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リテールメディアテックは、リテール逆襲の契機になるか?【ZETA山崎氏×シンクロ西井氏対談】

 コロナ禍を機に、日本でもデジタル化が加速している。その一方、EC化率は主要諸外国と比べると低いと言われ、一般消費者の生活においてはまだECが浸透していないと見られている。この見方に疑問を投げかけるのが、長年EC業界で活躍しているZETA 代表取締役社長の山崎徳之氏、シンクロ 代表取締役社長の西井敏恭氏だ。翔泳社メディア部門 統括編集長の押久保剛と共に、EC業界を取り巻く環境の変化やリテールメディアテックが起こす変革について語り合った。

長年EC業界に従事する識者が語る、ECの未来

押久保:コロナ禍で生活者の行動のデジタルシフトが進んだと言われています。そこで今回はEC業界で長く活躍されるZETAの山崎さんとシンクロの西井さんと一緒に、EC業界を取り巻く環境変化や話題のリテールメディアテックについて議論したいと考えています。

西井:シンクロ 代表の西井です。山崎さんとの出会いは10年以上前、私がドクターシーラボ社のデジタルマーケティングを担当していたころからの付き合いになり、いろいろ情報交換をさせていただいています。

シンクロ 代表取締役社長 西井敏恭氏NTTドコモのシニアマーケティングディレクターやオイシックス・ラ・大地のCMT(チーフマーケティングテクノロジスト)をはじめ、複数企業の取締役を兼任。大手通販・スタートアップなど多くの企業のマーケティング支援やデジタル事業の協業・推進を行う。
シンクロ 代表取締役 西井敏恭氏
NTTドコモのシニアマーケティングディレクターやオイシックス・ラ・大地のCMT(チーフマーケティングテクノロジスト)をはじめ、複数企業の取締役を兼任。大手通販・スタートアップなど多くの企業のマーケティング支援や、デジタル事業の協業・推進を行う。

山崎:EC業界で比較的大手の企業を多く支援してきたことが我々の共通点で、西井さんから「サイト内検索に関する良いツールがない」と悩むメーカーをご紹介いただいたこともあります。

ZETA 代表取締役社長 山崎徳之氏2006年にZETA株式会社を設立、代表取締役に就任(現任)。現在はECサイトのマーケティングツール「ZETA CXシリーズ」の開発・提供に取り組んでおり、コマースとCX(カスタマーエクスペリエンス)のリーディングカンパニーとして、多数の国内大手サイトの売上に貢献している。
ZETA 代表取締役社長 山崎徳之氏
2006年にZETA株式会社を設立、代表取締役に就任(現任)。現在はECサイトのマーケティングツール「ZETA CXシリーズ」の開発・提供に取り組んでおり、コマースとCX(カスタマーエクスペリエンス)のリーディングカンパニーとして、多数の国内大手サイトの売上に貢献している。

西井:お互いに支援してる企業の共通点としては、モールに出店するのではなく自社でECに取り組んでいる企業が多いですね。特にサイト内検索にまで目を向けるとなると、比較的先行している企業が多いと思います。

「ECで買うか、店舗で買うか——それが問題」ではない?

押久保:長年デジタルマーケティング分野を見ていると、マーケティング領域のデジタル化は急速な勢いで進んでいるのに、なぜかEC化率は遅々として進まない傾向にある気がします。この状況について、どうお感じになりますか。

翔泳社メディア部門 統括編集長 押久保剛
翔泳社 メディア部門 統括編集長 押久保剛

山崎:実はEC化率には数字の取り方に誤解を招く点があって、一般的に言われているEC化率の数字には、コロナ禍で市場が激減した旅行分野(航空券やホテル予約等)も含まれています。そのため、物販と旅行を分けているデータを見ると物販のEC化率の伸びが顕著に出ています。

西井:私が所属しているオイシックスでいうと、コロナ禍は新規のお客様を止めざるを得なかった状態でした。コロナ禍で急激に新規契約が増えて、供給する野菜が追いつかなくなったからです。

押久保:すると一般に捉えられているEC化率よりも、ECへの需要ははるかに伸びているわけですね。

山崎:そうです。むしろ、EC化率を意識している企業はもはや少ないと思います。私どものお客様では特にアパレルが多いのですが、EC化率よりもグループ全体の収益を重視しています。ただ、世間的に見るとやはり「ECか、ECでないか」という二項対立もあるとは思います。

西井:昔はネットで買ったほうが安いという、二項対立的に話される時代もありましたが、今は特に高額な何かを購入する時にはまずネットで情報を仕入れることがデフォルトになっています。その後、ネットで買うか店舗で買うかはどちらでもいい。それが今日の状況だと思います。

山崎:広告でいうと、近年は明らかにネット広告費が占める比率が上がっていますよね。これがそのままEC化率の実態でしょう。

 つまり、最終的にネットと店舗のどちらで買うかよりも、カスタマージャーニーの中にデジタルが重要なパーツとして入っている事実のほうが重要だということです。デジタルで接触してデジタルで詳細を知り、買いたい気持ちが高まれば、最後に店舗で購入してもそれはほとんど「ECで購入した」ことになるのではないでしょうか。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/15 10:30 https://markezine.jp/article/detail/40232

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