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事例&データで深掘り!Instagramマーケティングの現在地(AD)

ファン創造×新規獲得が要 売上EC比率40%のKEENがInstagramリード獲得広告を使う理由

 Instagram内の優れたUXでスムーズに情報入力を促せるリード獲得広告。一般的にはBtoB企業や不動産、自動車業界などで、会員登録、資料請求、セミナー登録の訴求を目的に活用されている広告メニューだが、BtoCブランドでも大いに活用の可能性がある。本記事では、リード獲得広告を取り入れ、メルマガ会員の獲得からファンの創造、最終的にECの売り上げ拡大までを実現している、米国発のアウトドアフットウェアブランド「KEEN」の事例を紹介する。

アウトドア市場の拡大に挑んできたKEEN

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに自己紹介からお願いします。

(左)(中央左)(中央右)(右)
(左)キーン・ジャパン合同会社 Digital DTC アシスタントマネージャー Justin Park氏
(中央左)キーン・ジャパン合同会社 Digital DTC デジタルマーケター 坂本健氏
(中央右)株式会社ロカリオ 第一営業本部 リーダー 河原直樹氏
(右)Meta Singapore Account Manager 野口暁貴氏

Justin:キーン・ジャパン合同会社(以下、キーン・ジャパン)のJustin(ジャスティン)と申します。私はスウェーデンの出身で、前職ではラグジュアリーブランドをメインとしたデジタルマーケティングを経験してきました。キーン・ジャパンでは、「KEEN」のデジタルマーケティングおよびEC全般を統括するマネージャーをしています。

坂本:2019年からキーン・ジャパンのEC部門でデジタルマーケティングを担当している坂本です。広告以外にも各チャネルでのKEENファンとのコミュニケーション全般を企画・推進しています。

河原:KEEN様のデジタルマーケティングを支援させていただいております、ロカリオの河原です。当社は、掲げているスローガン「地方を元気に、デジタルマーケティングの力で」のもと、全国8拠点を中心に、中堅・中小の企業様をはじめこれからビジネス拡大を目指す企業様に対して、デジタルマーケティング領域で支援活動をしております。デジタルマーケティング市場のリーディングカンパニーとして地位を確立してきたIREPグループのノウハウを活かし、少額から広告運用を始めたいクライアント企業など、プロモーションスタートアップ時の支援を得意としています。

野口:MetaでアカウントマネージャーとしてKEEN様を担当しております、野口です。Metaに入社したのは約2年前です。クライアント企業の一番良いビジネスパートナーとなることをミッションに、ビジネスのサポートに努めています。

MZ:今日は、アウトドアフットウェアブランド「KEEN」で取り組まれている、Instagramリード獲得広告を活用した施策についてお話しを伺っていきますが、まずはKEENのブランドについてご紹介いただけますか?

Justin:はい。KEENは、2003年に米国オレゴン州でスタートして以来、出自や性別、世代を超えて「誰もがソトを楽しめ、やりたいことを実現できる世界」を目指し、汎用性と機能性を併せ持ったハイブリッド・フットウェアを提案しています。

 ターゲットは「ソトを楽しむ人」です。KEENでは「天井のない場所」を“アウトドア”と定義しています。キャンプや登山といったアウトドアアクティビティだけでなく、玄関を出れば、街中も公園もすべてがアウトドアという考えです。なので、ソトを楽しむ人々=アウトドアを楽しむ人々を軸に、「外で身体を動かすのが好きな人」「自然が好きな人」「ファッションとしてアウトドアを取り入れている人」という3つのセグメント分けてマーケティング戦略を立てています

MZ:デジタルマーケティングでInstagramを積極的に取り入れられている理由を教えて下さい。

坂本:KEENのマーケティング戦略のうち、「Demand creation(需要創出)」に関わる部分でInstagramを活用しています。KEENでは、デジタル上で接触できるターゲットを「何を買うか決まっていない層」「どのブランドを買うか決まっていない層」「どのブランドの何を買うか決まっている層」の3つに分けて考えており、中でも「何を買うか決まっていない層」の態度変容をいかに促すかを重視しています。そのための具体策として取り入れているのが、Facebook/Instagram広告です。

 Facebook/Instagram広告の利点は、まず若年層にアプローチできること。加えて、検索型広告と違いアカウントベースでターゲティングできるため、ターゲティングの精度が高い点にあると考えています。

MZ:「どのブランドを買うか決まっていない層」ではなく、「何を買うか決まっていない層」へのアプローチに注力しているのはなぜですか?

坂本:アウトドアの市場全体の拡大を目指しているからです。バイネームでKEENの商品を購入いただくことももちろん重要ですが、アウトドア自体に興味関心を持ってもらい、「アウトドアが好きな人」を増やすことで、市場を拡大していきたいと思っています。

ビジネスの成長にも確実に繋がっている、KEENのファンマーケティング

MZ:KEENが活用しているInstagramリード獲得広告について、どういった仕様の広告なのかご説明いただけますか?

野口:リード獲得広告は、モバイルに最適化された形で会員登録や資料請求、セミナー登録などを促すことができる広告メニューです。特筆すべきは、利用者にとっての利便性の高さと広告主における広告効率の高さ。Facebookアカウントの登録情報が自動入力される機能があるため、利用者はフォームで情報を入力する必要がありません。広告内で入力が完結するという優れたUXであるゆえに、離脱率が低く、効率よくリードを獲得することができます。主にBtoB企業や不動産、自動車業界などでよく活用されています。

広告からの遷移イメージ
広告からの遷移イメージ

MZ:BtoCブランドであるKEENがリード獲得広告の活用に至ったのには、どういった経緯があったのでしょうか?

Justin:KEENには、ブランドとして大事にしている「do the right thing(正しいことをする)」という社是があります。ただシューズを製造・販売するメーカーではなく、我々が暮らし、遊び、働く場所を守る責任があると考えているからです。「この地球を少しでも良くし、世界を少しでもポジティブに変えたい」という強い思いのもと、創業当初から自然災害時の支援活動や環境保護活動、ジェンダー平等に向けた支援活動などを行っています。また、シューズの製造工程でも環境負荷低減を推進し、リサイクル素材も積極的に取り入れており、こうした一連の取り組みを我々は「KEEN EFFECT」と呼んでいます。

 我々の“Brand Value”に共感し、KEENのファンになっていただくというのが、理想とするマーケティングの形です。そのため、KEENではお客様のことを「顧客」「お客様」ではなく「ファン」と呼んでいます。

キーンエフェクトの象徴的なイメージ画像があれば、挿入できればと考えています
西日本豪雨で被災した愛媛県西予市野村町野村にて、KEEN EFFECTの活動の一環として200足のKEENを提供

 KEENが行っている活動やBrand Valueを知っていただき、ファンになってもらう、より密に関わってもらう一番最初のステップとしてメルマガ会員登録を促すべく、Instagramリード獲得広告を活用してきました。

MZ:どのようにして、ファンを「KEEN EFFECT」に巻き込んでいるのですか?

坂本:様々な取り組みをしていますが、たとえば、商品の売り上げの一部を寄付する活動があります。もともとチャリティグッズとして展開するものもあれば、一定期間の売り上げの一部をKEEN EFFECTのパートナーに寄付させていただくこともあります。KEEN EFFECTに共感いただいた既存購入者や、商品に興味はあるが検討中というファンのさらなるアクション(購入)のきっかけにもなっており、結果的に我々のビジネス成長にも繋がっています

Justin:KEENでは、メルマガを経由したECでの売り上げが平均40%、SALE時は60%を占めています。メールマーケティングはもう古いと言われることもありますが、我々にとってメルマガでのコミュニケーションはビジネスにとっても重要なのです。

河原:KEEN様は、サンダルの需要期である夏季やSALEの時期が最も注目度が高まり、集客も増える傾向にあります。そのため、SALE終了時や閑散期シーズンなどファンの熱が下がる時期にメルマガを通してコミュニケーションを図り関係性を維持すること、また次の需要期に向けて新規客を獲得し、さらに見込み客を拡大することも狙いとして、リード獲得広告を活用しました

検証してきたクリエイティブの勝ちパターンを横展開

MZ:では、リード獲得広告をどのように展開されたのか教えていただけますか?

坂本:成果最大化に繋がったポイントは3つあります。1つ目は、広告クリエイティブです。通常のFacebook/Instagram広告でどのクリエイティブがより高い成果に繋がるかをテストしていたので、そこで見つけた勝ちバナーをリード獲得広告に展開しました。

河原:広告におけるクリエイティブ運用は、アカウント構造の設計以上に非常に重要なポイントです。そのためクリエイティブについては、商品を着用したもの、商品単体を写したもの、テキストのみなど様々なデザインのパターンと訴求軸を組み合わせ、よりターゲットに刺さる広告クリエイティブを配信し、掲載後の成果も見ながら検証を進めました。その中の勝ちパターンを軸にリード獲得広告用のクリエイティブを制作し、同様に成果の分析とチューニングをすることで、結果的にリード獲得広告における勝ちパターンを創出できたという流れです。

KEENのリード獲得広告イメージ
KEENのリード獲得広告イメージ(※2021年春夏シーズンの配信時)

坂本:2つ目は、既存のメルマガ会員を基にしたターゲティングの最適化とオーディエンスの拡大です。既存のメルマガ会員に加え、ECサイトでの購入があったユーザー、リード獲得広告にアクションを起こしたユーザーの類似オーディエンスに向けて配信することで、広告効率の向上を図りました。

 3つ目は、メルマガ会員限定のSALE情報などをフックとしたメッセージです。お得な情報を事前にお伝えすることによってキャンペーンが始まる前から、リード獲得広告経由の登録を促していました。

河原:SALE期間中やSALE間近のタイミングでは、「まもなくSALE開始! メルマガ登録してお得な情報をチェックしよう」などと、より訴求の強いクリエイティブに変更していました。こうした細かい調整もあった結果、SALEのタイミングでメルマガ会員を増加させ、メルマガ経由の売り上げを大きく拡大することができました

300%以上流入が伸びた月も 量だけでなく質の高さにも注目

MZ:具体的にどのくらいリード獲得広告から成果が生まれたのでしょうか?

河原:メルマガからECへの流入数は継続して増加傾向にあるのですが、昨対比でマックス300%以上の伸びを記録した月もありました。CVRも他のチャネルと比べて2倍以上高く、ECへの流入数の増加と質の高いユーザーの獲得の両方を実現することができています。

坂本:リード獲得広告からメルマガに登録したユーザーはコンバージョン率が7%と、その他のメルマガユーザーと比較しても非常に高い数字が出ています。

野口:閑散期にもリード獲得広告を活用することで、ビジネスを拡大させるというのは、新しい取り組みですよね。初めてKEEN様のレポートを見た時は驚きました。また、既存の広告とリード獲得広告を併走させることで効率化に繋げている点も注目すべきポイントだと思います。

KEENファンを増やすべく、さらなる活用と投資を

MZ:最後に今後の展望をお聞かせください。

坂本:リード獲得広告は、マーケティングファネルのトップに適した広告だと考えています。認知拡大を図るだけでなく、ブランドのオウンドメディアと繋げてくれる役割も担ってくれているので、継続して効率的な投資を進める予定です。

Justin:来年は、より細かくセグメントを分け、それぞれに適したマーケティングを行っていきたいと考えています。そのためには、FacebookやInstagramをはじめとするSNS広告の運用が重要になりますので、効果的に活用していきたいですね。

河原:通常の広告を打っても、ブランド自体を好きになってもらわないと、最終的には購買に繋がりません。そのため、KEENブランドのファンを一人でも多く増やすことを一番にこれからもサポートさせていただければと思います。そして、Facebook/Instagramというソーシャルプラットフォームの活用は、どんな企業様にとってもビジネス課題の解決に繋がります。多様な広告仕様の選択肢がある中で、最適なプランニングと運用を通して、クライアント企業様の目標達成に貢献していきたいと考えています。

野口:KEEN様のリード獲得広告の活用は、EC業界の中でも先進的なお取り組みです。Meta社としては、他のEC企業様にもぜひこれを広げていければと思っています。加えて、今回はメルマガ会員の獲得数というリードの量にフォーカスした施策でしたが、獲得するリードの質を最適化していく機能「CVリード最適化」も提供しているので、また新たな試みを一緒にできればと思います。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/07 11:00 https://markezine.jp/article/detail/37846