職種を横断したチームで進めた開発 新たな気づきとは
――今回のアップデートによって、Wacom Cintiq Pro 16はどのようなユーザーに向けた製品に仕上がりましたか?
日本をはじめアジア各国では、机があまり広くないため、16型の製品が好まれる傾向があります。その点このWacom Cintiq Pro 16は、プロやハイアマチュア向けの製品でありながらコンパクトですし、ソフトウェアのUIも含めた表示で制作できるといったバランスの良さが特徴です。
具体的にアップデートした部分で言うと、ショートカットキーが新しくついていたり、タッチ操作のオン・オフ切り替えを誤動作のないスイッチ型に変更するなどしています。ユーザーの作業を止めず、制作に集中できることにこだわった結果です。カチカチとボダンを押すときの抵抗感についても、チームメンバーで検証を行い、気持ち良く使える押し心地であるか、違和感がないかなどをミリ単位で調整しました。
――Cintiq Pro 16のような分野を横断した精鋭チームでの製品づくりにおける、新たな気づきはありましたか?
やはりこれまで以上に、さまざまな観点や視点を取り入れやすくなったと感じました。各メンバーがプロフェッショナルでしたので、お客さまの生の声や説得力のある意見が集まったのも印象的です。
また、いままで開発に携わってこなかったメンバーも、同じようにお客さまのために良いモノをつくりたいという想いを持っていたことに改めて気づかされました。お客さまの中にも、私たちのそういった姿勢を理解し、フィードバックをくださった方もいた。今回は、それらをしっかり形にできたことが嬉しかったです。
一方で、海外チームとの連携は難しかったですね。チーム内には日本のメンバーが多くても、グローバル企業として世界中のクリエイターに満足してもらえる製品を用意するためには、海外チームとの連携が欠かせないことも痛感しました。
今まで開発に携わってこなかったメンバーに聞いたところ、今回の体制では直接フィードバックをもらえたり、「これがベストだけれどもやむなくこちらにする」といった選択の背景など、開発のプロセスを知ることができて良かったと話をしていました。
反対に、長く開発に携わっていると、製品を開発して終わりになってしまうことも比較的多かった印象ですが、この開発プロセスでは、アップデートした製品や機能がお客さまにどのように受け入れてもらったかを直接知る機会が得られました。発売後にマーケティング担当者がどのような形で製品を案内しているのか、お客さまからどういった声が寄せられているかなどをチーム内で共有できたためです。これも、チーム全体のレベルアップにつながったのではないでしょうか。
ただし、チームメンバーは普段の業務も並行して行いながら開発を行ったため、業務の両立が大変だったという声もありました。そういったバランスのとりかたは、今後の課題かもしれません。
――最後に、Wacom Cintiq Pro 16をどのようなユーザーにオススメしたいかお聞かせください。
社会人の方でも学生の方でも、これまでより自身の絵や作品をレベルアップさせたいと思っている方に使っていただきたいです。第一線で活躍しているプロが使っているですので、スキルを伸ばしたい方にはぴったりな製品だと思っています。お客さまのことを考え抜いて開発しましたので、一度試していただけると嬉しいです。