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DACに聞く自社データ活用の筋道「プライバシー対策」から「将来的な外部データ活用の可能性」まで

1stパーティデータ活用、まずは何から?

MZ:3rdパーティデータの利用が規制されると、自社で収集した顧客データ(1stパーティデータ)や、インセンティブを受け取ることを条件に顧客自身が自分のデータを提供するゼロパーティデータの重要性が高まるといわれています。この因果関係について詳しく教えてください。

岩井:振り返ると、インターネット広告/デジタルマーケティング領域におけるデータ活用が進んだのは2010年代でした。ここでのデータ活用のほとんどが、3rdパーティデータの活用だったと思います。わかりやすくいうと、DMP事業者が提供しているデータ、あるいはGoogleやFacebookなどのプラットフォーマーが広告配信に使っているユーザー特性データなどが該当します。

 この3rdパーティデータを生成する主要テクノロジーが3rdパーティクッキーです。ここが法的、技術的に規制されはじめた。それが今直面しているターニングポイントです。

 これまで多くの企業が無意識に3rdパーティデータを利用し、広告配信の最適化等を行ってきましたが、これからは簡単に使えなくなります。すると重要になるのが、企業と消費者の関係性の中で取得される1stパーティデータ、ゼロパーティデータです。

 3rdパーティデータと、1stパーティ/ゼロパーティデータの明確な違いは、企業と消費者が直接接点を持ち、消費者自身が自分のデータを収集・活用されることについて納得しているかどうかにあります。3rdパーティデータの活用が難しくなりつつある現在、相対的に1stパーティ/ゼロパーティデータの重要性が高くなっています。

 しかし、ここで問題が1つ起こります。それは、直接消費者と対峙する業界、たとえば小売などであれば既に1stパーティデータをある程度蓄積していますが、メーカーのように購買プロセスを他業種に任せている企業は、新たに1stパーティ/ゼロパーティデータを集めなくてはなりません。このように、1stパーティデータの収集にまだ手を付けられていない企業や、始めてはいるけれど法的処理や消費者への説明が未対応だったり、活用の高度化が進んでいなかったりする企業はかなり多いと思います。

MZ:これから1stパーティデータの収集に当たる企業、その取り組みがまだ進んでいない企業は何をすれば良いのでしょうか。

岩井:まずは1stパーティデータ収集プロセスの全体設計から始めることをおすすめします。新たな顧客接点を作ってデータを収集するのか、それとも現在の枠組みの中で収集していくのか。どのようにデータ取得の同意を取り、活用についてどのように説明していくのか、しっかり考えなくてはなりません。その理想論を踏まえた上で、短期間でゴール設定するには、優先度の高いところからスモールスタートで進めることが現実的だと思います。

 たとえば改正個人情報保護法のケースでいうと、すべての顧客接点でデータ取得に同意を得ることが法的に必要なわけではありません。まずは優先的に同意取得を取らなければならない部分を見きわめた上で、小さく始めていくのがいいと思います。

 企業からすると、どれくらいの方が同意してくれるのか、どのように同意をお願いすればいいのかわかりません。別の言い方をすると、「どういうメリットを提供すれば消費者から同意を得られるのか」もわからない状態です。同意取得はトライアンドエラーを繰り返す必要があります。

上野:コンサルテーションの現場では、ポストクッキーの対応・同意依頼のUIの見せ方・法改正を見据えての対応の3つの軸でお話しすることが多いですね。ポストクッキーと法改正は混同される方も多いので、まずそこを整理する勉強会を開催することも多いです。その上で状況を把握し、対策を考えていきます。

【参考】DACが提供するデータレギュレーション対応コンサルティングサービス
【参考】DACが提供するデータレギュレーション対応コンサルティングサービス

 ポイントは、全社的に取り組むことです。まず広報部や宣伝部の方とお話しすることが多いのですが、本件に関しては法務部や、IT/データを管理している情報システム部門、そしてマーケティング部門をはじめとしたデータを活用するすべての事業部、これらの方にステークホルダーとして入っていただくことをお願いしています。特に大企業になればなるほど、グループ間のデータの受け渡しなど様々な事柄が絡んでいるので、関係部署の協力が必要です。

岩井:とはいえ、いきなり大きな規模で実施するのが難しい場合もあります。まずはマーケティング部門などに範囲を絞ってテストをし、成功事例を作ってから全社ごとに持っていく方法もあります。

今後の3rdパーティデータ活用はどうなる?

MZ:一方で、3rdパーティデータの活用には企業も投資をしてきましたし、知見も蓄積されてきたと思います。完全に使用できなくなるのでしょうか?

岩井:逆説的な話になりますが、1stパーティデータの収集・活用が進むにつれ、3rdパーティデータと組み合わせた高度なデータマーケティングのニーズが高まると考えています。

 これまで1stパーティデータの収集をやってこなかった企業がCRMでデータを収集するようになり、活用が進むと「もっとやってみたい」というニーズが生まれてくると思います。顧客のことをもっと知りたい、それに合ったコミュニケーションを進めたいとなると、3rdパーティデータが再び重要になってくるのだと思います。

 「AudienceOne」は2013年から提供している3rdパーティデータのDMPですが、企業のCRMデータを掛け合わせることで、CRMの高度化、消費者像・顧客像の解像度を上げることに貢献してきました。1stパーティデータの活用が進むほど、3rdパーティデータの重要性が実はこれまで以上に高まってくるでしょう。その時にこそ、私たちが現在ご支援している必要な同意取得の手続きも含め、3rdパーティデータを組み合わせたデータ活用の支援もワンストップで展開できると考えています。

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プライバシー対策後のデータ活用が持つ可能性

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/23 10:30 https://markezine.jp/article/detail/38412

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