音楽の質がブランドイメージにも直結 音楽選びのポイントとは
――なぜマーケティングに音楽は大切なのでしょうか。また企業が音楽を活用するときには、どういった視点で選べば良いのでしょうか。
昔は企業が情報を伝える手段はテレビやラジオしかありませんでしたが、YouTubeのチャンネルでコンテンツを制作したり、TikTokのアカウントを活用して自社の製品やサービスを紹介するなど、企業がSNSを通じて発信を行うケースも非常に増えています。SNSのなかでもとくにYouTubeやTikTokは動画がメインですので音は不可欠です。
動画全体を見ても年々クリエイティブの質が上がってきていますし、視聴者の目も耳も肥えてきている。音楽の質が低いと動画そのもののクオリティ低下にもつながり、ブランドのイメージにも悪影響を与えてしまいます。発信を行う企業としては、質の高いものかつ、自社のコーポレートアイデンティティに合ったものを使う必要があるでしょう。
考えかたやカルチャーにもよるので一概に言うことは難しいのですが、企業が音楽を活用する際には、企業やブランドのイメージに合ったものをセレクトすることが非常に大切だと思います。たとえば、トヨタのテレビCMを見ていると、以前は尖った曲を使うことはほとんどなかったと記憶していますが、現在はダンスミュージックなど今の時流に合った音楽を用いている。これは、ブランドとして先進性を打ち出したいのではないでしょうか。良くも悪くも音楽はイメージに大きな影響を与えますので、製品やサービスとして何を伝え、何をアピールしたいのかを考えることが大切です。
――最後に、今後の展望についてお聞かせください。
「音楽を生み出す人をハッピーにする」を理念として掲げているオーディオストックでは、音楽家の活躍を推進していくことに焦点を当てながら、どのように事業を広げていくかを考えていかなければいけないと思っています。Audiostockのコンテンツは歌が入っていないもののほうが多いこともあり、海外への展開を進めています。日本生まれのサービスとして、日本の素晴らしい音楽家の作品やネットワークを持っていることは大きな財産です。海外にも同様のサービスを行っている企業もありますが、コンテンツで差別化していけたらと考えています。
またWeb3関連として、メタバース上で音楽を使えるようにしたり、メタバース上で展開されているゲームや動画コンテンツと提携なども視野に入れていきたいですね。現実世界でもメタバースのような仮想空間でも、五感をつかさどる音楽がなくなることはありません。音楽家の活躍の場を広げるという意味でも、新しい領域へのマネタイズも行っていきたいです。
――西尾さん、ありがとうございました!