介した。同社のARアプリを商品ボトルパッケージにかざすと、ジャック ダニエルの歴史やウイスキー作りを紹介するコンテンツが出てくるもので、「今はなくなってしまった工場地帯などが絵本形式で次々と登場し、その世界観の共有と楽しさにつながっている素晴らしい取り組みだと思います」と渡部氏は話す。

 またクラウドサーカスも、ダニ捕りロボを提供する日革研究所のコンサルティングを手がけ、この夏にはARアプリを通じて巨大なダニをARで出現させ、ダニ対策の重要性とダニ捕りロボ認知を拡大するTwitterキャンペーンを展開した。

 なかなか強烈なARだが、渡部氏は「強烈だからこそ、キャンペーンにユーザーが参加し、SNSでプロモーションされていく展開につながりました」と説明する。

 ゴディバでは対象商品やポスターにスマホをかざすと、キャラクターやイメージガールのスペシャルコンテンツと共に写真が撮れる「GODIVA Camera」アプリを展開。撮った写真はもちろんSNSでシェアできる。また、回転寿司チェーンのくら寿司では、昨年緊急事態宣言中に「まぐろと一緒におもしろ写真を撮ろう」というキャンペーンを展開し、話題を呼んだ。

 これはアプリを起動すると、ソーシャルディスタンスで提唱された2メートルサイズのまぐろが登場し、一緒に写真を撮影するというキャンペーン。フォロー&リツイートで食事券を抽選プレゼントした。店舗にいけない時期でもブランド想起に役立つユニークな取り組みだ。

 いずれも、一人のユーザーの「おもしろい」という心のトリガーを引き、それがSNSで派生して拡大していく取り組みだ。

顧客の心を動かすのは1人ひとりの行動から

 渡部氏は、こうした施策を紹介しながらも、「一番大切なことは、『あなたがいたからできた行動が、顧客の心を動かす』ということです」と強調する。

 具体的にはどういうことか。当然ながら、商品を作るのも、営業するのも、プロモーションするのも、一人だけでは不可能だ。企業努力には様々な人の力が必要であり、そんな一人ひとりの行動が、「最終的には心を動かす行動につながる」ということを忘れないでほしい、と渡部氏はいう。

 SNSとARを組み合わせた企画も、顧客の心をどう動かすかというコミュニケーション戦略も、当然一人ではできない。「そんな時、クラウドサーカスが皆さまの課題に寄り添い、支援します」という言葉を最後に、渡部氏は講演を終えた。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/37328

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