100万円から始められる運用型テレビCM
――まず、お二人のプロフィールと両社の事業についてお聞かせください。
北嶋:私は組織人事や新規事業開発に特化したコンサルティングファーム、ITメガベンチャーのDeNAにおける新規事業開発やオープンイノベーションの責任者を経て、Relicを創業しました。弊社では、大企業やスタートアップ企業の新規事業開発や事業のグロースに特化した事業を展開しています。3本柱の事業の1つが「インキュベーションテック事業」で、企業の新規事業開発支援に特化したSaaSプロダクトを複数提供しており、その代表格が企業における新規事業開発を総合支援するSaaSであるイノベーションマネジメント・プラットフォームThrottle(スロットル)です。これは、一言で言うと導入先の企業に継続的に新規事業が生まれる仕組みを作るためのプロダクトです。
他にも、企業の課題に合わせてオーダーメイド&一気通貫で新規事業開発を支援する「事業プロデュース」と、スタートアップ企業やベンチャー企業に投資をしたり、大企業との共同事業やJVによる事業開発したりなどを行う「オープンイノベーション事業」を展開しています。
土井:私はネット広告畑で長らくアドテクノロジーの領域に携わってきました。1年ほど前に、我々VOYAGE GROUPと電通とで運用型テレビCMのテレシーを一緒にやることになり、同社の代表に就任しました。
テレシーは、テレビCMを100万円から出稿でき、ネット広告では当たり前だったPDCAを回すことができるサービスです。たとえば、いくら使うとどれくらいのインプレッションが取れて、CPMはどのくらいになるかといったことを事前にシミュレーションすることができます。また、放映後の成果もCPAやCPIといったネット広告に馴染みのある指標で見られます。

――北嶋さんは本を出版されたそうですね。
北嶋:はい。『イノベーションの再現性を高める 新規事業開発マネジメント ――不確実性をコントロールする戦略・組織・実行』という、企業内で新規事業に携わる方に向けた本を出版しました。大変ありがたいことに発売から2ヵ月で第4刷まで重版がかかるなど、ご好評いただいています。
土井:新規事業に関することが体系的にまとめられています。たくさんの図がちりばめられており、読み応えのある1冊で、私自身も勉強になりました。
BtoB企業のプロモーションにおける変化
――Withコロナ時代になりデジタルシフトが進んでいますが、BtoB企業におけるプロモーションはどのように変化してきているでしょうか。
北嶋:大きく2つの変化があると思います。1つはコロナ以降、低リスクのデジタル施策により多くの企業が取り組むようになり、競争が激しくなっています。そのため、以前と同じ取り組みを続けているだけでは、当然ですが効果は悪化していきます。
2つ目は、対面営業がしづらいことにより、ニーズが顕在化していないマーケットのマーケティングが難しくなっているように感じます。Throttleも、「イノベーションマネジメント・プラットフォームって何?」と思われる方がまだまだ多く、今はマーケットを創っているフェーズです。そのため決裁者の方と対面で文脈を含めてしっかりお話をしたいのですが、難しい状況です。細かい例ですが、アウトバウンドコールをしても、リモートワーク下のため会社に誰もおらずつながらないことも増えましたね。
土井:我々が代理店を務めるタクシー広告やエレベーター広告もそうですが、ここ数年で新しい広告媒体が増えてきました。マーケットを広げようと考えた時に、これまでは決裁者に知ってもらうための手段が新聞・専門誌への出稿や展示会への参加など非常に限られていました。
しかし、タクシー広告やエレベーター広告、タワーマンションのサイネージといった新しい媒体の登場が、BtoBのプロモーションに大きな変革をもたらしているのではないかと思います。