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コロナ禍の売上減からV字回復で150%増に テクノロジーをフル活用したエムエム総研の大改革

どの市場でシェアを取る?踏み込んだ議論で再確認

 まず行ったのは、本格的な会議に突入する前の意識合わせだった。

 「私を含め、経営会議のメンバーには当初『コロナ禍をどう乗り越えていくか』というムードが漂っていました。そこに対し『この場で何を話していくべきなのか?』の意識合わせを行い『コロナ禍を乗り超えた後に、事業やメンバーが成長できる状態を目指す』という、議論の土台を作り上げていったのです」(米田氏)

 意識合わせを経て、議論はプロダクトポートフォリオの分析へと進んだ。コロナ禍による市場のゲームチェンジを経て「どの市場でシェアを取りに行くべきなのか?」「売上拡大よりも利益を追いかけるべき分野はどこなのか?」といった事実を再確認する必要があったのだ。

 「経営会議にはもちろん、イベントサービスを担当している役員や、コールセンター出身の役員も出席していましたし、当然それらのサービスのマネージャーやメンバーが存在しているわけです。様々な想いがあるなか、目的を揃え、ありのままの情報共有や、腹を割った議論を繰り返し行っていきました」(米田氏)

 そうして決まったのが、前述の「コールセンター業務の一部を除いた撤退」「イベント支援事業からオンラインイベント支援事業への転換」「セールスデジタルシフト事業への資源集中、新規開拓の一本化」といった3つの施策だ。

 また経営会議では既存顧客に対する支援の優先も決定された。コロナ禍に突入した4月初旬には会社の状況や意思決定をすべてのメンバーに伝達。さらに6月までには「クライアントが何に困っているのか?」をリサーチした。

 寄せられた悩みの多くは、ウェビナーの開催やオンラインツールの選び方について。エムエム総研はそれらの課題に対し無償で支援を行った。結果として、50社を超える支援先・約80名の稼働のうち、コロナ禍による解約は1社1名のみに留めることができた。この取り組みにより新規顧客の開拓に注力できる環境が整ったのだ。

STP領域に基づいた戦略を徹底 売り上げ150%増の裏側

 2017年から行っていたデジタルサービスシフト支援の新規開拓だが、コロナ禍では改めて「理念やコアコンピタンスは何だったか?」「どんな戦略を採っていくのか?」を考え、アップデートしていったという。

 「特徴的なのは商談受注率が約70%と高い点です。MRRは70万〜600万円、ARRは840万〜8,000万円。無形サービスでかつ、オンラインを用いこの数字を実現していけたのは、かなり大きなポイントでした」(米田氏)

 評価指標においては、計上金額目標達成と顧客満足度といった目標を、マーケティング、IS、OS、CSが共通して追い、その上で個々の目標達成など反映していくユニークな仕組みを採用している。

 これには企業として最大の目的である、収益と顧客満足度の獲得を共通認識として全チームに浸透させられ、また目標自体の変更にも対応しやすいといったメリットがある。しかし、各チームの責任範囲や結果への意識が薄れてしまうデメリットも存在する。

 「こうして新規開拓を進め、広告販促費を前年比75%抑え、かつ売り上げが150%に増加しました。行った取り組みには『営業の人数の最小化、生産性の最大化』『サービスサイトのリニューアル』などのチャレンジが挙げられます」(米田氏)

 元々OSの人数は約4名と、決して多くはなかったが、体制変更後はさらに人数を減らし、1.5名へと変更。その分のリソースを他へ回し、新規開拓に取り組んでいった。テクノロジーを活用し、適切に役割分担させ、生産性を向上させる。今までクライアント企業へ行ってきた施策を、自社内でとことん行ったわけだ。

 営業資料もアップデートし、STP領域に基づいた戦略を徹底。Win-Winとなる顧客だけに的を絞った営業を行っていった。加えて人事異動も功を奏し、有効商談化率約90%・受注率約70%という驚異的なパフォーマンスが叩き出された。

サービスサイトが多方面で継続的な成長

 2020年7月に行った、サービスサイトのリニューアル。従来は自社で構築したり、外部のパートナーに依頼したりしていたという。しかし米田氏はそれらのやり方に不安を覚えていたと話す。

 「何ヵ月もかけてサービスサイトをリニューアルしても、世の中が劇的に変わってしまうということをコロナウイルスの流行で痛感しました。またリリース後に仮説を検証した際、その施策の反映にも時間がかかってしまう点、さらにデザインがどれだけお客様に影響を与えているか不透明な点にも疑問を感じていました。

 サービスを細かくアップデートしていきたいという想いもあり、仮説検証やスピーディな修正が行えて、さらに多くの人がコンテンツに携われる点を意識し『ferret One』の導入を決めたんです」(米田氏)

 導入後は高い理解度に基づいた支援や、客観的な立場からの意見、公開後のフォローなどのサポートがしっかりと得られたという。かねて意識していた、自社内で運用が完結できる仕組みも構築することができた。

 サイト公開後は様々な指標に置いて劇的な成長を遂げており、CV数も段階的に増加している。これにはノンコーディングでコンテンツを制作できるferret Oneによって、Webでの制作に不慣れなスタッフでもスピード感を持って実行できた恩恵が大きいと米田氏は話す。

 「新卒でチーム入りした、ライティングやサービス理解に長けていたメンバーが、サイト内のコンテンツを作り、大活躍をしてくれたんです。コロナ禍で少数生成の状況において、即戦力として全体の成果に影響を及ぼしてくれました」(米田氏)

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コロナ禍に乗り越えるべき「3つの課題」

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/21 12:00 https://markezine.jp/article/detail/37414

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